玉木氏の維新への怒りは自業自得

 維新が自民党と連立する動きが出てきて、国民民主党の玉木氏が怒りを爆発させているようだ。せっかく、自分たちと協議しているのに、その最中に自民党と組むことを決めるとはなにごとだというわけだ。
 しかし、ネットの反応をみても、玉木氏に同情する声は少ない。当然のことだと思う。この間、政党間の協議は多様に行われていて、野党同士の協議の合間に、単独野党と自民党の協議も行われていることは、別に隠密行動だったわけでもなく、公開されたいた。ようするに、互いの合意の早い者勝ちという状況だったわけである。
 ところが、玉木氏の態度は、はたからみていても煮え切らないもので、早い決断が必要なところで、ぐずぐずしていたことは明らかだった。これでは、獲得できるものもできなくなる。
 玉木氏の思いを想像するに、要するに、自民党と組んだ場合のメリットと、野党連合のメリットを秤にかけていたのだろう。自民党と組めば、103万円の壁と、ガソリン税暫定税率廃止という自党の政策を与党に実現させる可能性が高くなる。世論に訴えることもできるし、政権運営の面倒なことにかかわらずにすむ。他方、野党連合政権となれば、なんとていっても総理大臣になれる。これは千載一遇のチャンスといえるだろう。自民党と連立をくんでも、総理大臣にはなれない。いわれている財務大臣というのも、そこまで自民党が譲歩するだろうかと疑問である。
 さて、維新と国民民主、立憲民主の3党協議の際、維新は、国民と立憲がしっかりと合意形成できれば、3党連立にのるという話をしていたと思う。つまり、しっかりと合意形成できていないし、近々できそうもないと判断すれば、自民党との連立に踏み出すことは、充分に予想できた。玉木氏自身が、立憲とは基本的な政策で違いがあるなどと、総理の座を提供するといって、立憲が最大限の譲歩をしているのに、さらに難問を吹きかけるのでは、まとまることはないだろうと、維新が判断したのも自然なことだろう。
 これで、玉木総理大臣の芽はなくなったといえるだろう。そして、自分のぐずぐずした態度が、その椅子を遠ざけたのである。維新に愚痴をいうような立場ではない。

 どの政党も支持しているわけではないので、この間の政党間のかけひきは、非常に面白いと思っていた。そして、組織を動かすことの難しさも実感できた。感想となるが、玉木氏は総理大臣の器ではないことがはっきりしたと思う。
 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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