動画ライブ配信の女性殺害 投げ銭の弊害?

 埼玉県越谷市で、インターネットのライブ動画配信サービスをしていた女性が、視聴者だったと思われる男性に殺害される事件が起きた。越谷市は、私が勤めていた大学があるところなので、少々驚いたが、もともと犯罪が多い地域である。私が勤めていたころ、とくに前半期は、特に女子学生の部屋が空き巣に入られることが、けっこう頻発していた。その理由は、かなり明確で、とにかく街灯が少なく、夜になると住宅地は非常に暗くなるのだ。その後、街灯設置運動などの成果で、多少改善されたが、もっと改善の余地がある。
 もっとも、今回の事件は昼間であるし、特定人物を狙ったものなので、事情は異なるのだが。
 報道を読むと、以下のことがわかる。
・被害者の女性は、ライブ動画配信をしており、どうやら投げ銭システムを利用して、収入をえていたようだ。
・加害者の男性は、8歳も年下だが、彼女のライブ配信の視聴者で、当人のいうことには、一度会ったことがある。
・加害者は、女性から「配信者と視聴者の関係に戻ろう」と言われ、他の男のものになるなら、殺してしまおうと思ったというのが、動機らしい。
・加害者は自首をしている。

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菅氏と維新の争い 不祥事と言論を一緒にするな

 菅直人氏のツイッターに維新が噛みついている問題が、なんともみっともない。ことの始まりは、菅直人氏が、以下のような文章をツイートしたことに始まる。
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菅直人 衆議院議員(府中・小金井・武蔵野) 立憲民主党
@NaotoKan
1月21日
橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的。しかし「維新」という政党が新自由主義的政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧。主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす。
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 これに対して、維新がかみついた。ちなみに、言われた橋下氏自身は、「ほめ言葉と受け取っておく」という皮肉めいた返しをしているだけで、抗議する意志は示していない。維新は、まず立憲民主党に批判の矛先を向けたが、管議員の個人的見解で、党としては関与しないと言われたので、維新の馬場代表(議会での代表)が菅氏に抗議にでかけたが、菅氏から「橋下氏と維新の関係」を問われ、現在は関係ないと馬場氏が答え、それなら、なぜ馬場氏が抗議にくるのかと、いなされてしまった。

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医師殺害の罪を重くできないか

 最近ありえないような事件が立て続けに起きているが、この事件は最も痛ましい、また犯人に腹がたつ事件だ。
 90歳を超える母を一人で看護していた60代の息子が、在宅医療の担当者を人質にしたあげく、殺害していたという事件だ。被害者は、地域の在宅医療の中心的な人物で、8割の患者を担当していたという。私の義母も在宅医療を最後まで続け、我々夫婦もできることなら入院はしたくないと考えている。しかし、私自身は、在宅医療が必ずしもベストだとは思っておらず、医療以外の要素も含めて、患者や家族が、入院か在宅を選択できるのがよいと思う。在宅で看取るのは、いろいろと制約があるし、在宅医療に携わる医師が多くないという、いろいろと困難な状況があるなかで、今回のような事件が起きると、当然医師側でより在宅医療を躊躇する意識が強くなるに違いない。

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大学共通テストでの不正

 大学入試で、これだけ世間を騒がせた不正は、久しぶりではないだろうか。私が若かったころは、毎年のように新手の不正が登場したものだ。いまだに記憶にある印象的なものは、当時刑務所で入試問題を印刷していたが、印刷にかかわっていた囚人が外と連絡をとって、休憩時間にラグビーボール(?不確か)のなかにゲラをいれて、塀のそとに蹴りだした事例と、さる有名女子大で、娘の代りに父親が替え玉受験したという事例だ。特に後者については、いまでも頻繁に話題になる。母親が替え玉になるのはわかるが、父親が娘の振りをするというのは、なんとも大胆だ。私の記憶では、すね毛が濃いことに不信をもたれて発覚してしまったのだが、黒いストッキングでもしていればわからなかったのに、と冗談に言い合ったものだ。
 その後、受験生の入構チェックが厳しくなったとか、試験中の監督も厳しくなり、そうした不正は少なくなり、不正はほぼ私大の医学部に集中するようになっていた。ちなみに、大学紛争によって、入試粉砕闘争なるものが行われるようになる以前は、入試の最中でも、普通に学内にはいることができたものだ。そのため、いくつかの大学では、現役学生が学内に控えていて、入試が始まると試験問題を受け取り、急いで解答して、正解答集を印刷して、帰宅する受験生に販売するなどということも行われていた。これは構内にはいることができるため可能だったわけだ。

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宮内庁の暴論と言論抑圧

 1月24日に、宮内庁が、週刊誌報道に苦言を呈してたと一斉に報道された。
短い共同通信の報道を引用しておく。
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 宮内庁は24日、秋篠宮家の長男悠仁さま(15)の高校進学を巡る週刊誌などの報道に対し「受験期を迎えている未成年者の進学のことを、臆測に基づいて毎週のように報道するのは、メディアの姿勢としていかがなものか」とする見解を公表した。
 悠仁さまは現在、お茶の水女子大付属中3年で、今春に高校進学を控える。秋篠宮家の側近は21日の定例記者会見で、進学に関する週刊誌やインターネット上の記事への受け止めを問われ「現時点では具体的な説明は控えたい」と述べていた。
 この「補足説明」として24日に文書を公表し、一部メディアに苦言を呈した。
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 この姿勢は、今に始まったことではないが、極めて大きな問題をはらんでいる。この間の週刊誌の記事は、私もできるだけ目を通しているが、確かに多くは「憶測」による記事である。だから、私も利用するときには、憶測だから本当のことであるかはわからないという断りをたいていいれることにしている。しかし、憶測ではあるが、状況証拠のようなものはあり、もし、その憶測で危惧されていることが実現したら、由々しき事態であると考えるから報道しているだろうし、私もここで書いている。

