激変しつつあるウクライナ情勢

 ウクライナ情勢が、動きつつある。いろいろと変化がでてきた。その多くは、いい徴候だ。
 バフムトで、ウクライナが少しずつロシア軍を後退させつつあるようだ。ここはロシア軍が大量に兵力を動員して、守ろうとしているところだから、簡単にいくとは思えないが、三方から包囲して、ロシア軍を囲い込んでしまおうという作戦が、少しずつ前進しているようだ。ワグネルは、そうした動向を早く察知したために、おそらく逃げたのだろう。そして、一方、現政権に反抗しようとしている雰囲気がでている。ワグネルが退却しているところに、地雷があったということで、ロシア兵を捕らえたと報道されている。ロシアのもっとも精鋭であるワグネルが、ロシア兵を捕らえるというのは、もちろん、重大な変化がおきていることを示している。
 
 ウクライナに協力するロシアの義勇兵たちが、ウクライナから国境をこえて、ロシアに侵入し、第一回目はすぐに引き上げたが、二回目は、留まっているようだ。そして、まだ小さな地域とはいえ、占領したといわれている。プーチンは、こうした動きを国民に悟られなたくないので、沈黙を守っていて、有効な反撃態勢をとらないでいるようだ。それはモスクワ近郊へのドローン攻撃についても、似たような反応をしている。

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長野の殺人事件 刑法39条との関連で

 長野県で起きた殺人事件は、警察官2人をふくむ4人も殺害したという、稀に見る事件であった。これまでの判例から判断すれば、死刑になる可能性が極めて高い。しかし、犯人の成育歴をみると、なんらかの精神疾患を患っていた可能性を感じる。とすると、刑法39条の「精神疾患心神喪失者の行為は、罰しない。 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」に関する議論が再燃する可能性が高い。日本の司法では、責任能力がないことが認定されて、殺人犯が罰せられない結果になることは、極めて稀であるが、それでも、精神疾患の患者が大きな犯罪をした場合、この規定の適応をめぐって、たくさんの議論がなされてきた。刑法は、法律学のなかで最も理論的側面が強いといわれているが、逆に、理論的であるが故に、素人でも見解をもつことができる、あるいはもたねばならない。私自身、法律学の専門家ではないが、これを機に、この問題を考えておきたい。
 
 犯罪とは、自由意思をもった人間が、意図して、犯罪とされる行為を実行することとされる。逆にいえば、「自由意思」をもっていない、あるいはもてない状況で、あるいは意図的に行ったわけではなく、不可避の行為だった、というときには、犯罪と認定されないわけである。だから、犯罪とされる行為を行ったとしても、自由意思や意図がなければ、罰せられないことになり、それが刑法39条になっている。
 
 しかし、犯罪を何故罰するのか、という根拠で考えると、この犯罪構成論とは、少々矛盾するところがでてくる。

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ルカシェンコは無事か?

 朝日デジタルによると、ルカシェンコがモクスワでプーチンを会談し、その最中に異変が起きたのか、病院に運ばれたという。かなり体調が悪かったことは間違いないから、モスクワまで出向いたのが驚きだ。核兵器搬入の最後のつめに呼ばれたのだろうが、会談から直接に病院搬送というのは、何もなかったとはだれも考えないだろう。
 だれもが考えるが、一緒に食事中に毒をもられたということだろう。ウクライナ侵攻に批判的だったベラルーシの高官が、昨年なくなっているが、ロシアに消されたという噂は耐えない。ルカシェンコも同様に、プーチンの怒りをかって、という可能性はありえないことではない。
 あるいは、最後の抵抗を試みていたところ、プーチンが激怒し、そのショックで、本当に体調が激変して、救急車で運ばれたということも、ないわけではない。かなり体調が悪そうな状態で、少なくとも喜んでいったとは思えないモスクワ訪問で、プーチンに難題を吹きかけられたのだから、どちらの可能性もないではない。

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長野の事件で考える

いる報道でも、なんとかならなかったのだろうかと思われる点がある。
 ネットでの意見でも、引きこもり状態があったとか、あるいはコミュニケーションに苦手で、ときどき威嚇的な行動をとるということが、近所のひとたちから語られており、それに対して、銃の所持の許可がおりたのはおかしいのではないか、というのが多数あった。銃所持の許可は、かなり厳しい審査があるということだが、20代後半の時点で、特に職業的、あるいは害獣の処分が必要な状況でないにもかかわらず、銃の所持が認められたのは、確かに疑問をもたれるところだ。日本では、アメリカのように銃犯罪、したがって、殺人事件も少ないのは、銃規制が徹底しているからだといわれているが、こうした事件が起きると、やはり、銃規制の強化が叫ばれることになるだろう。猪や鹿など、農産物に被害をもたらす野生動物については、猟を認められているから、そうしたひとたちには、許可する必要があるが、やはり趣味での銃所持は、強い規制があってしかるべきだと思う。

