小池現知事が圧勝した。予想されたとはいえ、残念な結果だ。直前といってもいいが、小池氏の学歴疑惑が再燃したが、それも影響しなかったようだ。しかし、今回の立候補でもカイロ大学卒という経歴を使っているので、この問題はまだ尾を引くだろう。多くの人が指摘するように、政治家にとって、学歴は本質的な要素ではない。別に義務教育だけしか受けていなくても、実力と熱意があれば、政治家として立派な存在になれる。しかし、学歴に関して、嘘をついているということになれば、それはまったく問題が異なる。学歴という、もっとも基本的なその人の「歩み」を示す指標について、嘘をついているということは、選挙民に対して、自身の人生に関して嘘をついていることになる。そんな人間を信頼することができるはずがない。
この問題は、ずっと前から問題になっているので、時々にでる小池氏の学歴詐称に関する文章はたいてい読んできた。黒木亮氏の大量の文章や、石井妙子氏の『女帝』も注意して読んだ。書かれていることに説得力がある。それから、小池氏がアラビア語で挨拶をしているというyoutubeも見た。勿論、私はアラビア語など全くできないから、アラビア語としての判断はできない。しかし、その話し方で、自信をもって流暢に話しているか、あるいは一生懸命暗記した文章を思い出しながら話しているかは、見ていてわかる。絶対に前者ではない。黒木氏は、もっと専門的に指摘しているが、専門家でなくても、その人がその言語を本当にマスターしているかどうかは、なんとなくわかるものだ。
少なくとも外国の大学を、しかもその現地の言語でのみ教育活動が行われている機関を、正式に単位をとって修了したのであれば、何年たっても、しかも、小池氏は、アラブ世界との関係が深い政治家なのだから、忘れることはありえない。
更に、外国の一流大学を卒業するような知的レベルをもっている人物であるならば、普段の記者会見をすれば、それなりの教養の片鱗が、自ずとにじみ出てくるものだ。しかし、小池氏の記者会見は、ずいぶんリアルタイムで報道されているから、何度もみたが、そこには、知性を感じさせるものがない。マスコミ受けする、気の利いた語句を披露するのは、得意のようだが、それと知的教養とは異なる。彼女には、政治家として権力を発動する意欲はあるが、都市計画のグランドデザインをもっていて、それを実現しようなどという意志も感じない。だから、口先は景気がいいが、実行性はまったくといっていいほど、この4年間なかった。このような政治家としての性質は、安倍晋三氏と非常によく似ている。
小池氏の嘘が明らかになって、政治家としての地位を放棄せざるをえなくなることを期待している。