発熱後4日待機ルールはなかった? 追求しない新聞は?

 Business Journalのホームページによると、新型コロナウィルス感染症対策専門家会議医院の釜萢敏氏が、4月22日の記者会見で、「受診の目安のとされてきた「発熱後4日間自宅待機ルール」に関し、「普段あまり受診されていない方でも体調が悪い状態が4日も続くようなら受診してくださいという趣旨だった」などと発言をして波紋が広がっている。」と報道されている。: https://biz-journal.jp/2020/04/post_153919.html
 ネット上では怒りの声があがっているようだ。私もびっくりしたが、不思議なことに、24日の段階で、朝日、毎日、読売、産経各紙のウェブ版には、このことは全く報道されていない。釜萢氏は、テレビなどにもでて、解説をしていた人だが、まさかこんな嘘をつくとは思いもよらなかった。今後もテレビにでるのだろうか。(25付けの毎日新聞に、釜萢氏へのインタビューが掲載されているが、この点については全く触れていない。質問もしていないのか。)
 「発熱後4日間自宅待機ルール」は、もちろん、専門家会議のホームページに掲載されているし、テレビでもうんざりする位、繰り返し説明されていた。釜萢氏がテレビで解説しているのを何度もみたが、それを訂正したという記憶もない。本当に、閣僚も、都知事も、専門家会議の委員も、あまりに無責任ではないだろうか。
 37.5度以上の熱が4日間、高齢者・基礎疾患がある者はは2日間続いたら帰国者接触者相談センターに連絡ということが、繰り返し説明されていた。記憶が定かでないが、釜萢氏もそういう説明をしていた可能性がある。そして、保健所に相談しても、検査対象ではないと断られたという訴えがあることも、散々聞かされている。
 実は、厚生労働省が、同じ日だったと思うが、無症状、軽症の感染者は、自宅あるいは施設に移してもよいという方針転換を行ったと報道されている。おそらくこのふたつは、軽症で自宅待機するよう言われていた患者がなくなったことがきっかけだろう。それまでの方針ではまずかったと思われる事態がおきると、こうして隠微な形で訂正をする。
 私はもちろん、専門家ではないが、しっかりと考えている。そして、事態を追えば追うほど、政府、そして専門家会議の「方針」自体が間違っていると考えざるをえなくなっている。当初から疑っていたが、ますます確信になっているといってよい。
 改めて、youtubeで行われた山中伸弥氏と尾身茂氏の対談を見直してみた。ここで、山中氏が、もっとPCR検査をやって、感染の実態を把握することが必要ではないかと、専門家会議の方針に疑問を呈する質問をしているのだが、尾身氏は、それに専門家会議の副責任者として回答するのではなく、個人的にはそう思うと答えている。これは、極めて卑怯な回答だ。自分が副責任者である専門家会議が、まったく違うルールを設定して、かなり疑問が多く、かつ、困っているひとたちが多数でているから、山中氏は質問をぶつけたわけなのに、そうしたルールをどうして運用する必要があるのかを説明せず、自分は違う見解なんだというようないい訳をしている。この対談の最初のほうで、クラスターの説明をしているのだが、それも、私にはまったく説得力がないものだった。山中氏も、感染させる人と感染させない感染者がいるというのは、なぜなのか、しかも、8割は感染させないというのは、なぜか、と質問しているのに、回答は、「わからない」なのだ。わからないことを元に、クラスター追跡という重要な方針をだし、その対として、PCR検査の制限をしているわけだから、この人は、まったく患者、つまり国民のほうを向いていないといわざるをえない。山中氏が、この対談後、ホームページで情報発信を始めたのは、専門家会議への疑問からではないかと、私は思っている。
 結局、個人的にもっと多くのPCR検査が必要だと思っているのに、違うルールを制定しているということは、この人は、より大きな力のいいなりになっているということになる。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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