『教育』を読む(2022・4) 都立高校の男女別定員を考える

    杉浦孝雄氏が「『都立高校男女別定員』問われていることは」という文章を書いている。私も昨年6月に、この問題について書いた。「都立高校入試のジェンダー平等を求める弁護士の会」が声明をだして、毎日新聞が記事にしたことかきっかけだった。
 そこで書いたことと、多少重なる部分もあるが、できるだけ視点を変えて、再度論じたい。6月の時点では、弁護士の会が、東京都教育委員会への要請を行ったのだが、その後9月に、東京都は、最終的には要求を受け入れ、3段階で男女合同定員に完全に移行することを決めたと、杉浦氏は書いている。
 杉浦氏の基本的立場は、男女別定員の設定は、歴史的な経緯もあり、また、むしろ女子の入学を守るアファーマティブ・アクションという側面もあり、また、男女が比較的同数に近く在籍していることの教育的利点もあるのだから、多角的に検討して、拙速に一律の方法を押しつけるべきではないというものだろう。

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ウクライナ戦争諸々 ロシアは弱いのか他

 連日、ウクライナ情勢ばかりニュース(CNNとBBC)を見ている。youtubeに出されている「解説」なども気になる。いくつか考えるところを記しておきたい。
 まず、豊島晋作氏の、「ロシア軍は弱いのか」という解説番組があった。https://www.youtube.com/watch?v=SZe64eOnPT4&t=928s
 ウクライナに侵攻したら、プーチンならずとも、かなり早期にキエフが陥落するのではないかと思われていたが、ウクライナの抵抗が激しく、いまだにキエフを包囲しているだけだ。それで、ロシア軍は弱いのかという問いに答えている。ここでは、ロシア軍の意外に旧式の武器を使っていて、対抗するアメリカの高度な情報機器の援助を受けたウクライナ軍に手こずっていることが解説されている。確かにそうなのだろう。いまだに制空権すらとれていない状況なのだから、世界2位の軍事力というのは、軍事費ではなそうだが、近代的な整備という点では遅れていることが暴露されてしまったというわけだ。しかし、「近代的ではないので、ピンポイント爆撃ができず、民間施設を破壊してしまっている」という見解には疑問だ。民間施設を爆撃しているのは、意図的であって、ピンポイント爆撃ができないからではないと考えざるをえない。相手の街を徹底的に破壊し、民間人を殺害することをいささかも躊躇しないのが、プーチンである。そのことは、チェチェン紛争の処理で証明されている。だから、ピンポイントが可能でも、住宅を爆撃させているだろう。「子ども」と大きく書かれた建物を爆撃したのも、けっして間違ったからではないだろう。

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読書ノート『プーチン 内政的考察』木村汎2反プーチンはなぜ成功しないのか

 プーチン的支配の記述のあとには、プーチンに反対するひとたちのことが書かれている。プーチンは、徹底的に反対派を弾圧し、なかには殺害された者もいるし、外国に暮らしているにもかかわらず、毒をもられた者もいる。そういうなかで、現在の反プーチン運動の代表者であるナヴァーリヌイにかなりのページが割かれている。
 現在収監されている身なので、表立ってウクライナ侵略への反対運動を起こすことができない訳だが、誰もが反プーチンの急先鋒であると認められているが、著者が不思議に思っているのは、これだけ目立った反プーチン活動をしているにもかかわらず、殺害の対象になっておらず、逮捕収監しても、命の危機には晒されていないということだ。これに対しての見方が、まったく正反対に分かれている。

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悠仁親王の筑附進学問題の広がり 筑附は収賄では?

 久しぶりに皇室ネタだ。ほぼ論点は尽くしたと思っていたので、しばらくご無沙汰していたが、やはり記しておく必要があることがでてきた。
 小室圭という一個人と内親王が結婚すること自体には、別に反対もしないが、このことのもつ意味は大きいと指摘した。それは、小室家が手にするものは、皇室の権威であり、その背景にある資産である。小室家が資産家であり、皇室の権威や資産をあてにしたわけではないという結婚であれば、おそらく、国民のだれもが、疑問にもつことはなかったろう。もちろん、家族の自死や近親者の反社会的人物などの問題はあるが、それをとりあえず無視しておけば、このあまりに一方的な社会的冨の偏在がもたらす影響である。あまりいい言葉ではないが、要するに「たかり」の構造が浸食するということなのだ。それは大分前に指摘した。小室氏の母親が刑事告発されているが、それは、まさしくたかり的姿勢が、公的資金を不正にえている可能性があるということだ。小室氏がたかるのは、倫理的に問題があるとしても、個人がそれを獲得しようとするのは、ごくありふれたことといえる。問題は、たかられるほうだ。「たかる-たかられる」は、共依存のような関係にあるものだ。

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教育に何故多様性が必要なのか

 昨日の宿題として、何故教育に多様性が必要なのかを残したが、それを考えてみよう。
 多様性は教育の様々なレベルで必要である。多様性の反対は画一化であるが、そうした圧力は確実に強まっている。その典型が「スタンダード」である。そして、画一化の圧力は、政策的にあるだけではなく、むしろ現場の管理者や教師自身のなかにも存在している。あるいは親などにもあるといえる。私の娘のある時の担任が、仮説実験授業を実践している教師だったが、子どもたちは非常に喜んでいたにもかかわらず、親たちが「教科書にそった授業をやってくれ」と抗議してやめさせたということがあった。これなどは、「教科書通りの」というやり方に画一化させる力が、親も求めることがあるという例だ。しかし、その結果、つまらない授業を子どもたちは受けさせられることになった。

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東京のコロナの実態は不明なのではないか?

