「吃音は誰が直す?」を読んで

 毎日新聞に『「きつ音」は誰が直す?女の子が帰宅を拒んだ理由」という青山さくら氏(児童相談支援専門職員)の文章が掲載されている。興味深い内容だ。
 小学校5年生で、吃音の女の子が、担任に「家に帰りたくない」と言ったので、学校が児童相談所に連絡、筆者が呼ばれた。一時保護を考えたが、そのうち「帰りたい」といったので、一緒に家までいき、事情を聞いた。
 大きな家だったそうだが、英語力をいかしてCAをやっていた母親が、週3回英会話教室に通わせ、言語聴覚士に頼んで、吃音を直そうとしていたことがわかる。母親は、無理をさせていることはわかっているが、将来のために、親としてトレーニングさせることは当たり前のことだ、と筆者に語った。実は筆者も、吃音の傾向があって、教室に通った経験があったそうだが、そういう治療はほとんど効果がなかったようだ。

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悠仁親王が筑附の受験会場に

 懸案の悠仁親王の進学問題だが、当人が筑附の受験会場に現れて、どうやら受験をしたらしい。ネットでは既に多数のコメントで溢れているが、どう考えるべきなのだろうか。
 おそらく、世間の批判が強いので、とにかく受験をして合格したのだ、という形をとりたかったということだろう。提携校進学制度を活用するのならは、学力試験は免除されるといわれていたことが本当なら、このように、寒いなかわざわざ出向かせる必要もない。まさか、メディアが制度を誤解して報道したわけでもないだろう。やはり、形を整えたのだということに違いない。そして、実際に受験して合格したのだ、とアピールするのだろう。
 しかし、この問題をフォローしてきた者で、実力で合格したと考える者は、ほとんどいないに違いない。つまり、実際は、形だけの受験なのに、実質があるかのように振る舞うことに対して、更に批判が起きることになる。実際には合格が決まっていたのに、形だけでも受験をしました、と公表でもすれば、また世間の反応も違うかも知れないが、公表の仕方は、興味津々だ。

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ドーピング問題 指導者への罰が必要だ

 北京オリンピックは、審判の判定問題が多数でている。私は、基本的にオリンピック反対派なので、中継はみないが、報道で知る限りでは、近年になく不明朗な判定で揉めている印象がある。ジャンプのスーツ、スピードトラック競技の失格判定、平野のジャッジ。そして、今後もおお揉めになりそうなのが、ワリエワのドーピング問題だろう。まだ決着がついておらず、どうなるのかわからない。
 ロシアは国家的な関与が疑われて、ロシア国家としての代表派遣が認められないので、ROCなる組織をつくって参加している。ただし、これについては、「ドーピングをまったくしていない個人」という参加資格があるから、競技当日の検査でシロならよいというわけではない。

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5年前の雪崩事故で、引率教師が起訴 対象に疑問

 2017年におきた栃木県の高校登山部の、雪崩による死亡事故に関連して、当時引率していた教師が起訴されたというニュースが、各新聞に出ている。https://mainichi.jp/articles/20220211/ddm/012/040/096000c
 今年の2月に民事訴訟も起こされているが、5年も経過してからの起訴だから、かなり、起訴するかどうか揉めたと想像できる。当時の記事も読めるし、また、県が設置した第三者の雪崩事故検証委員会の報告書も、ウェブで読めるので、ざっと読んでみた。生徒7名と教師1名が亡くなった、痛ましい事故だったが、被害者の家族は、起訴でほっとしたと、新聞に語っているそうだが、起訴については、多少の疑問も感じざるをえない。
 事故は、以下のようなものだった。

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スキージャンプのスーツ失格問題 ひとりの厳しい審判の関与だったが

 スポーツは、ルールに基づいて行うものだが、服装に関するルールが厳しいものは、私はあまり知らない。科学が進歩すると、道具によって、成績が向上することがあるから、そのようなときに、道具に関するルールが設けられることがある。服装もその一種で、水泳の水着への規制が議論されたことは、記憶に新しい。夏のスポーツよりも、冬のスポーツは、服装や道具に影響される部分が多いと思われるので、ルールが細かいのかも知れない。ルールといっても、その判定も重要な要素となっており、判定が恣意的になったり、あるいは、人によって判断が異なったりすると、選手にとっては、大きな負担になるし、不利になることがある。
 北京オリンピックにおけるジャンプのスーツ問題は、近年になく揉めた例だろう。

