ウクライナ侵攻の実質的失敗が見えてきたが、ヨーロッパにも黄昏が

 ウクライナ侵攻が始まったとき、意外に多くの人が、これは「プーチンの終わりの始まりだ」と主張していた。確かにその通りだと思う。そして、それが少しずつ現実的に見えてきた。
 まずはっきりしてきたのは、プーチンは、明らかに逆の効果を、ウクライナ侵攻で呼び込んでしまった。プーチンの最低限の目標は、ウクライナにNATO加盟を断念させることだった。ウクライナがNATOに加盟してしまえば、ロシアがNATOと直接接することになる。だから、どうしても、緩衝地帯がほしい。実は既にバルト三国と国境を接しているのだが、比較的大国であるベラルーシとウクライナがNATOに加盟していないから、大きな緩衝地帯を形成していた。しかし、ウクライナ侵攻の結果、スウェーデンとフィンランドがNATO加盟の意向を示し、国民の支持も形成されている。スウェーデンは直接ロシアと国境を接していないが、フィンランドはかなりの長い隣接地域がある。しかも、フィンランドは、西側に属しつつも、ソ連、ロシアとの関係を考慮して、NATOに入らないできた国だ。それが、NATO加盟を決意し、夏には実現するといわれている。スウェーデンやフィンランドは、自由主義国家の優等生のように考えられているし、国防もしっかりしているから、加盟申請すれば、NATOとしてはすぐに承認するだろう。プーチンのNATO対抗意識を、国民は嫌でも知らされているはずだから、スウェーデンとフィンランドが実際にNATOに加盟したとき、プーチンは国民にどう説明するのだろうか。また、国民はどう受け取るのだろうか。フィンランドもナチが支配するようになってしまったというのだろうか。

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下田旅行2

 昨日の分になるが、まず、宿舎から少し離れた海岸の名所というほどでもないが、「サンドスキー」というところにいって、かなり昇り降りしながら見物した。まず、岩が波で削られた洞窟で、かなり狭い空間が開けている。
 
 
 今度は上に登っていって、海を眺望できるところが遊歩道になっている。
 

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伊豆旅行1

 これからは、年に1回程度旅行に行こうということで、今日から伊豆旅行にでかけた。中央道、圏央道、東名から、伊豆縦貫道を通って、下田にきた。
 下田はずいぶん前にきたことがあり、歴史を感じさせる町だが、今回もペルー道などを通ってみた。本格的には明日からになるが、その報告をしたい。まったく個人的なことだが、ご寛恕願うということで。
 伊豆縦貫道に入って、しばらくスルト、「天城越え道の駅」があり、そこでしばらく時間を過ごした。というのは、「昭和の森」という記念館があり、下田・伊豆に関係する文学者の資料がそれなりに展示されているので、それを見たかったわけだ。「天城越え」といえば、私にとっては、当然松本清張の小説が思い浮かぶわけだが、どういうわけか、この「昭和の森」記念館には、松本清張がまったく扱われていない。最も重視されていたのは、井上靖で、移転された旧宅まである。

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アイヌを救うために、プーチンが日本を攻める?

 ウクライナへのロシアの侵略を受けて、日本もロシアに侵攻される危険性があるという議論がある。しかも、その前哨戦のようなことが行われていると主張する人もいる。北方領土で軍事演習をしたり、ロシア軍の艦隊が津軽海峡を通ったなどを、その根拠にしているわけだ。国際法に違反しているわけではないが、確かに日本としては、不快であることは確かだ。
 そして、更に、そうした推測を一部のひとたちに強めさせているのが、プーチンが2018年に行ったという「アイヌ民族は、ロシアの先住民族に認定する」という考えだ。
 プーチンがジョージア、クリミア、ウクライナに侵攻した際には、すべて、その地域に住むロシア人が圧迫を受けているので、その救援をするという名目が語られている。だから、日本でアイヌ民族が圧迫されているから、彼らを保護するために、侵攻するのだ、というような状況が想定されるというわけだ。そういう議論のひとつが、以下の記事に示されている。
 

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『教育』を読む(2022・4) 都立高校の男女別定員を考える

    杉浦孝雄氏が「『都立高校男女別定員』問われていることは」という文章を書いている。私も昨年6月に、この問題について書いた。「都立高校入試のジェンダー平等を求める弁護士の会」が声明をだして、毎日新聞が記事にしたことかきっかけだった。
 そこで書いたことと、多少重なる部分もあるが、できるだけ視点を変えて、再度論じたい。6月の時点では、弁護士の会が、東京都教育委員会への要請を行ったのだが、その後9月に、東京都は、最終的には要求を受け入れ、3段階で男女合同定員に完全に移行することを決めたと、杉浦氏は書いている。
 杉浦氏の基本的立場は、男女別定員の設定は、歴史的な経緯もあり、また、むしろ女子の入学を守るアファーマティブ・アクションという側面もあり、また、男女が比較的同数に近く在籍していることの教育的利点もあるのだから、多角的に検討して、拙速に一律の方法を押しつけるべきではないというものだろう。

