皇位継承に関する有識者会議の報告書の議論が、国会で始まるそうだ。ほとんど意味のなさない報告書の議論をして、どんな効果があるのだろうかと疑問ではあるが、報告書がでたのに無視するということもできないのだろう。
念のために、各党の政策を検討してみることにした。
最も政策としてすっきりしているのは、共産党である。以下に志位委員長の見解として述べられている。https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/post-807.html
詳しいことは、読んでもらうことにして、以前は天皇制廃止を主張していたが、現在は、天皇の制度を廃止するような主張はしていないということだ。民主主義と君主制は矛盾するが、現在の天皇のあり方は、憲法を遵守する限りでは、君主制ではないという認識にたっているらしい。天皇は国政の権能をもたないと明確に書いてあるので、政治的権能をもたない、単なる象徴は君主ではないということだ。そして、継承のあり方も、憲法にあう形にすべきであり、それは男女を問わない長子継承であるというものだ。
ちなみに、公明党の山口代表が、「共産党は、天皇制が憲法違反と主張している」という発言をしたが、現在の政策においては、まったく間違いであることははっきりしている。ただし、以前は確かに、そのように主張していたが、政策の変更はどの政党にもあるので、重要な変更を無視して非難するのは、デマというべきであろう。
社会民主党は、ホームページで検索をかけたが、天皇継承に関する文章はヒットしなかった。断固憲法を守るという政党にしては、疑問を感じざるをえなかった。憲法の第一章は「天皇」であり、しかも、憲法の大原則と、皇室典範は矛盾しており、かつ、天皇の継承問題が大きな社会的課題になっているのに、まったくその点に触れないというのは、政党としてあまりに力量不足の程度が激しいのではないか。
公明党は、明確な政策を示していないように思われる。平成の天皇が退位したときに、皇位継承問題については、「慎重な議論が必要」とのみ述べ、現時点での政策を明示していない。公明党のホームページで、検索をかけるとgoogle検索にページが飛ぶようになっているのは、ちょっと驚いた。公明党内のページの検索をしたつもりなのに、どうなっているのだろう。
また、2019年には、山口代表が、皇位継承については、やはり慎重な議論が必要と発言しており、更に、「女性天皇、女系天皇について、国民は十分理解していない」という発言をしている。https://www.sankei.com/article/20191126-WCOVAFFZKVLEJLXP5OBQUZNUSI/ 産経新聞の記事なので、バイアスがかかっているかも知れないが。公明党ではないが、「創価学会『日本民族に天皇は重要ではない』」という記事があり、伝統的に、創価学会は天皇の問題には関与しない、否定もしないという立場をとっているという記事である。https://president.jp/articles/-/28800?page=1(小川寛大)そうした天皇に無関心のために、創価学会は凋落しているという記事なので、これもバイアスはあるだろう。
創価学会にしても、公明党にしても、天皇の問題は宗教に関係している部分があるので、扱いにくいことは確かだろう。
立憲民主党はどうか。ホームページには、次のように書かれている。「皇位の安定的継承と女性宮家の創設にむけて国民的議論を深めます。」
立憲民主党のホームページには、検索の機能がないので、詳細な検索ができないが、基本政策のところにあった文章である。NHKの記事にも、「女性天皇や女系天皇なども含めて安定的な皇位継承のための方策を検討し、党の考え方をまとめる方針を確認しました。」と書かれている。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220114/k10013430741000.html しかし、検討の責任者が、野田元総理だから、あまり期待はできない。総理のときに報告書をだしているが、民主党政権でありながら、小泉内閣の方針をだいぶ後退させていた。
日本維新の会は、基本政策として、簡単に以下ように書かれている。
「皇室制度については、古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重みを踏まえた上で、安定的な皇位継承に向け旧宮家の皇籍復帰等を選択肢に含めて、国民的理解を広く醸成しつつ丁寧な議論を率先します。」
自民党保守派は基本的に同じということだろう。
自民党のほうが、日本維新の会より、幅が広いということか。男系男子派(安倍)から、女性容認(岸田・高市)、女系容認(野田聖子)までいるから、少なくとも党員の考えとしては、自民党内部にら、あらゆる選択肢が存在していることになる。https://www.jiji.com/jc/article?k=2021092700835&g=pol
整理すると次のようになる。
・明確な女性・女系天皇容認 共産党
・女性・女系天皇容認に傾いているが、明確にはできない部分がある 立憲民主党、社会民主党
・明確な見解をもたない 公明党
・男系男子維持・旧宮家の復活 日本維新の会
そして、肝心の自民党は、上記のすべてを含んでおり、党内政治でどうなるのかわからない。男系男子断固維持派が強いように見えるが、世論は明確に女性・女系天皇容認であり、小泉内閣ではその線で法案まで準備された。どこに落ち着くかは明確ではない。
私に言わせれば、女系・女性容認などは、国際的な常識である。