同調圧力を再生させる仕組み2

(前回は、佐藤直樹氏のインタビューで、日本における同調圧力の問題が指摘されており、その指摘は同意できるが、どのような仕組みで同調圧力が再生されているのかが明らかでないとして。)
 常識的に考えて、学校教育とマスコミが、最も大きな力をもって同調圧力を再生しているといえるだろう。
 まずマスコミである。もちろん、日本のマスコミを念頭においている。
 日本の加害者の家族へのバッシングについては、私も前から研究し、学生が卒論で扱うこともあった。私自身の身近に、そうした人がいたこともあったからだが。では、加害者の家族へのバッシングをするのは、だれか。

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何故学問の自由は重要なのか

 日本学術会議の会員選考について、政府に批判的な学者を排除するという動きは、既に2018年にはあったと報道されている。だから、見解突発的に行ったものではなく、おそらく、菅政権が発足して、支持率が高いこともあって、思いきってやってしまおうと考えたのではないだろうか。
 しかし、いかにも、そのやり方はお粗末で、安倍政権そして菅政権の水準の低さに呆れてしまう。法手続的にいえば、どう考えても筋が通らない。「推薦に基づいて任命する」というのは、推薦をそのまま認めることであるのは、内閣総理大臣を天皇が、国会の指名そのままに任命することと同じである。これを曲げて、首相に推薦の拒否権があるというならば、天皇が国会の指名を拒否できるという解釈も成立する。そんなことは、まさか認めないだろう。学術会議の会員も同様ではないか。 “何故学問の自由は重要なのか” の続きを読む

菅首相の学術面での暴挙

 これほど露骨な学術機関への介入を、早速菅首相が実施するとは思わなかった。これまでも、安倍内閣の番頭として、メディア支配を強めてきた安倍首相と菅官房長官だったが、会見や対話における、ふたりの対応は、少々違っていた。安倍元首相は、質問に対して、全く的外れな話を延々とすることによって、質問に答えないという姿勢がはっきりしていた。国会討論などで、そうしたはずらかし答弁は何度もあった。それに対して、菅元官房長官は、記者会見が主な場であるが、最初から、答える必要がないとか、そんなことはない、といって、質問そのものを封じてしまう。更に、望月記者に対するように、質問させないというやり方だった。どちらも、一国の政治指導者としてふさわしいとは思わないが、菅氏のほうが、より冷徹で抑圧的であると感じさせるものだった。

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同調圧力を再生させる仕組み1

 毎日新聞に「日本の「感染者バッシング」「マスク警察」は、なぜ? コロナ禍があぶりだした「世間」の闇」と題する長文のインタビュー記事が出ている。興味深い内容であることと、若干の疑問、そして、根本的なところが欠けていると思うので、この文章を材料に考えてみたい。話し手は、「世間評論家」と称している佐藤直樹九州工業大名誉教授である。
 簡単に氏の述べている趣旨を整理しておく。

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JR九州で無人駅化に障害者が提訴

 JR九州で、無人駅化したところ、障害者の権利が侵害されたとして、提訴されたという記事がでていた。ポイントは以下の通りだ。
 
 「 訴状によると、原告3人は脳性まひや、事故による脊髄損傷のため体が不自由で、常に車いすを使っている。無人化で、事前に予約し、調整が必要になると主張。憲法が保障する移動の自由を侵害し、障害者差別を禁じた法律にも違反していると訴えた。」(共同通信2020.9.23)
 
 無人駅は以前からあるが、最近定年退職による人手不足で無人化する駅が増大しているのだそうだ。東京都内でも、早朝の無人化とか、あるいは、無人ではないが、以前はたくさんいたホームでの監視員がいなくなるなど、駅で運行を司る労働者がいなくなる傾向がある。私の家の比較的近くを走っているツクバエクスプレスには、駅員はホームにはまったくおらず、改札口の脇にある駅員室に常時いるだけだ。

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コロナワクチン 過度の期待は禁物

 世界中で新型コロナウィルスのためのワクチンの開発競争が激しさを増している。いろいろな解説を読めば読むほど、開発スピードの速さに疑問が湧いてくる。通常4年くらいかかると、専門家たちは口を揃えて言っていたのに、年内実用化などという話も出ている。トランプのいうことだから、信ずるに値しないが、しかし、他の国でも早々と実用化できるとしているところもある。だが、常識的に考えてみて、効果や安全性の確認が、そんなに速くできるとは思えないのだ。とくに、日本の場合には、欧米に比較して感染者そのものが少ないので、治験もやりにくいだろうから、日本のメーカーは世界に先駆けてということは、そもそもめざしていないようだ。 

