最初に設定した問題がひとつだけ残っている。
5、違反者が罰せられるべきか
実際に、罰せられた事例は、インドネシアでの法廷で、死刑を含む有罪判決があったのみだったと言われている。しかし、今から当事者を罰するということには、意味があるとは思えない。モサドによるユダヤ人の追跡は、いまでも続いているのかも知れないが、これとても、今生きている旧ナチといえば、90歳を越えていることになり、しかし、90歳といえば当時はまだ未成年だから、自分の意思で戦争犯罪を実行したとは言い難い。慰安婦問題でも同様だろう。
従って、最後に、どのようにお互いが歩み寄ることができるのか、あるいは何が必要なのかこそが重要だろう。
まず必要だと思うのは、お互いの歴史を知ることだろ。これは、おそらく、驚くほど互いに知らないのではないだろうか。韓国で、体系的な日本史の本がどの程度だされているかわからないが、日本では、体系的な朝鮮半島の歴史書は極めて少ない。個別的なテーマを扱った朝鮮の歴史書はあるが、通史は少ないのだ。アマゾンで購入できる通史は(通史に限らないが)、かなり明確な立場が表明されており、そして、レビューを見ても、それに対するコメントが寄せられるような本が多い。圧倒的に、朝鮮の歴史に否定的な見方をする書物が多い印象を拭えない。 “国際社会論ノート 慰安婦問題を考える3” の続きを読む
カテゴリー: 時事問題
新幹線殺人事件無期判決について やはり納得できないものがある
いわゆる「新幹線殺人事件」に対する判決があった。無期懲役だった。殺人犯のあまりの身勝手さと、まったく罪のない無関係な人を、自分が「無期懲役刑」を受けるために殺害し、かつ、まったく反省もしておらず、むしろ、誇っているかのような発言を繰り返してきたことに対して、おそらく、多くの人は、死刑が求刑され、その通りになるだろうと考えていたのではないか。私自身は、その可能性はあまり高くないとは思っていたが、しかし、私が裁判員だったら、無期懲役には疑問を表明したと思う。求刑以上の刑罰というのは、ほとんどないわけだから、賛意はえられないとは思うが。
既に、判決への疑問は出されている。その思いは、「疑問」を感じる人には共通だろう。被告の言明や態度は、あまりに酷すぎる。そして、一生、刑務所で楽に生活していたい、ということを明言もしている。更に、有期刑で出所したら、再び殺人事件を起こすとまで公言しているのだ。殺害が一人で、初犯であれば、余程のことがない限り死刑判決はないということを、予め知った上での犯行でもある。
こういうことを、被告の思惑通りにしていいのだろうか、ということは、誰もが感じたことだろう。 “新幹線殺人事件無期判決について やはり納得できないものがある” の続きを読む
次々に出てくるセブン-イレブンの問題
セブン-イレブンの問題が今年はずいぶんと出てきた。他のコンビニも同様なのかはわからないが、セブンのやり方には、特に以前から疑問をもっていた。最初は、娘が大学に入ったときに、近くのセブンにバイトの申し込みに行ったときのことだ。もうずいぶん前のことだ。
面談から帰った娘は、セブンでのバイトはしないと即座に言った。それは、途中でやめた場合には、解約金を支払う義務があるということを聞いたからだ。期間と、その額は忘れてしまったが、たぶん、1年以内で2~3万くらいだったと思う。大学に入ったばかりで、バイト経験などはなかったのでびっくりしたろうし、私たち親も驚いた。期間と額については多いに疑問だが、直ぐにやめられては困るという事情はわかる。というのは、コンビニのレジは、かなり大変な作業で、レジ打ちも単に金額を打って、レジの計算にまかせているわけではなく、客層の判断などもあるし、また、配列されているさまざまな商品を、かなり正確に頭にいれておく必要がある。とくに大変なのが、煙草の銘柄を憶えることだそうだ。煙草を買いに来た客に、またせずにすばやく注文の煙草をとってくるというのだけでも、かなり大変のようだ。もたもたしていれば、怒鳴られるだすろう。そういう作業をしっかりと教える必要があり、憶えてもらうまでには、それなりの時間とコストがかかるのだろう。だから、そうそう簡単にやめられてはこまるのも確かだ。 “次々に出てくるセブン-イレブンの問題” の続きを読む
福岡妻子殺人事件判決について
2019年12月13日に、2017年6月に福岡県小郡市で起きた母子3人が殺害され、夫(父)である中田充被告が犯人とされた事件に、死刑の判決がくだされた。被告は即日控訴したということだが、極めて難しい事件で、本当に死刑が妥当なのかという疑問もわく。私は犯罪の専門家ではないが、裁判員制度が導入されたということは、市民の感覚を重視するということだろうから、考えを述べることにした。
