この話題は、前にも当の行政文書を読んで、思ったことを書いたのだが、そのときには、間もなく幕引きになると予想していた。しかし、今でもごたごたが続いている。小西議員は、政府が放送に介入することを批判する目的だったのか、文書を取り上げた意図が、定かでないのも疑問なのだが、放送介入問題はどこかにいってしまって、高市元総務大臣に焦点が完全に移っている。高市氏が、文書を捏造だと断言して、本物だったら、議員も辞めるなどと言ってしまったのが、紛糾の原因になった。師匠ともいうべき安倍晋三氏に見倣ったのかも知れないが、自ら招いた災難とはいえ、政治家としての欠点が、どんどん露になっている。小西が辞めるのか、高市が辞めるのか、ネットでは真っ二つに分かれているが、それは、あまり興味がない。不毛な論争は早めにきりあげてほしいところだが、吹き飛んでしまったことに、重要な課題や考えるべき点があるといえる。
安倍氏の官僚を押さえつける力は大変なものだったのだなあ、といろいろな局面で感じるが、これもそのひとつだろう。総務省が、かつての総務大臣だった閣僚に、これほど手痛い仕打ちをするなど、安倍首相であれば考えられない。今は他の官庁の大臣とはいえ、閣僚が「捏造だ」といった文書を、「本物だ」と返したのだから、高市総務相(元)は、よほど官僚たちの信頼を勝ち取っていなかったのだろう。岸田総理自身が、自分の閣僚を庇わないのだから、一体誰に支持されているのだろうと、心配になってしまうほどだ。