部活の地域移行に関する全教の見解について

 スポーツ庁が部活の地域移行に向けての提言をしたことについては、6日のブログに書いた。http://wakei-education.sakura.ne.jp/otazemiblog/?p=3393
 それに対して、全教(全日本教職員組合)が疑問を呈する談話を発表した。ここに大きな論点が含まれているように思われるので、その点について考えたい。
 談話は「すべての子どもたちのスポーツ要求を権利として保障することと、教職員の長時間過密労働解消の両面から、条件整備と合意づくりを」というもので、6月8日にだされている。

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河瀨直美監督「東京オリンピック」映画を見た けっこうお薦め

 私は、普段からほとんど映画を見ないし、オリンピック反対派なので、河瀨直美監督の東京オリンピックの映画を見るつもりはまったくなかったが、ふたつのきっかけで、見ることにした。
 ひとつは、「ぼのぼの」氏のツイッター、https://twitter.com/masato009/status/1533376068325089280?t=RI4JubVwUNp2lNREtlgOvw&s=19
もうひとつは、一月万冊での紹介だった。ぼのぼの氏は、公式映画であるにもかかわらず、オリンピック批判の姿勢をもった映画で、体制べったりの映画ではない、という評価だった。それに対して、一月万冊の本間龍氏は、オリンピックの構成がない、単なる逸話の羅列で、まったく面白くないという評価だった。近所でやっているし、見る価値はありそうだと思ったわけだ。それにしても、人気がないようで、本間氏が見たときには、観客は本間氏をいれて2名だったそうだ。私が見たときには、5名だった。映画館が気の毒になるような人数だ。

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メルケル引退後初のインタビュー 自身を弁護

 朝日デジタルにメルケルが、退任後はじめてインタビューに応じたという記事があったが、あまりに簡略だったので、もう少し詳しい記事を探した。「Angela Merkel opens up on Ukraine, Putin and her legacy」https://www.dw.com/en/angela-merkel-opens-up-on-ukraine-putin-and-her-legacy/a-62052345
 朝日デジタルだと、メルケルは、ロシアのウクライナ侵攻を非難したが、2014年のクリミヤ併合について、もっと厳しい対応がありえたことを認めたこと、ソ連崩壊後も戦争を防ぐための安全保障機構をつくることができなかったが、自分は間違っていなかったから謝る必要はない、ということが簡潔に紹介されているだけだ。
 英文の記事には、「退任後最初のインタビューで、対ロシア政策を弁護し、現在のウクライナの状況に関して、自分が責任を感じることはない」と述べたというリードが付けられている。

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読書ノート『プーチンの野望』佐藤優 (潮出版)

 発行日(6月6日)に購入し、その日に読んだという珍しい本になった。関係ないが、私の誕生日でもあった。
 説明するまでもなく、佐藤優氏は、日本でもっとも優れたロシア通の一人であり、かつては職業的なロシア担当の外交官だった。そして、その仕事は、交渉を担当するというよりは、情報を集め、分析する役割だったので、やはり、他の人の書いた文章とは違う側面にまで切り込んでいる。
 構成は、章ごとに
1 仮面のプーチン
2 プーチン独裁者への系譜
3 20年独裁政権抗争とユーラシア主義
4 北方領土問題
5 クリミア併合
6 ウクライナ侵攻
終章 平和への道程
となっている。
 
 この本のなかで、もっとも読ませるのは、やはり、北方領土の部分だ。

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スポーツ庁が部活の地域移管を提言

 スポーツ庁の有識者会議が、中学の部活をとりあえず土日の分を地域に委託し、将来的には平日もそのようにするという報告をだした。悪いことではないが、不徹底だという感じがする。詳細はまだわからないし、また、実施の段階で変更があるだろうが、不徹底さを指摘しておきたい。
 
 記事としては、以下があるが、スポーツ庁のホームページには、詳細な議事録も掲載されている。
「中学校の部活動 休日はスポーツクラブで 3年間で“地域移行”提言を提出 少子化・教員負担で方針転換」https://news.yahoo.co.jp/articles/d919aeda0e3247ad84c2cdf241a096b51082801f
 報道によって、提言を整理しておくと
・3年かけて休日の部活を地域に移行する。
・その後平日も移行していく。
 その理由は
・少子化の影響で、中学校だけで、運動部の活動を維持していくのは困難
・教員の負担増と教員不足の深刻化