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ゼレンスキーはインドを説得できるか

 ゼレンスキーが今日来日して、明日のG7の会議に出席するというニュースは、本当に驚いた。最近は、ヨーロッパのあちこちにでかけているので、現在は支援の継続を訴えることに注力しているのだろうが、まさかわざわざ日本にまでやってくるとは思っていなかった。やはり、そうとうな危機感をもっているに違いない。
 ゼレンスキーは、これまでにもG7の首脳とはほとんどあっているのだから、そのメンバーにあうことが主な目的ではなく、私はインドの説得にあると思っている。G7といっても、メンバーではない国で招待されてやってくる国はけっこうある。そのなかにインドが入っているわけだ。周知のように、インドはロシアと現在でも密接な関係をもっていて、石油を輸入している、というより、前よりずっとたくさんの石油を買っているわけだ。本当かどうかはわからないが、インドは、その安く輸入した石油をマージンをつけて、他国に転売しているという。そして、そのなかにはEUの国も入っているというのだ。だから、EUは、先日インドからの転売を輸入しないように措置することを確認したようだ。

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深刻な労働力不足

 コンビニに限らず、アルバイトで成り立っている業種は少なくないし、また、アルバイトとはいえなくても、非正規労働でなりたっているところもたくさんある。そして、そうしたところの多くが、今深刻な労働力不足なのだそうだ。しかし、以前はまったくそうでなかった業種でも、人手不足が深刻になりつつあるのが実情である。典型的には学校の教師だ。少し前までは、学校現場が教師不足で深刻な状況になったことなどなかった。いつでも、志願者のほうが多く、採用する側は、好きなように選抜ができた。そして、正規採用をせずに、1、2年臨時採用として、じっくり気にいるかどうかを見定めてから正式採用するようなやり方も、広く行われていた。今でもそうした県があるかどうかはわからないが、全国的には、教師は完全に不足状態で、校長や教頭が担任をせざるをえないような学校もあるらしい。そして、東京都は、事実上定年がなくなり、いつまでも働きたいだけ働けるともいわれている。
 かの官僚の世界でも、不足になっているわけではないが、志願者が大幅に減っているという。

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ジャニーズ問題の一側面

 BBCが昔のジャニー・喜多川氏による性加害問題を報じたことで、日本でも、ついにという感じで、大きな問題になっているようだ。私自身は、この分野(音楽・ドラマ)にまったく興味がなく、学校の音楽の時間に習うらしいスマップの歌も、年代が違うこともあり、まったく知らないのだが、私自身は、多少ななめからこの問題を考えている。それは、端的にいって、ネット対テレビという勢力争い、あるいはネットによる告発対テレビによる既存勢力の防衛戦といったらいいだろうか。(性被害問題については、被害者救済の措置がとられるべきことは当然なので、ここでは論点とはしない。)

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楽観できないウクライナ情勢

 ウクライナ側の反転攻勢の話題が盛んになっており、既に始まっているとか、バフムトで逆転しつつあるような報道がなされているが、気になることもある。毎日の軍事・戦況状況を報告するyoutubeのサイトで、ウクライナの弾薬庫が大々的に攻撃されて、爆発したとされていた。これは、おそらく初めてのことではないだろうか。ロシア側の攻撃能力が改善されているという面もあるだろうし、そもそも、これまでなら、ウクライナ側が弾薬を一カ所に多数保管しておくことはなかったように思うのである。ウクライナはロシア側の弾薬貯蔵施設を何度も攻撃しているのに対して、ウクライナは、弾薬等を小分けにして、分散保管しているから、たとえ攻撃されても、被害が少ないといわれていたはずである。それが、かなり大規模な集積所に保管してあり、そこが攻撃されたというのは、今後の反転攻勢にかなりマイナスである。

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プリゴジンはバフムトを去るのか

 ロシアの傭兵組織であるワグネルの創設者であり、指導者のプリゴジンが、砲弾が充分に供給されていないことを、以前から述べ、国防相等を非難してきたが、ついに、このままでは闘いを継続することができないといいだし、砲弾の供給がなければ、5月10日にバフムトを撤退する、と公言した。バフムトの戦場近くであると称する場所で、死体が転がっている状況を背景に、彼らは少し前の戦闘で死んだ、弾薬がないからだ、と激怒している映像がネットで出回っている。テレビでも放映されているということだ。
 もちろん、この映像をそのまま受け取るわけにはいかない。バフムトの戦場で撮影しているといっても、本当かどうかはわからない。それに本当の死体かどうかも、確証があるわけでもない。

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統一地方選 共産党敗北の原因を考える

 統一地方選挙が終わって、ずいぶん日時がたった。今年のはじめに、松竹問題が起きて、この影響が選挙にどうでるかを注目していたから、やはり、再度考える必要があると思った。
 赤旗のホームページに、選挙結果に対する見解がでている。23日選挙の結果では、91議席減らして、909議席を獲得したということだから、約1割減少したということだろう。前半選では25%減ったということだから、今回の選挙は、かなり大きな敗北ということができるし、また、「多くの候補者を落選させたことは、悔しく残念であり、お詫びを申し上げます」と書かれている。
 敗因としては、野党共闘とロシアのウクライナ侵略を契機とした軍事力大増強という二大逆流に抗することができなかった。また、共産党は異論を認めない党という反共キャンペーンが展開されたこと、そして、志井委員長の言葉では、さらに「自力」が不足していたことを敗因としている。

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