前にも書いたのだが、EUの問題だ。
プーチンはヨーロッパと戦争する容易があると語っているそうだ。もちろん、そんな余裕があるはずがなく、単なる脅しの類だろう。ウクライナ一国にあれだけ苦労しているし、経済制裁とウクライナによるエネルギー施設への爆撃で経済的に行き詰まっているのに、さらにヨーロッパと戦争できるとは思えない。もちろん、プーチンのことだから、やるかも知れないが、それはロシア連邦の解体への第一歩である。
ただ、では、ヨーロッパのほうで、プーチンに戦争をしかけられたらどうなるのだろうか。EUというレベルで考えるのか、NATOというレベルでなのかによるが、どちらにしても、緊密に団結しているわけではない。EUでは、ハンガリーやスロバキアのようにロシア寄りの国家があるし、NATOは既にアメリカはその一員ではないかのように振る舞っている。NATOはアメリカが主体として設置した軍事同盟であるのに、アメリカは、NATOと対立しているロシアの味方のように振る舞っている。
レーニンが生きていたら、あるいはレーニンではなくても、「NATOは死んだ」という実態であることは否定できない。もっとも、アメリカはNATOを脱退したわけではないから、現時点でNATOの一国が明確にロシアによって攻撃されたら、アメリカも防衛に責任を負うわけだが、そのとき、トランプは、はっきりとNATO脱退を宣言するのだろうか。やはり加盟国であるハンガリーやスロバキアはどうするのだろうか。
まさかアメリカがロシア側にたって参戦するということはないだろうが、アメリカが傍観を決め込むことはありうる。その場合アメリカ国民はどういう態度をとるのだろうか。
ここで考えねばならないのは、ウクライナ人でウクライナ戦争の情報をyoutubeで発信しているボグダン氏は、アメリカの援助、とくにトランプになってからの援助は極めて少なく、現在ウクライナが闘っている武器の半数以上はウクライナ製のものだという。そして、ウクライナが自前の武器で闘っていることは、基本的にいいことであって、アメリカに頼ることでのみ闘うことができる状況は脱出しなければならないと語っている。たしかに、アメリカのミサイルが使用されているわけだが、最近はウクライナ製のミサイルも相当使われている。
ベトナム戦争によって、ベトナム軍は、実際の戦闘能力という点では、世界屈指の、あるいは実践経験も含めれば世界最強の軍隊だと言われたものだが、現在のウクライナ軍にもそれは当てはまるかも知れない。しかし、遠い海のかなたのアメリカ軍は、どうしても攻撃力には限界があったが、国境を接している上に、ウクライナ国内にロシア人が少なからず住んでおり、ロシアに味方しているひとたちもいることを考えれば、ウクライナが単独で軍事的にロシアを破ることは考えられない。やはり、NATO、ヨーロッパ、アメリカの援助が必要だろうし、さらにロシア連邦内での反乱が必要だろう。兵隊の招集にあれだけ不利な状況を押しつけられているロシア連邦の周辺の共和国が、いまだに反乱を起こしていないのは不思議な気もするのだが、どのように進展していくかは、まだまだ不確実な要素がほとんどなのだろう。
ただ、はっきりしているのは、トランプがロシアに有利な状況でまとめようとすれば、それは即ち中国にとってもっとも好ましい事態であり、アメリカにとってもっともさけねばならない中国優位の状況をつくってしまうということだ。最近トランプの健康状態、とくに認知症の疑いを述べるyoutubeがけっこうあるし、それはまだ真偽不明だが、トランプのさまざまな決断が、欧米が築いてきた民主主義的な価値を尊重していないことだけはたしかで、アメリカ全体として、トランプの暴走をとめることを期待するのは、無理なのだろうか。
トランプ関税が違憲であるという判決を期待している。