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教育学を考える30 教育の定型化2 名字+さんの校則

 コンピューターにおける教育を続きとしていたが、それはいまいろいろと整理している段階なので、今話題の「苗字にさんづけ」校則について考えたい。
 youtubeでも話題になっているようだし、かなりの批判がだされている。私も、この関連のニュースをみて、実際にどうなっているのか、現場の教師たちに聞いてみた。私のゼミの卒業生たちだが、やはり、かなり普及している校則だという。ある教師は、自分の赴任した小学校で、この校則が存在しなかったところはない、と言っていた。しかし、逆に、この校則に共感している人もいなかった。誰しもおかしいと思いつつ、校則としては表立って反対していないのかも知れない。しかし、厳格に運用しているかどうかは、また別問題だ。つまり、授業中の発言のなかでは、誰かの意見に対して反応するときに、「名字+さん」で呼ぶように指導するが、休み時間などは自由という運用もありうる。休み時間まで、干渉する必要はないというのもありうるからだ。

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中山道旅行記補充3

6月1日
 
真田重吉 中山道上州七宿画展
 
 知らない人だったが、中山道の宿場を描いた作品が展示されているというので、ここに入ったが、とてもよかった。江戸時代の宿場町というのは、街道の両側に旅籠や本陣などが並んでいて、まさしく「宿場」のための町だ。人がたくさん行き交うので、絵画としては活気がある風景を描くことになるし、また、宿場ごとの特質があって、じっくり見ると面白い題材だ。現在はこうした市街地はまったくないので、歴史の一面を知る上でも重要だ。ただ、残念なのは、こうした有料の展示場は、なかで写真を撮れないことで、無料のところは撮影自由なところが多いのに、なにか変な感じもする。有料なのだから、写真くらい撮らせてもいいではないかと、いつも思うのだが、どうだろうか。しかも、こうした絵画の展示があるのに、それらをまとめた写真集を販売しているわけでもないのだ。

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中山道旅行記補充2

5月31日
 
高崎白衣大観音像
 達磨寺を終えて、近くの高崎白衣大観音像に移動する。この観音像は、高崎市のかなりの範囲で見える、高いところにあり、かつかなり大きいものだ。
 車でこの先、徒歩数分という入口近辺まで行き、無料駐車場を探したが見当たらない。ネットでは、専用の駐車場があるように書いてあったが、ないので、お土産屋さんに聞いてみると、警察が来ないから、そこらに駐車しても大丈夫という。しかし、明らかに違法駐車なので、少し戻ったところに「観音様に一番近い駐車場」という有料のところにとめた。同じようにお土産屋さんだったが、駐車券が金券(その店だけで有効)となる駐車場で、事実上無料だった。

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中山道旅行記補充1

 昨年10月に、旧中山道を車で行こうという旅行をして、ここで経過を報告したのだが、その前に起こった私の腰痛のために、最初の宿泊地をキャンセルして、一日待ってから高速を使って諏訪まで直行したのだった。だから、高崎で国道17号から18号に分岐するのだが、18号分は、その時には走っていない。しかし、18号の大部分は、以前に何度か走っているので、その欠損部分を補うというより、宿泊して見学しながら地域巡りをする部分を、リベンジをしようということで、最初の宿泊地の予定だった安中巡りを計画した。
 
5月31日 高崎
高崎城跡
 5月31日に家を出発、高速でまず高崎に向かった。もし城址公園があれば、まずはそこには行くことにしているので、高崎城跡を見ようということになった。ただ、残念なことに、高崎城は、明治にほぼ壊されてしまって、ごく一部しか残っていない。高崎城は、徳川家康が江戸に領地替えになり、四天王の一人井伊直政によって築城され、代々重要譜代大名が領主だった重要な藩であり、城であるのに、ほとんど残っていないことはとても残念だ。跡地は市役所を始めとして、様々な施設に活用されてはいるし、堀の一部なども残っている。

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非常勤講師が上智大学を訴えた 大学と講師のどちらも是と非がある

 上智大学が訴えられて、話題になっている。「上智大学を「賃金不払い」で刑事告訴、労基署からの「是正勧告」に応じず 「そんな前例聞いたことない」」の記事だが、コメントには正反対の見解が並んでいる。https://news.yahoo.co.jp/articles/4a1b16bc23d6c69450d92f20f9262401cac653c1
 60代の非常勤講師に、賃金を支払われていないとして、中央労働規準監督署が、是正勧告をだしたが、大学は勧告書を受け取らず、当然是正勧告に応じないので、講師が加盟する「首都圏大学非常勤講師組合」が、中央規準監督署への告訴をしたということだ。
 では、未払いの賃金とは何か。記事によれば、
・2019年~2021年に、会議への参加、学科コース全体で他の講師も使うオンライン教材の作成で、205時間の授業外労働があった。
・大学は会議への参加費は払ったが、教材作成は払わなかった。
 大学によって、異なるかも知れないが、私自身が経験した非常勤講師や、私の所属していた大学での非常勤に対する経験から考えてみる。この問題は、単純にはいえない面がある。そして、理系は実験等もはいるし、この事例は語学教師なので、文系を前提に考えてみることにする。

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