念のため、事件発生からの毎日新聞記事を検索してみた。判決全文がネットで読めるようになったら読んでみたいと思う。それぞれの論点に、双方がどのように詳細に言及しているか、新聞記事だけではわからないので、憶測部分が入るが、各論点について検討してみたい。
警察が公開している犯行は、「充被告が妻を絞殺し、自殺を偽装するために、ライターオイルで火をつけた。髪の毛の一部が燃えた。その後子ども二人を絞殺して、家を出た。犯行を隠すために、妻に電話を数回した。学校から子どもの不登校を知らされ、妻に電話したが出ないので、妻の姉に確認を依頼し、姉が死体を発見、被告に連絡。被告は、「自殺している」と110番があったと虚偽の報告を警察にした」というものである。 “福岡妻子殺人事件判決について” の続きを読む
日本もホームドクター制の導入を考えていいのではないか
『プレジデント』2020年1月号に、「病院消滅の夕張で、心疾患と肺炎の死亡率が低下した理由」という記事が載っている。元夕張市立診療所所長の森田洋之氏のインタビューに基づく記事である。周知のように、夕張市は、市として破産したわけだ。もちろん、市が破産しても、無くなるわけではないし、また、倒産するわけでもない。財政や行政が、国の管理下におかれ、財政支出の削減を強いられることになる。その一環として、総合病院が無くなり、いくつかの診療所があるのみとなった。171床が19床になってしまったそうだ。そして、多くの患者があぶれ、適切な医療を受けられないようになると危惧されたが、実際には、その逆だったというのである。森田医師の話によると、「日本人の主な死因であるガン、心疾患、肺炎の死亡率は、女性のガンを除きすべて破綻後のほうが低くなっている」という。その理由が、プライマリーケア中心の医療にシフトしたからだと、森田医師は分析している。
プライマリーケアとは、地域のかかりつけの医師が、予防から看取りまで行い、必要な場合のみ専門病院を紹介するというシステムである。夕張市では、綜合病院が消滅してしまったので、そうせざるをえなくなったわけだ。入院や手術が必要な場合のみ、札幌の病院にまかせるようにしたのだそうだ。
その結果、無理な治療が減り、死因も老衰が多くなった。 “日本もホームドクター制の導入を考えていいのではないか” の続きを読む
中村哲さんの死を考える
中村哲さんは、真に日本としての誇りであり、また、世界の平和活動としても優れた典型を示していると思う。しかし、原因はいまだにわからないようで、新聞報道では、原因に切り込むような記事があまり見当たらない。そういうなかで、ふたつの文章が掲載された。
ひとつは、2019年12月6日付けの「人道支援の医師はなぜ狙撃されたのか」という伊東乾氏の文章(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58502?pd=all)と、12月11日付けの「アフガンの農業から考える中村医師殺害の本当の理由」という川島博之氏の文章である。(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58527?pd=all)
伊東氏は、何一つ悪いことをしていない中村医師が殺害されたのは、不可解であると書きながら、「同時に、そうでない現実もかいま見てしまった経験がある」から、どうしても書かねばならないということで、書いたとされる。そのかいま見た経験とは、2008年にルワンダ共和国の招きで参加した「ジェノサイド再発予防」のセミナーでの経験だそうだ。そこで、ルワンダの悲惨な経験を知ると同時に、ヨーロッパからの援助が、役に立っていない側面を見せつけられ、上からの援助という意識への疑問を感じたということのようだ。 “中村哲さんの死を考える” の続きを読む
通常のサービスがされなかったときの対応を考える
先日、昼食を食べにいったら、何度も食べたカレーライスが、通常はたくさんの野菜や肉の具が入っているのだが、ほとんど入っておらず、ルーだけのカレーだった。それは、そのときの鍋の最後の残りだったからで、おそらくその前に具をよそってしまっていたのだろう。直ぐに次の鍋がきたので、どうするか見ていたが、店員は知らんぷりしていた。クレームを付けようかとも思ったが、あまりクレーマーにはなりたくないので黙っていた。ちなみに、越谷市の「半田屋」という、自分ですでに並んでいる料理をとってきて、カレーなどはその場でよそってくれるという方式の店だ。
