宮内庁の暴論と言論抑圧

 1月24日に、宮内庁が、週刊誌報道に苦言を呈してたと一斉に報道された。
短い共同通信の報道を引用しておく。
---
 宮内庁は24日、秋篠宮家の長男悠仁さま(15)の高校進学を巡る週刊誌などの報道に対し「受験期を迎えている未成年者の進学のことを、臆測に基づいて毎週のように報道するのは、メディアの姿勢としていかがなものか」とする見解を公表した。
 悠仁さまは現在、お茶の水女子大付属中3年で、今春に高校進学を控える。秋篠宮家の側近は21日の定例記者会見で、進学に関する週刊誌やインターネット上の記事への受け止めを問われ「現時点では具体的な説明は控えたい」と述べていた。
 この「補足説明」として24日に文書を公表し、一部メディアに苦言を呈した。
---
 この姿勢は、今に始まったことではないが、極めて大きな問題をはらんでいる。この間の週刊誌の記事は、私もできるだけ目を通しているが、確かに多くは「憶測」による記事である。だから、私も利用するときには、憶測だから本当のことであるかはわからないという断りをたいていいれることにしている。しかし、憶測ではあるが、状況証拠のようなものはあり、もし、その憶測で危惧されていることが実現したら、由々しき事態であると考えるから報道しているだろうし、私もここで書いている。

“宮内庁の暴論と言論抑圧” の続きを読む

支持されない皇室は存続できない 進学問題から見えること

 悠仁親王が、筑波大付属高校に既に合格しているという情報や、これに関して天皇が秋篠宮を呼んで、苦言を呈したところ、秋篠宮は納得しなかったばかりではなく、主に動いているのは紀子だから、そっちに文句を言ってくれと言い捨てたというような話が、週刊誌などに報じられている。あいかわらず日刊ゲンダイだけは、皇族なのだから、どこに入ろうと当然だというような擁護論を書いているが、冷静に考えれば、こうした形で、将来天皇になるかも知れないひとが、国民の大きな反感をかいながら、学歴を積み重ねていくことは、将来の日本にとって、大きな損失をもたらすと考えざるをえない。もちろん、悠仁親王が本当に天皇になるかどうかはわからないし、その前に皇室典範が改定されて、愛子天皇の実現に動くかも知れない。しかし、現政権は秋篠宮、悠仁親王という路線を、現時点で変更していないから、可能性はある。
 では、なぜ将来の日本にとって損失となるのか。

“支持されない皇室は存続できない 進学問題から見えること” の続きを読む

入試に皇室特権はあるのか あるのは政治力の行使だ

 悠仁親王の高校進学問題は、いよいよ受験シーズンに突入して、ますます大きな話題となっている。これだけ、世間に晒させてしまったという点で、両親の責任は重いといえる。
 題名のように、皇室特権という言葉で、語られていることが多い。秋篠宮は、本人のいきたいところに行かせたい、と語っているらしいが、そもそも受験の世界では、本人のいきたいところに無条件でいけるわけではない。いきたいという希望は大事だが、世間には「試験」という関門がある。まるで、秋篠宮のいい方は、「関門」は自分たちには存在しないと思っているかのようである。確かに、「学者」のなかには、皇族は行きたい学校にいけるという特権がある、と主張している人もいるらしい。
 では、どうなのか。
 結論をいえば、そんな特権は、どんな法令・規則にも書かれていないはずである。確かに戦前は、皇族は学習院で学ぶことが規定されていた。学習院は、天皇家のための学校として出発したのだから、皇族や華族が特別な地位を占めていた戦前においては、それは当然のこととして受け取られていたに違いない。

“入試に皇室特権はあるのか あるのは政治力の行使だ” の続きを読む

皇位継承に関する各政党の政策

 皇位継承に関する有識者会議の報告書の議論が、国会で始まるそうだ。ほとんど意味のなさない報告書の議論をして、どんな効果があるのだろうかと疑問ではあるが、報告書がでたのに無視するということもできないのだろう。
 念のために、各党の政策を検討してみることにした。
 最も政策としてすっきりしているのは、共産党である。以下に志位委員長の見解として述べられている。https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/post-807.html
 詳しいことは、読んでもらうことにして、以前は天皇制廃止を主張していたが、現在は、天皇の制度を廃止するような主張はしていないということだ。民主主義と君主制は矛盾するが、現在の天皇のあり方は、憲法を遵守する限りでは、君主制ではないという認識にたっているらしい。天皇は国政の権能をもたないと明確に書いてあるので、政治的権能をもたない、単なる象徴は君主ではないということだ。そして、継承のあり方も、憲法にあう形にすべきであり、それは男女を問わない長子継承であるというものだ。

“皇位継承に関する各政党の政策” の続きを読む

行き詰まった悠仁親王進学問題

 あまり根拠が示されていないのだが、youtubeでは多数、悠仁親王の進学に際して、筑波大学が断ったということが言われている。そこで、早稲田に志望を切り換えたというのだ。現時点で、確実な情報ではないので、どこに決まるかは論及しないとして、この問題は、予想よりも広い影響を与えているように思われた。教育問題でもあるので、避けて通れない気がした。
 進学を望まれた筑波大学付属高校の側から、この問題を考えてみる。もし、一般の入学試験を受けて、確かに高得点をとり、堂々と入学してもらえるならば、学校としてはかなりの名誉になるのかも知れない。しかし、誰がみても、学力不足の、特別な地位にいるひとが、そのひとのために設けられた特別入学制度「提携校進学制度」(特別裏口入学制度というべきか)を使って入学してくるとなると、名誉などとは遠い評価を受けることになるに違いない。

