北朝鮮情勢再考

 4月27日に、北朝鮮情勢について書いたが、その後大きな変化があった。27日には、金正恩が政治的には死んでいること、政治的に内部抗争が生じていること、その後混乱が起きる可能性があることを書いた。
 5月1日に、肥料工場の竣工式に出席するという形で、金正恩とする人が登場し、これまでの病気説、死亡説を覆したということに、一応なっている。しかし、それでも、その報道をそのまま受け取られない人たちも少なくない。そうしたさまざまな見解をチェックした上で、再度書く必要があると思った。
 登場した金正恩についても、実は多様な見方があり、登場によって「ひとつ」になったわけではない。
 ひとつは、替え玉(影武者)説であり、これも、既に昨年から影武者が登場していたとする説と、今回の人物は影武者だとする説がある。替え玉説にたつ人は、金正恩の鼻、ホクロ、耳たぶなどをさまざまな写真を検討することで、何人かの異なる金正恩なる人物がいて、その一人以外は替え玉である、そして、今回もそうだとする。もちろん、それぞれの写真を検討しつつ、明確な違いは認められず、単にたまたま太っている時期か違うか、写真を撮ったときの確度などで生じる程度の違いだとする説がある。ただ、たまたま私が今回チェックしたものでは、影武者説の人は、右目脇のホクロを強調していたが(ある写真とない写真がある)、本人説の人は、そのホクロは問題にしていなかった。 “北朝鮮情勢再考” の続きを読む

憲法記念日に考える

 今日は憲法記念日なので、憲法について少々考えたい。
 私は、憲法をずっと変更なく維持することに賛成ではないし、現在の憲法で変更が必要である部分はいくつかあると感じている。しかし、その多くは人権の部分のより充実であって、9条を変更する必要はないと考えている。護憲派は平和ボケだという批判があるが、むしろ、改憲派こそ平和ボケだと思っている。日本が戦後、各地の戦争に巻き込まれることがなかったのは、明らかに憲法のおかげであって、憲法があっても平和だったのではなく、憲法があったからこそ平和だったのである。もし、日本国憲法、そして第9条がなければ、ベトナム戦争に、日本はもっと深く関わり、軍隊を派遣せざるをえなかった可能性が高い。湾岸戦争で、「感謝されなかった」ことで、人をださなければならないなどという「反省」をしたが、私は妙な反省をしたものだと思う。クウェートは、湾岸戦争で自分たちを助けてくれた国に感謝の念を表明したが、日本がそこになかったことで、日本の政府関係者は大きなショックを受けた。日本だって大きな貢献をしたのに、と。しかし、日本は、アメリカに対して軍事費を提供したのであって、クウェートを直接援助したわけではなかった。だから、表のなかになかったとしても、別に不思議ではなかったのだ。むしろ、戦争行為に加担せずに済んだことをよかったと思う。 “憲法記念日に考える” の続きを読む

北朝鮮情勢を考える ボートピープルへの備えは必要ではないか

 金正恩危篤、あるいは死亡の憶測が、さまざまなメディアで流れている。もちろん、正式発表がなされるまで、正確なことは、当事者の近くにいる者以外にはわからないわけだが、できるだけ公開されている情報を元に、何がおきていて、何が今必要かを考えてみたい。
 金正恩は、政治的には死亡していると思われる。4月15日と25日の極めて重要な行事に出席していないこと、これだけ死亡説が流布し、しかも、アメリカの有力メディアが報道しているにもかかわらず、北朝鮮がなんらコメントしていないこと、中国から2度に渡って医師団が北朝鮮に入ったと、かなり確度の高い情報として流れていること、米中韓の政府がいずれもこの点について沈黙を守っていることなどが、その根拠である。 “北朝鮮情勢を考える ボートピープルへの備えは必要ではないか” の続きを読む

発熱後4日待機ルールはなかった? 追求しない新聞は?

