天皇のオリンピック・パラリンピックによる感染拡大の危惧に関する発言が、大きな議論を呼んでいる。非常に興味深いことは、この発言が西村長官によって紹介された早い時期には、ヤフコメは、天皇の発言が、憲法で禁止されている政治的行為であるという前提で議論するコメントが多かったのだが、次第に、当然のことを語ったのであって、政治的発言とはいえないというコメントが多くなっていることだ。例えば、九州大学法学部の南野森氏は、昨日「宮内庁長官の発言に対しては、憲法学の立場からはノーと言わねばなりません。良い悪い・好き嫌いは別にして、現憲法では天皇に国政に関する権能はなく、国政に関する思いを明らかにすることは認められていません。宮内庁長官という、天皇に最も近い場所にいる公務員が、「拝察」という、あくまでも自身の考えにすぎないという体裁をとったとしても、その実質は同じです。これを長官の個人的な想像と理解する人は普通はいないでしょう。」と書いている。https://news.yahoo.co.jp/articles/6e6f550e9c783c729b9ee7f3388d33230c905e2d/comments
他にも、天皇の政治的発言をかわすために、加藤官房長官は、西村長官の個人的意見と述べたことは正しいとするコメントも多数ある。しかし、日が改まって、今日(25日)になると、憲法で禁止された発言かどうかを問題としないコメントがほとんどになっている。つまり、天皇の発言は当然だという支持である。
この天皇発言は、非常に難しい問題をいくつか含んでいるように思われるのである。