教師に過重労働を強いている要素として、たくさんの調査と報告書の作成がある。文科省や教育委員会からもたらされるそうした調査と報告は、拒否することは難しい。管理職が処理すれば、教師の労働がそれによって過重になることはないだろうが、多くが個々の教師に課され、報告書の作成も負わされる。教育実践に役に立つ調査であれば無駄ではないだろうが、単に行政的な観点からの調査などは、時間の浪費以外の何物でもない。特に、年3回義務つけられている「いじめアンケート」は、前後の検討も含めて、大きな負担を強いているだけではなく、いじめ対応を逆に難しくしてしまう側面もある。
いじめ問題が、現在の日本の学校教育における最大の問題のひとつであることは、多くの人が認めるところだろう。学校に子どもを通わせている親は、自分の子どもがいじめられていないか、あるいは、いじめの加害者になっていないかを、不安に思っているに違いない。いじめによる自殺という、取り返しのつかない悲劇も引き起こす。いじめは、学校に限らず、また現代社会に限らず、どんな人間社会にも存在していただろうが、今の日本で起きているいじめ問題の深刻さは、例をみないといってもよいのである。