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女性閣僚の少なさ 既得権保持だからだろう

 数がたくさんいれば良いか、という問題はさておき、数値で見る日本の「民主主義度」というのは、たいていが低い。今回は、とくに、女性の閣僚がわずか2名しかいない点に、とくに海外では批判が強まっているという。安倍内閣が、女性の活躍などを表面的なスローガンにしていたが、実際には、政治の世界で女性が活躍した印象はあまりない。私が、この3月まで所属していた学科は、教員の男女比が同じである。大学としては、かなり珍しいと思うが、問題など全くなかった。人口の約半分は女性なのだから、労働現場においても、また、管理的仕事においても、ほぼ同数存在していることが、自然であることはいうまでもない。かつては、女性は結婚・出産を機に家庭にもどり、子育てが一段落したら復帰するという、M字型就労が、押しつけられる感じだったが、さすがに、現在は、企業が露骨にそうするように圧力をかけることは、少なくなっているだろう。大学生も、以前は、女子学生は卒業後、就職せずに、結婚して家庭に入る者も少なくなかったが、最近ではそういう意識をもっている者は、ほとんどみかけない。

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ネット上の不利益情報 総務省の政策について

 「テラスハウス」に出演した内容で、ネット上で誹謗中傷を受け、自殺した女子プロレスラーと同じような問題が起きないようにすることは、ネットを人権侵害の場にしないために、絶対に必要なことである。昨日ワイドショーに、その女性の母親が出て、いろいろと言っていたが、やはり、ネットの運営をどう変える必要があるのか、表現の自由を侵害せず、かつ名誉毀損となる投稿を防ぐ、出されてしまったときに、速やかに対応できる仕組みを作る必要がある。
 現在、ネット上における違法発言の取り扱いについては、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律
」という実に長ったらしい、とても覚えきれないような名称の法律に規定されている。通常「プロバイダー責任制限法」と呼ばれる法律である。名称でわかるように、人権侵害発言があったときに、プロバイダーが負わねばならない法的責任を制限して、責任が問われる場合を特定していること、また、そうした発言を受けた者が、情報開示をプロバイダーに求めることができる場合を列挙した法律と考えればよい。

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ネット上の不利益投稿をめぐる提訴 食べログの書き込みで

 今日(2020.9.12)の読売新聞(オンライン版)に、「食べログで点数下げられ、来客激減・・焼き肉チェーンが提訴」という記事がでている。首都圏のチェーン店コラボが、食べログ運営会社のカカクコムを提訴したというわけだ。食べログ側が、計算方式を変更して、チェーン系の点数を下げたために、客が月5000人以上減ったとして、売り上げ減少分の支払いを求めたということだ。調べてみると、同様の訴訟が過去にもあり、いずれも、食べログを訴えた側が敗訴しているようだ。訴訟のパターンは、点数下げられて損害が生じたというのと、希望もしていないのに勝手に、店が紹介の対象になって、点数化されているが、それを削除せよという訴えがある。
 さて、過去の裁判例を参照することで、今回の事例を予想してみよう。
 2013年に札幌地裁に提訴された例で、食べログに書き込まれた口コミで客が激減したというのが理由である。2014年9月に判決がでた。すべての訴えに関して、原告が敗訴している。 “ネット上の不利益投稿をめぐる提訴 食べログの書き込みで” の続きを読む

菅政権は期待できるか

 菅現官房長官が、自民党の新総裁、つまり総理大臣にほぼ決まりなのだという。安倍首相が退陣表明したあと、それまで極めて低かった支持率が急上昇したというのも、日本人というか、あるいはマスコミの甘さを感じる。これは、普段は安倍内閣に批判的なコメントが多いヤフコメでも、退陣する安倍首相への批判的文章を書いた人に、非難が集まっていたことでわかる。しかし、私の見る限り、あるいは悲愴な決意で振る舞っていたということなのかも知れないが、一時は確かに悪化した症状も、新しい薬の投与でかなりおさまったのではないかという印象だ。だから、新総裁が決まるまでは仕事をすると表明していたし、1時間の記者会見中でも、不安な様子は見せなかった。だから、本当に病状の悪化によって退陣したのではなく、それは改善したが、タイミングがいいので、退陣した。あるいは政権を放り出したというのが、真相だろう。そういう意味では、安倍政権の検証は、厳しく行うべきである。

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