韓国で、WBCネタで大きな問題がおきているのだそうだ。
「揺れる韓国プロ野球界!日韓戦前日の“深夜の酒盛り騒動”発覚で「日本キラー」は二軍降格「ベテランとして考えが浅はか」」
簡単にいえば、WBCの試合の前日に、主力選手が高級な店にいって飲酒していたというのだ。記事によれば朝帰りだったそうだが、全員がそうなのか、何時だったのかは不明である。当事者たちは批判された内容を認めているということで、謝罪をしている。球団としての処分も検討されているという。そして、ファンは激怒しているような報道である。
面白いことに、日本人が書いているコメントのほとんどは、大人だし、プロなんだから、批判するようなことではない、それがいけないなら、次に選出しないとか、成績が落ちているなら、それによる対応をすればいいことだ、という、非難そのものに対する疑問が圧倒的なのだ。韓国の場合、決勝ラウンドにもいけずに敗退したために、犯人探し的な雰囲気になっているのだろうが、おそらく、日本なら、犯人探し的な雰囲気にはならないと思われる。ファンたちの「熱さ」の違いなのかも知れないが、やはり、国民性の違いだろうか。
さすがに、最近はほとんど聞かないが、昔日本のプロ野球選手のなかには、試合前日でも深酒して朝帰りし、そのまま球場にいってホームランを打った、などということが、豪傑談として語られることがよくあった。もちろん、今では野球の技術が格段に向上し、そのような不摂生な生活態度ではとても対応できないほどに、各選手の訓練も精密になっている。それでも、大谷のような、すべてを野球に捧げているようなストイックな生活をしている者は、おそらく他にいないだろう。程度の差はあれ、適度に店に繰り出して、飲食することは、めずらしくないはずである。しかし、過度にならない限り、それが非難されることはない。WBCで敗れたとしても、そのような犯人さがしが行われたとは思えない。影響するとすれば、選手としての成績や選手寿命だろう。不摂生な選手は、だいたい体型でわかるし、選手寿命が短かったり、思われている才能ほどの成績を残せないものだ。(清原・松坂)しかし、それは個人責任というものだろう。
しかし、どうも韓国の場合、何か違うところがある。ずいぶん前のチーム内のいじめを非難されて、韓国ナショナルチームから負われた姉妹選手がいたが、あの前後の動静も、私にとっては驚きだった。今回のWBC後の騒動も、その熱さにおいて似たような面がある。あの姉妹選手だけが、いじめをしていたわけではないだろうし、また、非難している人々もいじめと無関係な人ばかりではないだろう。野球選手を非難している人の多くは、外で飲酒しているだろう。非難されるのは、スターであるが故に違いない。スターであると、特別待遇をさせている点でも、日本とは違う面がある。とくに、男性スポーツ選手の場合、大きな世界大会で、金メダル等をとった場合、兵役が免除(一月の特技を活かした奉仕があるそうだが)になる。韓国選手の強さのひとつの要因が、この兵役免除にあるともいわれているほどだ。それだけの特権をえているのに、充分休養して、体調を整えなければならないのに、飲酒するとは何事だ、というわけなのだろうか。期待が大きいだけ失望も大きいということなのか。
一般的気質として、韓国人は激しく、日本人は穏やかな傾向があるといってよいだろう。もちろん、個人の多様性はあるに違いないが、少なくとも政治的なことについて、韓国人は主義主張を明確にあらわし、はっきりと主張する。それに対して、日本人の多くは、政治的主張をすること自体をひかえる人が多い。これは、韓国と日本の長年おかれた環境によるものだと私は思っている。韓国が歴史的に恐れてきたのは、外敵の攻撃だ。韓国は、南は中国、北は遊牧民族、そして、たまにではあるが、南は日本から侵略されてきた。いってみれば、外敵との戦いの歴史だ。しかし、日本は島国であることも影響して、外敵の侵略を受けることは、歴史的にごくわずかしかないが、その代わり、あらゆる自然災害に見舞われる。日本ほど、多様な自然災害にあう国はめずらしく、また毎年のことだ。外敵と闘わなければならないなら、強くでる必要がある。しかし、自然とは闘っても仕方ない。勝ち目はない。自然の猛威を理解し、その被害を最小限にするための工夫をするだけだ。こうした長い闘う相手の違いが、外見はほとんど同じである韓国人と日本人の気質的な違いを育ててきたといえる。
これが、今回のWBC騒動にも現れているのかも知れない。
気質の違いだから、そういうものか、と理解するしかないのだろうが、付き合うときにはやっかいなことも多そうだ。