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ウクライナ戦争諸々 ロシアは弱いのか他

 連日、ウクライナ情勢ばかりニュース(CNNとBBC)を見ている。youtubeに出されている「解説」なども気になる。いくつか考えるところを記しておきたい。
 まず、豊島晋作氏の、「ロシア軍は弱いのか」という解説番組があった。https://www.youtube.com/watch?v=SZe64eOnPT4&t=928s
 ウクライナに侵攻したら、プーチンならずとも、かなり早期にキエフが陥落するのではないかと思われていたが、ウクライナの抵抗が激しく、いまだにキエフを包囲しているだけだ。それで、ロシア軍は弱いのかという問いに答えている。ここでは、ロシア軍の意外に旧式の武器を使っていて、対抗するアメリカの高度な情報機器の援助を受けたウクライナ軍に手こずっていることが解説されている。確かにそうなのだろう。いまだに制空権すらとれていない状況なのだから、世界2位の軍事力というのは、軍事費ではなそうだが、近代的な整備という点では遅れていることが暴露されてしまったというわけだ。しかし、「近代的ではないので、ピンポイント爆撃ができず、民間施設を破壊してしまっている」という見解には疑問だ。民間施設を爆撃しているのは、意図的であって、ピンポイント爆撃ができないからではないと考えざるをえない。相手の街を徹底的に破壊し、民間人を殺害することをいささかも躊躇しないのが、プーチンである。そのことは、チェチェン紛争の処理で証明されている。だから、ピンポイントが可能でも、住宅を爆撃させているだろう。「子ども」と大きく書かれた建物を爆撃したのも、けっして間違ったからではないだろう。

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読書ノート『プーチン 内政的考察』木村汎2反プーチンはなぜ成功しないのか

 プーチン的支配の記述のあとには、プーチンに反対するひとたちのことが書かれている。プーチンは、徹底的に反対派を弾圧し、なかには殺害された者もいるし、外国に暮らしているにもかかわらず、毒をもられた者もいる。そういうなかで、現在の反プーチン運動の代表者であるナヴァーリヌイにかなりのページが割かれている。
 現在収監されている身なので、表立ってウクライナ侵略への反対運動を起こすことができない訳だが、誰もが反プーチンの急先鋒であると認められているが、著者が不思議に思っているのは、これだけ目立った反プーチン活動をしているにもかかわらず、殺害の対象になっておらず、逮捕収監しても、命の危機には晒されていないということだ。これに対しての見方が、まったく正反対に分かれている。

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悠仁親王の筑附進学問題の広がり 筑附は収賄では?

 久しぶりに皇室ネタだ。ほぼ論点は尽くしたと思っていたので、しばらくご無沙汰していたが、やはり記しておく必要があることがでてきた。
 小室圭という一個人と内親王が結婚すること自体には、別に反対もしないが、このことのもつ意味は大きいと指摘した。それは、小室家が手にするものは、皇室の権威であり、その背景にある資産である。小室家が資産家であり、皇室の権威や資産をあてにしたわけではないという結婚であれば、おそらく、国民のだれもが、疑問にもつことはなかったろう。もちろん、家族の自死や近親者の反社会的人物などの問題はあるが、それをとりあえず無視しておけば、このあまりに一方的な社会的冨の偏在がもたらす影響である。あまりいい言葉ではないが、要するに「たかり」の構造が浸食するということなのだ。それは大分前に指摘した。小室氏の母親が刑事告発されているが、それは、まさしくたかり的姿勢が、公的資金を不正にえている可能性があるということだ。小室氏がたかるのは、倫理的に問題があるとしても、個人がそれを獲得しようとするのは、ごくありふれたことといえる。問題は、たかられるほうだ。「たかる-たかられる」は、共依存のような関係にあるものだ。

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教育に何故多様性が必要なのか

 昨日の宿題として、何故教育に多様性が必要なのかを残したが、それを考えてみよう。
 多様性は教育の様々なレベルで必要である。多様性の反対は画一化であるが、そうした圧力は確実に強まっている。その典型が「スタンダード」である。そして、画一化の圧力は、政策的にあるだけではなく、むしろ現場の管理者や教師自身のなかにも存在している。あるいは親などにもあるといえる。私の娘のある時の担任が、仮説実験授業を実践している教師だったが、子どもたちは非常に喜んでいたにもかかわらず、親たちが「教科書にそった授業をやってくれ」と抗議してやめさせたということがあった。これなどは、「教科書通りの」というやり方に画一化させる力が、親も求めることがあるという例だ。しかし、その結果、つまらない授業を子どもたちは受けさせられることになった。

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東京のコロナの実態は不明なのではないか?

 久しぶりにコロナネタだ。社会の雰囲気はすっかり、オミクロン株はたいしたことない、インフルエンザとあまり変わりはない。経済重視でよい。ピークも超えた。そんな感じだ。しかし、メディアは実態を伝えているのか。試しに、東京都のコロナ情報のホームページをみてみよう。https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
 ここには、検査数が14941件という数字と、19971.3というふたつの数字があり、陽性者は、14824.7と名ており、後者で計算すると、陽性率は74%であるが、前者の検査数で計算すると、実に99%である。ところが、ホームページでは、39.9%となっている。約4割という陽性率がどうやって導かれるのか、表を見ている限りはわからない。このページで、後者の検査数で計算しても、最近はほとんど陽性率が80%前後である。90%近くになることもあった。陽性率が90%というのは、確実に症状が現れていて、陽性がほぼ確実である人に、治療を施すための検査をしていて、そうでない者は、検査すらしていないという状況だと判断するのが、常識だろう。つまり、実態を把握して、有効な感染症対策をとるということが、完全に放棄されている。検査キットがないから仕方ないという問題ではない。第六波が来ることは、当然のこととしてわかっていたのだし、欧米での流行を見れば、その規模もわかっていたはずである。日本のオミクロン拡大が遅れてやってきたことは、日本人のワクチン接種が遅かったために、抗体有効期間が遅くまで続いたからであるというのは、ほぼ定説であった。つまり、遅れてはいるが、確実に感染拡大が起きることは、わかっていたのだから、当然検査キットの確保は絶対に必要だったのであり、それをさぼっていただけなのだ。 

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