大学病院での研修医の研修に際して、禁止されている会食に出て、新型コロナウィルスに感染した例が複数生じている。高い倫理をもっていなければならない医師なのに、と批判が高まっている。
ふたつの点を考えた。
医師が高い倫理をもっていなければこまることは、もちろんそうだが、実際の医師が高い倫理をもっている人ばかりであるとは、到底思えない。これは聞いた話だが、ある女子大学のあるサークルが、有名国立大学の医学部の学生と共同して活動していた。そして、新入生歓迎会において、かならず新人たちに大量の酒を強要して、酔いつぶれるまで飲ませる慣習があるというのだ。大学の新入生だから、ほとんどは未成年である。だから、違法行為ともいえるが、まだ飲酒経験のない人に、酔いつぶれるまで飲ませることが、命にかかわる危険な行為であることは、当然医学部の「先輩」たちは、充分に知っているはずである。心底驚いた。もちろん、医学部の学生みんながそういう非常識人間だとは思わないが、集団的、かつ慣習的になると、そこまでやってしまうのだと憂鬱になった。 “有名大病院の研修期間の感染” の続きを読む
カテゴリー: 時事問題
休校中の教育保障 ZOOMへの恐れがあるが
現状のまま推移すれば、休校措置は延長せざるをえないだろう。もちろん、全国的にではないが、少なくとも首都圏では、通常の形態での授業再開は危険だと思わざるをえない。学校での感染が起こったら、かなり深刻な事態となる。再開するにしても、いろいろな工夫が必要だろう。
3つの密という概念は、学校の教室ではほぼ当てはまる。密にしないためには、空き教室の活用、部分登校、午前午後の分割授業など、いろいろな形態がありうるし、実態にあわせて、柔軟に対応すべきである。そして、いずれも、遠隔授業との組み合わせが有効であると思われる。
現在、かなりZOOMの使用が増大しているようだが、他方で、ZOOMはセキュリティ上の問題があるという情報も広まっている。アメリカの企業などでは、使用禁止としているところもあるという。しかし、今、学校で遠隔授業を行うとしたら、やはり、ZOOMは最も便利なツールだろう。 “休校中の教育保障 ZOOMへの恐れがあるが” の続きを読む
無症状・軽症の自宅療養は絶対やめるべき
ネトウヨたちの番組攻撃は様々だが、最近は、羽鳥のモーニングショーがひとつのターゲットになっている。偏向報道だというのだが、私からみれば、最も適切な情報提供をしているのが、羽鳥のモーニングショーだ。
ごく最近の話題でいえば、東京都の新型コロナウィルス対応の病床が不足してきていることに関して、番組は、かなり早くから、陽性の無症状、軽症者を、病院とは別の特別施設に収容するという提案をしてきた。ところが、政府はいまだに、自宅ないし施設などといっている。 “無症状・軽症の自宅療養は絶対やめるべき” の続きを読む
「ぎりぎりもちこたえている」本当か?
