「名テノール歌手 ルチアーノ・パヴァロッティ 終の住処を訪ねて」(大矢アキオ)という文章があったので、パバロッティについて考えたくなった。
大矢氏が、次のように書いていることに気になったからである。
「すなわちパヴァロッティは、18世紀末のフランスに起源を遡(さかのぼ)り、すでに多くの音楽家が学んだ近代的な音楽院という教育システムを辿(たど)った人物ではなかったのである。代わりに、国や時代は違うものの、町にやってきた若き騎士が地元の歌合戦に挑戦するリヒャルト・ワーグナーの『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の世界に近い。