今回は、教員養成について、簡単に考えてみる。答申の提言は、小中の免許を両方とることが望ましく、とりやすいような配慮をすべきということに尽きる。しかし、これは、根本的な問題について明確にしなければ、現在行われていることの延長にしかならず、結局、特に小学校教員の負担を増やすだけのことになるし、合理的な改革にはならない。
根本的な問題というのは、小学校の教師は全教科担当であり、中学校は専科担当だということだ。教員養成や学校の現場に通暁していない人には、あまり知られていないかもしれないが、実際には、小学校教員養成を目的とした学部では、ほとんどの学生が小・中高両方の免許を取得しているのである。小学校教員養成を柱にしているから、当然全科の学習をする。その上で、主要な科目を決めて(普通ピークという)その科目の中等教育免許を取得可能にする。そうして、小中高の免許を取得して、小学校の教師になっていくのである。中学の教師になる者もいるが、高校の教師になるものは少ない。高校の教師は、より専門的な学部で学んで、教員免許を取得した学生のほうが、採用試験に強いのである。