 Business Journalのホームページによると、新型コロナウィルス感染症対策専門家会議医院の釜萢敏氏が、4月22日の記者会見で、「受診の目安のとされてきた「発熱後4日間自宅待機ルール」に関し、「普段あまり受診されていない方でも体調が悪い状態が4日も続くようなら受診してくださいという趣旨だった」などと発言をして波紋が広がっている。」と報道されている。: https://biz-journal.jp/2020/04/post_153919.html
 ネット上では怒りの声があがっているようだ。私もびっくりしたが、不思議なことに、24日の段階で、朝日、毎日、読売、産経各紙のウェブ版には、このことは全く報道されていない。釜萢氏は、テレビなどにもでて、解説をしていた人だが、まさかこんな嘘をつくとは思いもよらなかった。今後もテレビにでるのだろうか。(25付けの毎日新聞に、釜萢氏へのインタビューが掲載されているが、この点については全く触れていない。質問もしていないのか。) “発熱後4日待機ルールはなかった? 追求しない新聞は?” の続きを読む

新型コロナウィルス専門家会議方針の矛盾

 大阪の病院で新型コロナウィルスに感染している看護師に夜勤をさせていたということが、大きな問題になっている。知事はあってはならないことだと非難しているし、保健所の検査も入ったようだが、好ましいことではないし、避ける必要があったのだろうが、この病院を非難することには疑問を感じる。ではどうすればよかったのかということだ。夜勤は必要であり、人を手配しようとしたがいなかった。だから、感染した患者が入っている病棟で仕事をさせたということだが、既に感染している人なのだから、仕方ないと考えたのだろう。
 おそらく、こうした事例は他にもあるし、今後どんどん起こってくるのではないかと考えられることだ。そして、そうした事態は、政府の方針によって引き起こされた面が強いことを考えなければならないし、方針が根本的に転換しない限り、今後もどんどん起きてくると予想されるのである。病院だっていいことだと思ってやっていたわけではないだろう。 “新型コロナウィルス専門家会議方針の矛盾” の続きを読む

NHKスペシャル 新型コロナウィルス瀬戸際の攻防をみて

 遅まきながら、録画していた上記番組を見た。政府の対策組織のなかのクラスター班の活動を追ったドキュメントである。確かに、クラスター班のひとたちが超人的な努力をして、なんとか事態を打開しようと奮闘していることは伝わってくる。
 しかし、もっとも基本的なところで、クラスター班の「論理」は破綻しているとしか思えなかったのである。それはどういうことか。
 ここに登場するひとたちは、中心的な押谷教授、西浦教授であるが、この班の共通の課題意識が、「経済活動を維持しながら、感染を止める」と語られている。クラスターという、それまでは耳慣れない言葉が普及したのは、このひとたちの努力によるのだが、ある場で複数の感染者が発生して、そのうちの感染者が他の人に更に感染していくという連鎖が生じた場をクラスターと呼んでいる。なぜクラスターと呼び、集団感染と呼ばないかは、専門家会議の尾見氏が、youtubeで説明していたが、インフルエンザなどだと、感染した人はほぼ全員が他の人に感染させるが、新型コロナウィルスは感染者のうち5人に1人程度しか、他に感染させないから、その感染させている人を追跡していけば、感染のルートが把握でき、拡大を防ぐことができるということらしい。ただ、その説明を聞いたとき、私はまったく納得ができなかった。そのyoutubeは山中教授との対談だったのだが、当然山中氏は、そのことについて理由を問いただしたが、尾見氏は、わからないと答えていた。わからないのに、そんなことが断言できなるのだろうかと不思議に思うが、とにかく、クラスター班はそういう前提で作業を進めていた。 “NHKスペシャル 新型コロナウィルス瀬戸際の攻防をみて” の続きを読む

パチンコ店問題を考える

 このところパチンコ店に関する話題が多い。私が住んでいる隣の県が、まだ緊急事態宣言が発せられていない時期には、他県から多数の客が、パチンコ店に押し寄せていた。実際に車で側を通って確認している。その後、全国に緊急事態宣言が拡大してからは、パチンコ店も自粛対象となったために、おそらく多くの店は自粛するようになったが、いくつかの店が、営業しているし、更に都内でこれまで自粛していた店のなかで、再開するところも出てきたという。
 元々パチンコ店は、自粛の対象になるかどうかで、都と国とがかなりのさや当てがあった。3密を防ぐという方針が正しいとしたら、パチンコ店は明らかに相当するのだから、自粛要請するのが自然なのに、どういうわけか国は一時含めなかった。業界のロビー活動や、自民党議員のなかに、パチンコ業界と関係の深い人がいるのではないかとか、いろいろと噂があった。その後調整が進んで、自粛要請の対象となったが、宣言対象外の県に大量の客が流れる→対象になっても店をあけるところがある→東京でも再開する店が出てきた。こんな感じで今に至っている。 “パチンコ店問題を考える” の続きを読む