いつからか「ぎりぎり持ちこたえている」という発表が繰り返されている。専門家会議が出所なのか、その後安倍首相も、管官房長官も、毎日のように「ぎりぎり持ちこたえている」と宣まっている。しかし、現実をみて、そのように言っているとは、どうしても受け取れない。それは、感染のチェックを、いまだに制限しているから、国民の多くが、公表されている感染者数よりも、実際にはずっと多いと感じているからである。
「ぎりぎり持ちこたえている」というのは、いったい誰が「持ちこたえているのか」。持ちこたえてほしい一番の存在は、医療関係者だろうが、東京などは、既に、限界をとうに越えていると思う。私は定年退職者なので、出歩く必要もなく、テレビやネットをずっとみているが、東京の医療関係者は、既に、頑張れる限界を越えて、頑張りを強制されているように思えてならない。にもかかわらず、「ぎりぎり持ちこたえている」などと、オウムのように繰り返すのは、いかりすら感じる。 “「ぎりぎりもちこたえている」本当か?” の続きを読む
人手不足2
専門職の外国人の受け入れは、ずっと以前から可能になっており、問題は単純労働なわけだが、単純労働の外国人受け入れを要請する企業は、単に「賃金を安く抑えられる」ということが大きな理由である。実際には、技術革新などで生産性を向上させるのではなく、安い労賃で切り抜ける企業が多数あれば、経済全体が停滞することになる。従って、政府としては、そうした企業に対する技術革新を促す政策をとるべきで、安い労働力で凌ぐようなことを促進すべきではない。革新ができない企業は、元々生き残ることができないのである。
だから、単純労働を含む移民を認める政策をとらずに来た日本政府の方向は、原則的に正しいと思うが、入管法の改訂で、事実上それは崩れているに等しい。
以上のことと、長年日本で暮らして、家族もいる外国人を厳格な違法状態の認定をもって、事実上生活が困難な生国に、強制帰国させたり、あるいは、長年収容施設にいれておくことがいいとはいえない。日本人なら、厳重注意ですむようなことで、長年普通に暮らしていた人を追放する必要があるだろうか。それこそ、長年働いてきたのだから、労働技能はもっているし、言葉も充分にマスターしているはずである。しかも、施設に長年収容していれば、それだけ生活費用がかかるわけである。実に矛盾したやり方だ。 “人手不足2” の続きを読む
人手不足考1
一見関係ないのだが、私の中でけっこう結びつく2つの記事がある。多少古いものだが、ひとつは「入管拘束長期化、命がけの抗議 非正規滞在外国人--帰国も滞在もできず、家族に会えぬ」(金子淳 毎日新聞2020.3.20)、ひとつは「隠れ『働かないおじさん』がテレワーク強制で次々あぶり出された理由」(堀内亮 ダイヤモンド編集部 2020.3.30)である。
「ダイヤモンド・オンライン」は、最近「働かない中年」の記事をなんどか掲載している。その一環だろうか、新型コロナウィルスで在宅勤務が奨励されるようになっているときに、在宅でパソコンを接続して、仕事をすることができない「おじさん」の例をあげている。
あるおじさん社員は、在宅ワークに欠かせない会社支給のノートパソコンを持ちかえったが、電源ケーブルを置き忘れている。そして、若手社員が「この人、絶対仕事してないでしょ」とつぶやかれている。そのまま一週間過ぎたという。他に、テレビ会議にずっと「退席中」が表示されたままで、実は会議に出席していないことがバレバレのおじさん、そして、テレワークのテレビ会議のために、わざわざ出社した人等々。 “人手不足考1” の続きを読む
榛名風か ネットでの誹謗中傷との戦い ネットは匿名空間ではない
NEWSポストセブン2020.3.29に「春名風花、ネットでの誹謗中傷被害との10年戦争を語る」という記事が出ている。芸能界にはまったく疎いので、春名風花というタレントを知らなかったが、子どものころから、ネットで論陣を張っていたという存在だが、誹謗中傷を受けて、それとの戦いの10年を紹介した記事である。(元記事は女性セブン2020.4.9号)