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支持されない皇室は存続できない 進学問題から見えること

 悠仁親王が、筑波大付属高校に既に合格しているという情報や、これに関して天皇が秋篠宮を呼んで、苦言を呈したところ、秋篠宮は納得しなかったばかりではなく、主に動いているのは紀子だから、そっちに文句を言ってくれと言い捨てたというような話が、週刊誌などに報じられている。あいかわらず日刊ゲンダイだけは、皇族なのだから、どこに入ろうと当然だというような擁護論を書いているが、冷静に考えれば、こうした形で、将来天皇になるかも知れないひとが、国民の大きな反感をかいながら、学歴を積み重ねていくことは、将来の日本にとって、大きな損失をもたらすと考えざるをえない。もちろん、悠仁親王が本当に天皇になるかどうかはわからないし、その前に皇室典範が改定されて、愛子天皇の実現に動くかも知れない。しかし、現政権は秋篠宮、悠仁親王という路線を、現時点で変更していないから、可能性はある。
 では、なぜ将来の日本にとって損失となるのか。

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入試に皇室特権はあるのか あるのは政治力の行使だ

 悠仁親王の高校進学問題は、いよいよ受験シーズンに突入して、ますます大きな話題となっている。これだけ、世間に晒させてしまったという点で、両親の責任は重いといえる。
 題名のように、皇室特権という言葉で、語られていることが多い。秋篠宮は、本人のいきたいところに行かせたい、と語っているらしいが、そもそも受験の世界では、本人のいきたいところに無条件でいけるわけではない。いきたいという希望は大事だが、世間には「試験」という関門がある。まるで、秋篠宮のいい方は、「関門」は自分たちには存在しないと思っているかのようである。確かに、「学者」のなかには、皇族は行きたい学校にいけるという特権がある、と主張している人もいるらしい。
 では、どうなのか。
 結論をいえば、そんな特権は、どんな法令・規則にも書かれていないはずである。確かに戦前は、皇族は学習院で学ぶことが規定されていた。学習院は、天皇家のための学校として出発したのだから、皇族や華族が特別な地位を占めていた戦前においては、それは当然のこととして受け取られていたに違いない。

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皇位継承に関する各政党の政策

 皇位継承に関する有識者会議の報告書の議論が、国会で始まるそうだ。ほとんど意味のなさない報告書の議論をして、どんな効果があるのだろうかと疑問ではあるが、報告書がでたのに無視するということもできないのだろう。
 念のために、各党の政策を検討してみることにした。
 最も政策としてすっきりしているのは、共産党である。以下に志位委員長の見解として述べられている。https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/post-807.html
 詳しいことは、読んでもらうことにして、以前は天皇制廃止を主張していたが、現在は、天皇の制度を廃止するような主張はしていないということだ。民主主義と君主制は矛盾するが、現在の天皇のあり方は、憲法を遵守する限りでは、君主制ではないという認識にたっているらしい。天皇は国政の権能をもたないと明確に書いてあるので、政治的権能をもたない、単なる象徴は君主ではないということだ。そして、継承のあり方も、憲法にあう形にすべきであり、それは男女を問わない長子継承であるというものだ。

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行き詰まった悠仁親王進学問題

 あまり根拠が示されていないのだが、youtubeでは多数、悠仁親王の進学に際して、筑波大学が断ったということが言われている。そこで、早稲田に志望を切り換えたというのだ。現時点で、確実な情報ではないので、どこに決まるかは論及しないとして、この問題は、予想よりも広い影響を与えているように思われた。教育問題でもあるので、避けて通れない気がした。
 進学を望まれた筑波大学付属高校の側から、この問題を考えてみる。もし、一般の入学試験を受けて、確かに高得点をとり、堂々と入学してもらえるならば、学校としてはかなりの名誉になるのかも知れない。しかし、誰がみても、学力不足の、特別な地位にいるひとが、そのひとのために設けられた特別入学制度「提携校進学制度」(特別裏口入学制度というべきか)を使って入学してくるとなると、名誉などとは遠い評価を受けることになるに違いない。

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皇位継承有識者会議報告書の検討4

 今回は最後の検討だが、対象は小泉内閣のときにだされた「皇室典範に関する有識者会議」の報告である。周知のように、これは、長子継承の提案を行い、小泉内閣のときに法案まで準備されたものだが、議論が始まる前に、悠仁親王の妊娠が発表され、安倍官房長官が、この親王の即位を妨害するのか、と小泉首相に迫って、改革を見送らせたというものだった。しかし、答申としては残っており、当然今回の有識者会議においても、最も重要な文書として検討の対象とすべきものだったはずだが、まったく無視されたようだ。
 この文書をじっくり読んでみたが、自民党政府の審議会報告として、これほど、明快な論理と結論を示した文書を他に知らないくらいである。
 さて、内容を紹介しつつ、検討してみよう。

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