狼少年が本物にならなければよいが プーチンの脅し

 プーチンが、これまで避けてきた兵の「動員」をすると宣言し、更に、ウクライナ占領地でのロシア編入を問う住民投票、そして、再度の核の脅しをするに至って、ウクライナ情勢は更に流動的になっている。欧米識者たちの見解は、これは、プーチンの焦りの表れであり、プーチンの終わりの始まりだ、核の脅しはこれまでさんざんやってきたことで、本気ではない、住民投票は、ウクライナの攻撃はロッシーニ本土に対する攻撃と見なして、戦争を本格化させる布石である等々である。もちろん、多少の異論もあるが、大方はこのような見解が公表されている。全体としては、確かにそうなのだろう。しかし、事態は思わぬ方向に滑り出してしまうこともある。セルビアでオーストリア皇太子を暗殺したひとたちは、第一次世界大戦を引き起こそうと思ってやったわけではないだろう。そして、多くの政治家たちは、参戦しつつも、世界大戦が4年間も続くとは思っていなかった。

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追い詰められたプーチン

 ウクライナ情勢が大きく動いている。
 ウクライナが東部と南部で大攻勢をかけ、特に東部でロシア軍をかなりの部分で退却に追い込んだ。その際ロシア軍は、軍の装備の多くを捨てたままに逃亡したとも言われている。南部では、東部ほどではないが、ヘルソン市奪還にむけて、少しずつ前進している。ロシア軍が不利になりつつある時期から、ロシアは長距離ミサイルで、原発付近や市街地、インフラを攻撃することが多くなっている。原発の近くにミサイルが着弾したこともあった。ロシア国内からも可能なこうした攻撃は、極めて危険なものであり、ウクライナがロシア軍を追い込んだからといって、決して楽観できるものではない。

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対照的な岩田明子氏と中村敦夫氏の状況把握力

 世の中で起こっていることを、つまり同じ事態を見ていても、極端にいえば、そこに重大な問題を感じる人もいるし、また、見ていないと同じような感覚しかもたない人もいる。それは、その人の価値観によるものなのだろうか。現在、世論が分かれている国葬にしても、国葬に何を見るか、それをどう解釈するか、人によってまったく異なった結論が出てくる。
 そうしたことを考えながら、最近読んだ文章で、対照的な意味で興味深かったのは、岩田明子「安倍晋三秘録1 暗殺前夜の電話」(『文藝春秋』2022.10)と中村敦夫氏へのインタビュー記事「旧統一教会追い50年、中村敦夫さん「安倍氏への忖度で右往左往」」(朝日デジタル2022.9.18)だ。岩田氏は、有名な安倍晋三番の記者で、強固な安倍支持者だった。しかし、安倍氏が暗殺され、その後統一教会との癒着が暴かれるようになり、NHKも辞めて、しばらく表舞台に出てこなかったが、『文藝春秋』に、安倍追悼のような文章を寄せた。暗殺の前日の夜に、安倍氏と電話で話したという内容が中心だ。

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レーシングカートで死亡事故

 北海道の自動車販売の催しの一環として行われたレーシングカートで、子どもによる死亡事故が起きた。子どもが遊園地などで乗ることができるゴーカートは、30キロ以下の時速で、比較的安全だが、ここで使用されていたのは、レーシングカートと呼ばれるもので、時速40キロまで出るそうだ。時速40キロは、通常の自動車が市街地を走る速度であって、決して遅くはないし、不注意の運転をすれば、免許をもった大人でも事故が起きやすい速度だ。それを、こうしたカートにせよ、初めて乗る子どもにとって、決して危険がないわけではない。
 事故が起きた場所は、陸上のトラック(もちろんより狭い)のような場所を走るもので、直線を走ったあと、右に曲がって次の角で降りるような設計になっている。しかし、運転していた子どもは、直線コースで、曲がるための減速をしなかったために、そのまま突っ込み、そこで見学していた人たちに怪我をさせ、2歳の子どもが死亡したというのだ。(記事は多数あるがそのひとつ)

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統一教会との個人的関係を追求するより大事なこと

 現在、統一教会問題は、自民党を中心とする議員の関わりを明らかにするというところに、焦点のひとつがあるが、これを巡って自民党内部で深刻な対立があるという。「「旧統一教会問題」岸田総理と自民党幹部の間で生じる深刻亀裂」https://news.yahoo.co.jp/articles/a179399c116b0c962798866f0b788d322f92b87d
 公表をしぼるべきとする茂木幹事長と、接点のあった議員は全員公表すべきという岸田首相が、激しく対立し、結局世耕参院幹事長の「議員本人が出席した以上を公表」という提案を、落しどころにしたところ、179名の公表となったというわけらしい。注目すべきなのは、その話合いのなかに、羽生田政調会長がいたことだ。最もずぶずぶだった一人が参加している会議で、まともな話し合いができるのか、ということだ。結局岸田首相の指導力の不十分さが露呈した。
 世論は、もっときちんと調査して、徹底的に膿をだすべきだというのが、大きな方向のようだ。世論調査でも、この記事のコメントでもそれを感じる。
 