私自身、パソコン通信時代にこの問題と格闘した経験があるが、まだパソコン通信の時代には、誹謗中傷の発言があっても、拡散の度合いが限られていた。しかし、インターネットの時代になって、拡散の度合いが比較しようがないほどに拡大している。しかも、ツイッターやフェイスブックでは、拡散させる手段が整備すらされているから、まったく無自覚、あるいは歪んだ正義感でどんどん拡散させていく人がいる。手動で行わなくても、ソフトに拡散させることもできる。だから、一旦誹謗中傷されたときの被害は、計り知れないほどである。春名氏は、弁護士に依頼して、書き込みをした人物、拡散させた人物を特定するための訴訟を起こし、現在も戦い続けている。ぜひ戦いに勝利してほしいものだ。残念なことに、警察の非協力的な態度なども、戦いを阻害している部分がある。 “榛名風か ネットでの誹謗中傷との戦い ネットは匿名空間ではない” の続きを読む
改めてショック・ドクトリンを考える
ナオミ・クラインが、フリードマンに代表される新自由主義政策の、最も醜悪な側面を「ショック・ドクトリン」と名付けて批判したことは、まだ記憶に新しい。この批判によって、それまで圧倒的な力をもっていた新自由主義に対する、広範な批判意識が芽生えたのだった。
ショック・ドクトリンとは、何か大きな災害、戦争・自然災害等が起きたとき、民主主義が根付いていないと、そこに生じた大規模な被害を根拠に、新自由主義的勢力にとって都合のいいような政治体制、経済システム、地域政策などが押しつけられ、被害からの回復よりは、そうした支配層の利益になるような体制が作られることである。しかも、そうした災害がない場合には、人為的に混乱を引き起こして、同じようなことを実行してしまう。自然災害では、ハリケーン・カタリーナやハイチ、スマトラの大地震、そして、人為的な混乱としては、チリのアジェンデ政権転覆などが有名だが、ナオミ・クラインの著書には、他にも様々な事例が分析されている。民主主義的な国民の意識が根付いているところでは、そうした策謀は程度の差はあれ、押さえられるのだが、日本では、阪神淡路大震災や東日本大震災のときに、攻防があったが、部分的には、ショック・ドクトリン的な政策が実行されたといえる。 “改めてショック・ドクトリンを考える” の続きを読む
赤木俊夫氏の遺書を読んで
週刊文春3月26日号に掲載された赤木俊夫氏の遺書を読んだ。売り切れていたので、アマゾンのKindle版を購入したが、既に中古本が1000円の値段がついていたのにはびっくりした。電子書籍は売り切れることがないから、諦めている人は、ぜひ電子版で読んでほしいと思う。
「妻は佐川元理財局長と国を提訴へ 森友自殺財務省職員遺書全文公開」と題する記事は、森友問題を正確に報道しようとしてNHK上層部と衝突して辞職した大阪日日新聞記者の相澤冬樹氏によるものだ。週刊文春のホームページで、2018年12月に書いた記事も読むことができる。このふたつの記事と赤木氏の遺書を読むと、本当にこの内閣、そして安倍晋三という人物の酷さがわかる。
ことの起りは、教育勅語を信奉する籠池氏が、日本会議の同志である安倍晋三を尊敬し、幼稚園経営者だったところ、小学校も設立したいと考えて、安倍氏の後ろ楯を得たいと思ったことにある。 “赤木俊夫氏の遺書を読んで” の続きを読む
経済対策に納得できないものが多い
私は、経済が専門ではないし、あまり経済情勢に関する記事を熱心に読む方ではないので、あくまで素人の感覚に過ぎないのだが、新型コロナウィルスによる経済的打撃をどう打開するのか、という議論には、どうもピンとこないものが多い。
まず消費税の引き下げ、あるいは撤廃などの消費税関連、また、仕事を休んだことに対する給与補償、そして、消費を拡大するための国民への給付金などがでている。どれも、消費がすっかり冷え込んでしまっているので、なんとか消費を増大させることが意図されている。
ところで、現在起きている経済の停滞現象は、お金が足りないことになって、消費が低迷しているわけではなく、何よりも、新型コロナウィルスの感染を防ぐために、催し物の中止、人の移動が事実上制限されるために、観光にかかわる交通機関(飛行機)などの利用が極度に減少、部品工場が国際的レベルで停止しているので、サプライチェーンが寸断されての生産困難、学校の休校で親が仕事を休まざるをえない、等々によって起きている。端的にいえば、新型コロナウィルスの感染がおさまって、あるいはおさまらなくても、拡大を防ぐ有効な薬、あるいは社会システムが見いだされ、止まっているサービス業や工場生産が再開されなければ、復興はできないのである。 “経済対策に納得できないものが多い” の続きを読む