オリンピックは延期ではなく中止に

 IOCが、延期された五輪の追加費用を、日本側が大部分を負担するということで、安倍首相も合意したと公表し、日本側は、森委員長や菅官房長官、橋本五輪担当相などが、そうした事実はないと懸命に否定し、IOCがホームページからその旨を削除したという。日本側の慌てぶりが目に見えるようだ。しかし、肝心の安倍首相の「否定」は、今のところ目にしない。
 コロナウィルス問題で、明らかに今年の開催が不可能であるのに、なかなか延期の決定をしなかったのは、先に言い出すと、追加費用の負担を押しつけられるから、とにかく、相手に先に言わせようとしているのだ、などと噂されていた。そういうとは、当然あるだろう。
 しかし、私は、何らかの約束を安倍首相がしているのではないかと、疑っている。それは、おそらく2年延期が合理的であるのに、安倍首相がかなり強行に1年延期を主張して、それが通ったと報道されているからだ。 “オリンピックは延期ではなく中止に” の続きを読む

マスク争奪戦に敗北? 休校措置なのに教職員は勤務?

 AERAdotに「マスクブローカーが暴露『世界的争奪戦に敗れる日本政府』の実情『供給増』はウソだ!」という記事が出ている。一向にマスク不足が解消しない理由が、これでよくわかった。こんなことだろうとは思っていたが、要するに、多くを輸入に頼っているのだから、商品(マスク)を買いつけしなければならないわけだが、購入方式の固執、そして、日々動いている値段の無視、あるいは無配慮によって、購入合戦に負けているから、輸入できないのだということが、媒介しているブローカーによって説明されている記事だ。
 日本の官僚って、いつからこんな無能になったのだろう。おそらく、データ改竄・隠匿や忖度を日常的にせざるをえない状況のなかで、士気が著しく低下しているのだろう。
 理容室やパチンコが、業界やIR絡みであるとの報道もある。
 更に、どうも理解できないのが、学校への対応だ。休校措置をとっているのに、教職員は出勤している。もちろん、学校でないとできない仕事などはあるだろうが、東京などはテレワーク可能な条件があるはずであるし、また、ないとしても、教師は日常的に仕事を家庭に持ちかえってやっている。だから、かなりの人数を在宅での仕事、あるいはテレワークに切り換えることができるはずなのに、ほとんど当然のように、出勤が求められている。子どもの感染を防ぐことは重要だが、教職員の感染を防ぐことだって大事ではないか。地方の学校の教師は、マイカー出勤が多いので、感染の確率は低いかも知れないが、今回緊急事態宣言が出されたのはいずれも大都市を含む自治体だ。特に東京では、車での出勤が禁止されている学校が多いと思われる。だから、職場への往復での危険はあるのだ。教師が感染したら、それだけ休校措置を延長しなければならない。
 政策の趣旨をもっと徹底する必要があるのではないか。
 

不可解な新型コロナウィルス対策のいくつか

 非常事態宣言が発せられて以降、かえって感染者が増えている。私は、退職の身なので、ほとんど一日コロナ情報に接しており、また、海外の情報もテレビで得ている。そういうなかで、現場で影響力を行使しているひとたちの行動に、理解できないものをいくつも感じる。
 現在、本当に医療崩壊の危機に直面している。というより、既にいくつかの地域では医療崩壊の現象が起きている。今後そうした事態がどんどん進行するだろう。
 何が不思議かというと、そういう現象がおきるという警告を、たとえば、羽鳥モーニングショーは2カ月くらい前から、毎日のように発してきた。そして、そうならないための方策を説明してきた。厚労省との論争などになった番組だから、政府関係者も注目していることになる。どういうことを言ってきたかというと、私なりの理解で整理すると “不可解な新型コロナウィルス対策のいくつか” の続きを読む