 久しぶりにコロナネタだ。社会の雰囲気はすっかり、オミクロン株はたいしたことない、インフルエンザとあまり変わりはない。経済重視でよい。ピークも超えた。そんな感じだ。しかし、メディアは実態を伝えているのか。試しに、東京都のコロナ情報のホームページをみてみよう。https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
 ここには、検査数が14941件という数字と、19971.3というふたつの数字があり、陽性者は、14824.7と名ており、後者で計算すると、陽性率は74%であるが、前者の検査数で計算すると、実に99%である。ところが、ホームページでは、39.9%となっている。約4割という陽性率がどうやって導かれるのか、表を見ている限りはわからない。このページで、後者の検査数で計算しても、最近はほとんど陽性率が80%前後である。90%近くになることもあった。陽性率が90%というのは、確実に症状が現れていて、陽性がほぼ確実である人に、治療を施すための検査をしていて、そうでない者は、検査すらしていないという状況だと判断するのが、常識だろう。つまり、実態を把握して、有効な感染症対策をとるということが、完全に放棄されている。検査キットがないから仕方ないという問題ではない。第六波が来ることは、当然のこととしてわかっていたのだし、欧米での流行を見れば、その規模もわかっていたはずである。日本のオミクロン拡大が遅れてやってきたことは、日本人のワクチン接種が遅かったために、抗体有効期間が遅くまで続いたからであるというのは、ほぼ定説であった。つまり、遅れてはいるが、確実に感染拡大が起きることは、わかっていたのだから、当然検査キットの確保は絶対に必要だったのであり、それをさぼっていただけなのだ。 

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スキージャンプのスーツ失格問題 ひとりの厳しい審判の関与だったが

 スポーツは、ルールに基づいて行うものだが、服装に関するルールが厳しいものは、私はあまり知らない。科学が進歩すると、道具によって、成績が向上することがあるから、そのようなときに、道具に関するルールが設けられることがある。服装もその一種で、水泳の水着への規制が議論されたことは、記憶に新しい。夏のスポーツよりも、冬のスポーツは、服装や道具に影響される部分が多いと思われるので、ルールが細かいのかも知れない。ルールといっても、その判定も重要な要素となっており、判定が恣意的になったり、あるいは、人によって判断が異なったりすると、選手にとっては、大きな負担になるし、不利になることがある。
 北京オリンピックにおけるジャンプのスーツ問題は、近年になく揉めた例だろう。

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佐渡金山の世界遺産推薦 自民党内の政争は国民の迷惑

 佐渡金山の世界遺産登録への推薦をめぐって、日韓をまたいだ政争になっているようだ。しかし、日本政府が、ユネスコに推薦をするという行為自体が、あまり気持ちのいいものではないし、余計な韓国との軋轢を生むことになり、ますます不快な状況になっていると思われる。
 報道によれば、まず、最初に推薦をするための候補にいれる決定をしたのは、民主党の菅直人政権であるという。そして、そのときには、現在韓国との争点になるような、強制労働の有無というようなものはなかった。戦時中の強制労働については、朝鮮人だけではなく、日本人に対しても行われたのだから、それを否定するような前提での候補ではなく、歴史を見据えた形でのものだったとされる。それなら、事実に則しているし、韓国も反対しないわけだ。

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豚の心臓移植について考える

 2022年1月7日、アメリカ、メリーランド大学で、人類史上初めて豚の心臓を人に委嘱する手術を行い、11日の報道では、3日間は生存しているとされている。
 日本では、和田教授の事件で、心臓移植そのものが、非常に遅れてしまったのだが、動物の臓器を使用した委嘱の研究は、あまり行われていないとされている。それに対して、国際的には、臓器が不足していることを解決するためには、動物の臓器を活用することが必要であるという認識で、盛んにその研究がなされており、着実に進歩してきた。今回の手術は、そうした研究と実験の積み重ねの上で可能になった成果である。
 尤も、日本のあり方が非難されるものかといえば、現在の日本の方向性としては、iPS細胞を使って、必要な臓器そのものを再生して移植する医療をめざしていると、私は理解している。自分の細胞から必要な臓器を再生できれば、多くの臓器移植上の問題が解決するわけだから、この方向性は正しいといえるが、ただ、研究の進展の速度は問題かも知れない。まだまだ再生できる臓器は限られているからである。

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2022 ウィーン・フィル、ニューイヤーコンサート バレンボイムの演説に最大拍手

 昨年は無観客だったウィーン・フィルのニューイヤーコンサート、今回は多少観客を減らしての実施だった。しかし、減らした分は3階部分が主なので、1階には多少の空席があった程度だった。たぶん定員の3分の2くらいだったのだろうか。そのためか、拍手喝采というような盛り上がりは、あまりなく、一番拍手が多かったのは、バレンボイムが連年のとおり、青きドナウで止まって、新年おめでとうと言った後、けっこう長い演説を始め、それが終わったときだった。コロナ危機は、人間の危機でもあり、ばらばらになっているのを、音楽で一緒になろうというような内容だった。いい意味で政治的な音楽家であり、まじめなバレンボイムの面目躍如というような演説で、ニューイヤーコンサートで、こんな演説をした人は過去にいないだろう。

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