高橋洋一氏の弁明の間違い

 オリンピック開催問題が、いろいろとやかましくなっているので、その都度、小さな話題でも考察していくことにする。
 まず、高橋洋一炎上問題についての補充である。
 高橋氏は、昨日の弁明youtubeで、ワクチン接種で、日本が遅れている理由は、日本のコロナ感染が低いからだと述べている。これは、昨日だけではなく、高橋洋一チャンネルで何度か述べていたと思う。しかし、これは、まったくナンセンスな理由付けだろう。まるで、日本は感染が低いから、ワクチンの必要性をあまり感じていないし、それでよいのだ、というような言い方だ。確かに、本当にそうならば、「さざ波」論と符合して、整合性がとれている。しかし、それなら、何故、菅首相はまるで狂ったように、ワクチン接種で尻を叩きまくっているのか。自衛隊まで引っ張りだして、1日1万人、東京のひとつの会場で接種するとか、7月中に高齢者の接種を終えるとか、懸命にやっているように見える。そして、国民のほうでも、予約が始まると、とたんに電話がパンクして、なかなか予約ができないという嘆きが、テレビでたくさん放映されている。こういうことは、嘘だというのだろうか。菅首相は本気ではないし、また、国民の予約などは、ごく一部を誇張してテレビか放映しているに過ぎないというのならば、それは高橋氏のいうことが、一貫していることになる。

 しかし、菅首相は、とにかく激しく叱咤激励して、ワクチン接種を進めているように見える。そして、予約が始まると殺到して、予約の電話やサイトがパンクしてしまうことが続出しているように見える。このことを否定することはできないはずだ。
 つまり、高橋氏の言う、ワクチン遅れの説明は、完全にでたらめなのである。政府の失態をかばっているだけのことだ。
 では、何故遅れたのか。国民周知のことだが、整理しておこう。
・政府首脳が、ワクチン確保の努力が不足していて、確保競争に遅れをとった。
・他国は、欧米での治験の結果を受け入れて、早期に確保したワクチンを接種しはじめたが、日本は、日本での治験にこだわり、治験終了して許可するのをまたせたために、確保していくわずかな部分の接種も遅れた。
・はじめてのことなので、システムを組むことも難しく、実行は更に難しい状況が続いている上に、多くの官庁、自治体が関与するために、統一的な進行がまだまだうまく機能していない。
 最後の部分は、仕方ないこともあるだろう。ただ、国民はワクチンを望んでいるにもかかわらず、接種を管理する側の問題で遅れているのである。そんなことは、高橋氏だってわかっていることと思う。ならば、なぜ、上のようなでたらめをいうのか。
 
 次に、たいしたことではないが、羽鳥モーニングショーの玉川氏が、高橋氏のツイッターを批判したときに、高橋氏が、特別国家公務員だから、給与をもらっているはずであり、税金から支出されている以上云々と語ったことについて、自分は給与はもらっていない、と反論し、ちゃんと調べてから言え、と玉川批判をしている。
 私は、高橋氏が給与をもらっていないなら、あのツイッターを批判することはできない、とは思わないし、問題は内容そのものなのだから、高橋氏による玉川批判が、それほど意味があるとは思えないのだが、そう言われれば、玉川氏は可能な限りは調べるだろう。間違っていれば、訂正するはずである。これまで何度か間違ったことをいって、その都度訂正して謝罪している。人間誰しも間違えることはあるのだから、間違ったときに、それを率直に認めるかどうかだろう。そういう意味では、玉川氏は誠実な人だと思っている。それに対して、高橋氏の今回の「弁明」は見苦しいというべきだろう。
 それに、給与をもらえる資格があるのに、本当にずっともらっていないのだろうか。高橋氏の人生をみれば、ずっとそんな給与をもらわなくても、全然困らないというようなものではなかった時期があったはずである。最近は、youtubeの売れっ子だから、相当な収入があって、そんなもの要らない、というのもわかるが。仕事をしているのだから、堂々と受け取ればいいのではないか。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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