“行き詰まった悠仁親王進学問題” の続きを読む

皇位継承有識者会議報告書の検討4

 今回は最後の検討だが、対象は小泉内閣のときにだされた「皇室典範に関する有識者会議」の報告である。周知のように、これは、長子継承の提案を行い、小泉内閣のときに法案まで準備されたものだが、議論が始まる前に、悠仁親王の妊娠が発表され、安倍官房長官が、この親王の即位を妨害するのか、と小泉首相に迫って、改革を見送らせたというものだった。しかし、答申としては残っており、当然今回の有識者会議においても、最も重要な文書として検討の対象とすべきものだったはずだが、まったく無視されたようだ。
 この文書をじっくり読んでみたが、自民党政府の審議会報告として、これほど、明快な論理と結論を示した文書を他に知らないくらいである。
 さて、内容を紹介しつつ、検討してみよう。

“皇位継承有識者会議報告書の検討4” の続きを読む

皇位継承有識者会議報告書の検討3

 報告書は、皇族の数の確保策として、まずは、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を有することになるという提案をしている。ここにも、いくつかのおかしな論理がある。
 女性皇族が結婚後は皇族でなくなるというのは、男女平等に反するし、また、女性・女系天皇を容認する立場からは、結婚後も皇族であり続けるようにすることは当然であるとしても、そこに余計な考察が入ってくるのが、この報告書の特質である。
 まず、結婚後も皇族として残ることを正当化するために、報告書は、明治時代に旧皇室典範が定められるまでは、女性も皇族のままであったという歴史をもちだし、和宮の例をだしている。それならば、旧皇室典範で導入された男系男子などという原則を、前提にするのは何故か。旧皇室典範が、男系男子に限定したことを、吟味する必要があるのではないだろうか。男系男子があたりまえのことのように主張する人たちがいるが、この原則は明治時代にはじめてできたものである。

“皇位継承有識者会議報告書の検討3” の続きを読む

皇位継承有識者会議報告書の検討2

 まず初めに確認しておく必要があることは、この皇位継承有識者会議(会議1と略)の認識が、まったく国民の見解と隔絶しているという点だ。どのような世論調査でも、女系天皇・女性天皇の支持者は7割を超え、女性天皇に至っては8割以上が賛成している。ところが、この会議1が行ったヒアリングでは、21名から意見聴取をしたそうだが、「ヒアリングの中では、皇位継承のルールについて悠仁親王殿下までは変えるべきでないとの意見がほとんどを占め、現時点において直ちに変更すべきとの意見は一つのみでありました」と書かれている。もちろん、女系天皇・女性天皇支持に対して、ただちに変えるべきかという質問項目にすれば、減るかも知れないが、女性天皇支持者は、愛子天皇実現を望むという意味と考えられるから、実質的には直ちに変更を望んでいるわけである。国民の70%と、会議1のヒアリングでは、4.7%の相違は、はっきりと記憶しておくべきことである。つまり、国民の意識をまったく無視したヒアリングをした上での報告書であるということだ。有識者会議は、「天皇は国民の総意に基づく」という意味を、真剣に考えてみたことはないに違いない。この点については、報道でほとんど触れられていないので明確にしておきたい。

“皇位継承有識者会議報告書の検討2” の続きを読む

皇位継承有識者会議報告書の検討1

 有識者会議なるものの報告書がだされたが、問題解決にはまったく無意味だという評価が固まっているようだ。女性宮家とか、旧皇族の復帰あるいは養子縁組などという、皇位継承問題には、ほとんど関係しないことが結論になっているだけで、これほど、ほとんどの国民をがっかりさせる報告書もめずらしいといえるだろう。 
 最近、ぼちぼちと皇室の歴史を書いた本を読んでいるが、興味深かったのは、明治天皇まで一般的であった正妻以外に側室をもつことをやめようということになったのが、条約改正のために、ヨーロッパの王室のような体裁にしなければならない、側室などは欧米に認められないという意識だったようだ。もっとも、明治天皇の親王はすべて皇后以外が母親だから、そうはいっても、極めてあいまいな形での対応だったにすぎない。運がよかったのか、悪かったのか、大正天皇には、親王が4人も皇后から生まれたから、その雰囲気のなかで、昭和天皇が側室をもつことを断固拒否することが可能になったのだろう。

“皇位継承有識者会議報告書の検討1” の続きを読む

武蔵野市の外国人を含む住民投票案の否決は残念だ

 既に決まっていることで、しかも日時が経過してしまったが、今年の終わりのテーマとして書いておきたい。
 日本人と同じ資格(居住3カ月)で、住民投票の権利を外国人に付与するという案が、議会に提案され、それが否決されたのが事実だ。ほとんど同じ内容での住民投票を認めている自治体が、実際にはある。大阪豊中市と神奈川県逗子市で武蔵野市提案内容と同じ内容で施行されているそうだ。その他に条件は違うが外国籍を認めた住民投票の規定があるのは43自治体だそうだ。大阪といえば、維新のお膝元だから、ここで実施されていることは、驚きでもある。
 さて、この条例案に対して、反対派たちが行った運動は、いかにも醜悪だったといわざるをえない。外国人の住民参政権の提案についても、同じような反対がなされたが、いっていることがあまりに荒唐無稽というべきだろう。

“武蔵野市の外国人を含む住民投票案の否決は残念だ” の続きを読む