2,3年前のことだが、もう少々悪質なこともあった。柏の「フォルクス」というレストランだが、夫婦で入って、それぞれ注文したのだが、私の注文が早くきた。そして、食べたら、肉が固く冷たいのだ。食べてしまってからわかるわけだから、まあ、そのときも我慢して食べた。もともと味にはあまりうるさくないほうなので、別にまずくて食べられないということはない。しかし、明らかに、何らかの理由で、前に注文した同じ品物が、出されなくなって、置いてあったものを使ったとしか考えられない。さすがにこのときには、「使いおきの料理を出しましたね。」と支払いのときに言ってみたが、「そんなことはありません」との回答だった。とすると、フォルクスは、冷たく固くなった肉料理を出すレストランなのか。もちろん、他のときには、そんなことはない。
別に、ふたつの店のサービスの悪さをあげつらうために、書いているわけではない。実は、当初予定されているサービスが果たされないときに、どのように対応するのか、それが、けっこう多様なのだ。それを少し考えてみたいと思った。 “通常のサービスがされなかったときの対応を考える” の続きを読む
問題起こした人が「改善案」を作るのか? 「桜を見る会」
国会の延長を回避し、強引に閉会にした安心感があふれた安倍首相の記者会見だった。これで、逃げきれたと思っているのだろう。あきらかに「逃げ」だった。そして、批判があることは承知しているので、「私の責任で」改善案を作るのだそうだ。同様の趣旨のことを、管官房長官もいっていた。しかし、それはおかしくないだろうか。安倍首相や管官房長官は、伝統的に、おそらく「きちんと」行われてきた「桜を見る会」を、自分の利益のために私物化した張本人ではないか。悪用した人間が、悪用したシステムを、正しい方向に改善するなどということを、信じることができるだろうか。ありえないことだ。きちんと第三者委員会を作って検討してもらう、というのが筋だろう。
何故、そうしないのか。それは、第三者委員会を設置したら、当然資料等を提出しなければならない。そうしなければ、適切に検討することができない。しかし、資料を渡したら、私物化の実態、あるいはもっと酷い状況が、明るみに出てしまう。そんなことは絶対にさせないというので、「私の責任で」になるわけだ。そうして、廃棄などしているはずがないデータが出てくることを押さえ込もうとしているのだろう。 “問題起こした人が「改善案」を作るのか? 「桜を見る会」” の続きを読む
女系天皇容認の自民幹部に対する産経の反論は(続き)
前回書き忘れてしまったことがあるので、以下補充。
二階幹事長が、男女平等という立場からすれば、結論は容易に出てくると述べたことでわかるように、自民党の幹部ですら、現在の男系男子の立場が、男女平等に反すると考えざるをえない。そして、産経の記事「危うい自民幹部の『女系』容認論 先人たちの知恵に学べ」11.30)は、この点についても反論している。それをみておこう。まず以下のように、基本認識を書いている。
「皇室の問題と『男女平等』を絡めた時点で、すでに理解不足だ。『女系は不可』という言葉に引きずられ、女性に対して差別的と考えているのなら、むしろ逆である。」
逆というのならば、女系容認論のほうが、男女差別的であるということになるが、そのことには全く触れていない。 “女系天皇容認の自民幹部に対する産経の反論は(続き)” の続きを読む
日本は本当に韓国より優れているのか もう少しバランス感覚が必要ではないか
歴史上最悪の日韓関係と言われているが、多少の改善の兆しはあるものの、安心という雰囲気にはほど遠い。そして、韓国人の反日は、以前からのもとしても、それほど反韓ではなかった日本人のなかに、反韓感情か急速に高まっている。そして、報道は韓国の経済が悪化しているとか、文政権によって、韓国は崩壊の危機にあるとか、日本は安定しているのに、韓国は経済も政治を悪化しているという報道一色である。しかし、それは本当なのか。もちろん、多くの点で日本は韓国に勝っていることは確かだろう。しかし、韓国か勝っている点も少なくない。少なくとも、日本の電化製品は、既に20年も前に、国際市場では、韓国勢に押し退けられている。表現の自由のランク付けでは、日本は韓国の下位にある。
考えねばならないのは、韓国と日本の状況を客観的に見ようという姿勢ではなく、日本が文句なく優れていると思い込んでいる日本人が多いことである。 “日本は本当に韓国より優れているのか もう少しバランス感覚が必要ではないか” の続きを読む