 しかし、私は、どうもそれは違うのではないかと感じている。一番大事なことは、反社会的団体であると、自民党も認識しており、統一教会支持者以外の多くが同意している統一教会の反社会性を、反社会的組織ではないようにすることだろう。これまで何度も書いてきたが、その方法はいくつかある。

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安倍元首相狙撃の考察12 テロ小説家の推理のあまさ

 大手メディアが、「山上は真犯人か」という疑いを一切無視していることは、現在ではも変化がない。だから、毎日新聞の「特集 安倍晋三元首相銃撃」というかなり多くの記事がある連載も、最近はほとんどが国葬話題となっている。そして、久しぶりに「銃撃想定せずマニュアル不徹底」という記事がでた。
 国際テロを扱った警察小説で知られる麻生幾氏へのインタビューを元に構成された記事である。(筆者は大沢瑞季) 私は、そうした小説を読まないので、知らない人だが、記事によれは、その方面では有名な人だそうだ。そうであれば、当然、山上は真犯人なのか、ネットではたくさんの疑問が呈されているのだから、そのことは知っているだろう。にもかかわらず、その点の考察は一切ない。

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安倍氏の葬儀は終わっているのに国葬?

 安倍元首相の国葬論議は、いまでも激しさをましており、反対派の一部は、各国の在日大使館や招待されている人にむけて、欠席要請の手紙を出したりしているようだ。それに対する反発も大きい。
 しかし、よくよく考えても、なぜ9月27日に行われる儀式が「国葬儀」なのかが、常識的にも理解できない。安倍元首相の葬儀は、7月12日に東京増上寺で行われている。ちゃんと報道もされているのだ。https://www.bbc.com/japanese/62131438
 葬儀を2回行うのか。それとも、増上寺で行われたのは葬儀ではないのか。通常、正規の国葬として行われているものは、文字通り「葬儀」であって、2度目の儀式ではない。エリザベス女王の国葬は、そこで初めて行われる「葬儀」である。これは当たり前のことだろう。だから、政府がやろうとしているのは、一般的には、「忍ぶ会」として行われている儀式といえるだろう。それを「国葬儀」と呼ぶのは、いかにもごまかしではないか。

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安倍元首相の抑圧力

 文春オンラインに「「絶対に捕まらないようにします」元電通“五輪招致のキーマン”への安倍晋三からの直電」という記事が載っていて、実に興味深い。
 安倍晋三氏が総理に返り咲いて、オリンピック招致のキーマンになってくれ、と高橋治之氏に、直接安倍氏が頼み、その際、「五輪招致に関係した人は、みんな捕まっているが、私は捕まりたくない」と断ったが、安倍氏が、絶対に捕まらないようにすると保障をしたということが、まず書かれている。文章の少しあと、捕まるのが嫌だから、キーマンになるのは嫌だなどということは、ブラフだというようなことが書かれているが、それはさておき、この事実は、高橋氏が知人に話したことなのだそうだ。
 高橋氏は、オリンピック招致を担当することが、危険なことを含んでいることを、十分に承知していたということがわかる。安倍氏も認識していたということだろう。そして、高橋氏がそれを引き受けたのは、招致活動が、金の成る木だということで、望むところだと考えていたことがわかり、安倍氏に関しては、不正・違法なことをやっても、自分は押さえ込むことができるという「自信」をもっていたことが、ここから分かる。

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ウクライナの反撃

 最近、明らかにウクライナの状況が変わりつつある。ロシア軍が崩壊しつつあり、ウクライナ軍が被占領地を少しずつ奪還している。ウクライナ側からの情報だけではなく、あいまいながらもロシア側の情報によっても、それは裏付けられる。例えば、ハリキウ州の軍隊を他の地域にむけて再編成するために、撤退させたというようなロシア側の報告である。占領地を撤退すれば、当然相手側の手に移る。つまり、敗北したことを自ら認めることだ。撤退をロシア側が明確にしたのは、キーウの占領を諦めて撤退して以来である。

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国葬「やってよかった」になるか?

 安倍元首相の国葬問題は、いまだに迷走を続けている。めずらしく岸田首相が、国会の閉会中審査で、自ら説明をしたが、それまで述べていたことを繰りかえしただけで、かえって不信感を強めたといえる。
 しかし、どうも不思議なことがある。私は国葬反対だが、どうせやるなら、もっとうまく処理できないのかと。
 政府の立場は、法律がなくても、閣議で決めれば実行可能であるというものだ。その根拠となっているのが、内閣府設置法の次の条文だ。
 
第四条
三十三 国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。
 
 これまでは、国葬を実施するためには、三権の長の承認が必要であるというのが、内閣法制局の見解だった。しかし、安倍内閣の下で、内閣法制局人事によって、政府の意向をほぼ認めるようになってきたのが、内閣法制局の実態であるから、この岸田内閣のいうことを認めた形になっている。

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