毎日新聞(2020.6.21)によると、京都で、パトカーに追跡されたワゴン車が、交差点でタクシーにぶつかり、ぶつけられたタクシーが、はずみで交差点近くにいた自転車にぶつかった、という事故を報道している。私はずっと以前から、こうした事故が起きると、パトカーの追跡はやめるべきであると、ブログに書いてきた。アメリカでは、こうしたパトカーによる追跡が行われ、結局捕まえたというような報道が、映像とともに流される。まさか、日本でも負けないぞ、と警察が意気込んでいるわけではないだろうが、日本とアメリカは、道路事情が異なるので、日本でのパトカーによる追跡は非常に危険で、無関係な人を巻き込む可能性が非常に高いのだ。
もう30年以上になると思うが、目の前でパトカーがバイクを追跡し始める瞬間を見たことがある。どういう事情かわからないが、バイクが違反をしたのだろう、それをバックミラーで見たと思われるパトカーが、猛烈なスピードでバックし、非常に狭い交差点までいくと、そこで反転してバイクを追いかけていた。その先はわからないが、とにかく狭い路地のようなとこに逃げこんだバイクを、パトカーはかなりの時間追い回していた。サイレンが聞こえるからわかるのだ。幸い、車や自転車がほとんどいない時間帯だったので、事故は起きなかったが、2,3台でも車がいたら、ぶつかった可能性がある。なにしろ左車線にいたパトカーがそのまま、バックしたのだから。実は、そのすごい運転テクニックに驚いたというのも正直なところだ。(前進でもかなりのスピードになるくらいをバックでだし、100メートルくらいの狭い交差点で反転させて、直ぐに猛スピードでバイクを追いかけた。)
その後、パトカーによる追跡の記事を注意してみるようになった。
もちろん、パトカーの制止を振り切って逃走する行為は、そのこと自体が罰せられるべきだと思う。何らかの理由があって制止するのだろうから、止められたら応答すべきものである。理不尽な言いがかりの場合もあると、私は思う。しかし、だからといって、制止を無視する理由にはならない。そのことを法律的に明確にし、免許取得や更新の際に、罰則も含めて繰り返し教育する必要があるだろう。
日本のような道路事情で、パトカーが逃走する車を追跡すれば、逃走した車が無関係の車や人にぶつかる危険性は、極めて高いのだ。しかも、そうとうなスピードを出して逃げているわけだから、事故が起きたときの被害が大きくなる。事実、そうした事故は、頻繁に起きているのだ。
昔なら、逃げ得になる可能性が高かったから、追跡が必要だという見解だったかも知れないが、今はドライブレコーダーが高性能になっている。逃走車のナンバーを確認した段階で、追跡は必要というわけではなく、後日出頭命令を出せばよい。もちろん、出頭命令に応じない者もいるだろうが、その場合には捜査して逮捕すればよい。
うまくナンバーが撮影できない内に逃げられたとしても、近辺にいた他の車のナンバーがいくつかわかるはずだから、その運転手たちのレコーダーに写っている可能性が高いはずである。だから、逃走した車を特定することはほぼ可能だと、私には思われる。
それでも出頭しないで逃げられることはもちろんあるだろうが、そのマイナスと、事故が起きて人命が失われるマイナスと、どちらが大きいか。