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指揮者の晩年 ブロムシュテット

 最後まで現役で、幸福な指揮者生活を送った人として、絶対に欠かせないのがヘルベルト・ブロムシュテットだ。もっとも、まだ現役ばりばりだから、「最後まで」というのは、どうなるかわからないが、現在の活躍ぶりをみると、そのように予想できる。現在94歳だが、活発に指揮活動をしている。といっても、私はほとんど彼のCDはもっておらず、かなり以前に買ったドレスデンでのベートーヴェン全集と、レオノーレの全曲くらいだ。あまりフィデリオは好きではないということで、後者は聴いてもいない。ベートーヴェンの全集はすばらしい。しかし、以前からの評価でも顕著だが、多くの人は、このベートーヴェン全集をすばらしいと誉めるのだが、すばらしいのはオーケストラであって、指揮者をほめるのはまた少なかったような気がするし、私の感想もそうだった。

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「仕事のできない東大生」という記事

 『週刊現代」の記事「東大を卒業しても『仕事がまったくできない人」の意外すぎる共通点」という記事がある。かなりピントが外れているという意味でも、興味深い文章だ。
 記事の要点を整理しておく。
1 東大に合格すれば明るい未来が待っていると、受験生たちは信じているが、そんな時代は終わり、社会環境は激変している。
2 優秀な東大生の能力は青天井だが、それは1割だ。
3 企業就職した東大生は、MARCHに負けることも珍しくない。大学まで勉学一筋だった東大生に対して、イベント系サークルで楽しんでいたひとたちの口と体力に負けてしまう。
4 顧客に上から目線しかできず、失敗する。
5 昔は官僚や弁護士など、そういう東大生も活躍できたが、弁護士は供給過剰、官僚は激務の上権限はない。キャリア採用の東大卒は14%にすぎない。
6 企業でも、能力の高い東大卒は使い勝手のよい道具で、型落ちになれば棄てられる。
 細かい部分はさておき、私が一番興味をもったのは、企業における仕事のさせ方が、このようなものだとしたら、日本は、いかにも能力主義ではなく、能力を無視して社員をこき使う社会だということだ。ずっと、日本の教育は、過度な能力主義によって荒廃させられているという、教育学の認識に、ずっと疑問をもって、このブログでも考えているわけだが、この記事は、その点でもヒントをあたえてくれる。

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石原慎太郎都知事を振り返る

 石原慎太郎が亡くなった。直ぐに何人かの批判的なひとが、強烈な批判的文章を書いたので、礼儀を知らないのかというような非難が巻き起こるなどの、さすがに話題の多いひとだと思ったものだ。私が見た限りでは、最も早く石原非難をしたのは、一月万冊だったが、youtubeはあまり追いかけていないのか、たいしたことではないと思っているのか、あまり非難がないようだ。逆に、共産党の志位委員長が、「今日は控える」と言ったことが、評価されていて微笑ましかった。
 さて、日時も経過したので、そろそろ批判をしてもいいかと思う。
 まずは、私でも功績と認める点を書いておこう。

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流山市の人口急増による学校移転問題

 読売新聞が、流山市における中学移転に関する記事が掲載されて、ネット上で話題になっている。
 記事の趣旨は、人口が急増している流山市は、保育所などの政策ばかりが話題になってきたが、実は、小中学校問題は、深刻な状況になっている。この記事は、急増で教室不足になった南流山中学を、東京に移転して空家になっている東洋学園大学の敷地を活用するが、あまった部分を暁星国際中学を誘致する計画が進行しており、それに対して、住民が格差が生じるとして反対しているという記事だ。そして、ネットでのコメントは、住民のわがままを批判する声で溢れている。私立中学と市立中学が同居するのは、格差問題が起きて反対するという見解に対して、格差が実際にあるのは当たり前だし、市立と私立が隣あわせになっていることなど、他の地域ではいくらでもあるいうわけだ。その批判はさておき、記事自体が、実に不十分なもので、これでは誤解されても仕方ないように思われる。

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動画ライブ配信の女性殺害 投げ銭の弊害?

 埼玉県越谷市で、インターネットのライブ動画配信サービスをしていた女性が、視聴者だったと思われる男性に殺害される事件が起きた。越谷市は、私が勤めていた大学があるところなので、少々驚いたが、もともと犯罪が多い地域である。私が勤めていたころ、とくに前半期は、特に女子学生の部屋が空き巣に入られることが、けっこう頻発していた。その理由は、かなり明確で、とにかく街灯が少なく、夜になると住宅地は非常に暗くなるのだ。その後、街灯設置運動などの成果で、多少改善されたが、もっと改善の余地がある。
 もっとも、今回の事件は昼間であるし、特定人物を狙ったものなので、事情は異なるのだが。
 報道を読むと、以下のことがわかる。
・被害者の女性は、ライブ動画配信をしており、どうやら投げ銭システムを利用して、収入をえていたようだ。
・加害者の男性は、8歳も年下だが、彼女のライブ配信の視聴者で、当人のいうことには、一度会ったことがある。
・加害者は、女性から「配信者と視聴者の関係に戻ろう」と言われ、他の男のものになるなら、殺してしまおうと思ったというのが、動機らしい。
・加害者は自首をしている。

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