拍子抜けのプリゴジン

 昨日は、もう少し頑張るだろうと、正直思っていたが、やはりプーチンのほうが役者が何枚も上だったようだ。いくらいさましいことを言っていても、プリゴジンは、所詮は、料理人なのかも知れない。本当の軍人として、5万人の兵士たちのトップならば、あのような腰砕けは、恥以外のなにものでもないはずだ。ある種の武人ならば、負けを覚悟で華々しく暴れまわってやろう、という覚悟くらいあってしかるべきだ。
 とにかく、プーチンとの間に、なんらかの妥協が成立したのだろう。当然プーチンは、何か餌を用意したはずだ。最も考えられるのは、ショイグかゲラシモフの降格、責任者から外すという約束だろう。プリゴジンが素直に飲む条件は、そのことしか考えられない。
 もちろん、そんな約束はできない。お前は反乱分子だから、徹底的に殲滅する。軍のだれも、お前に呼応してたつやつなどいない。いたか?国軍を甘くみないほうがいい。本当にこのままワグネルの兵隊たちと進軍するというのならば、ミサイル攻撃をして、お前たちを木っ端みじんにする。すべての兵隊を殺害する。だが、もし、ここでおれるなら、反逆罪の罪にも問わないし、兵士たちも許してやろう。そして、名誉あるロシア軍の一員として参加させよう。その代わり、お前は、すべてから引退しろ、それ以外に助かる道はない。

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ロシアで内戦か

 今後どうなるかはわからないが、ウクライナを応援するひとたちのほとんどが期待してきた事態が、少しずつ生じつつある。バフムトから撤退したワグネル舞台が、いよいよロシア領内にはいり、政府と、表面的には激しい対立状態になっている。報道によれば、ワグネルはロストフ州にはいり、そこの庁舎等の建物を占拠しており、また、プリゴジンは、ロシア側から攻撃をうけ、多数が死亡したと主張しているという。それにたいして、ロシア政府は、それはデマで、攻撃などしていない、としつつ、しかし、刑事犯としての捜査を開始したとのべているという。
 また、ワグネル側は、ロシア軍のヘリコプターを撃墜したとも主張しているようだ。

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ウクライナ勝利の期待は、ロシア内部崩壊から

 ウクライナの大規模反攻が始まったとされていて、少しずつウクライナ軍が前進している。しかし、その前進の程度は、期待からすると遅々としたもので、うまくいっていないのではないか、という不安を感じている人も多いようだ。しかし、希望する、つまり、なくてはならない武器、長距離ミサイルや戦闘機を欠いた状態での攻勢なのだから、そんなに速い進展を期待するほうが無理というものだろう。昨年のハルキウ奪還は、あくまでも不意をついた攻撃で、ロシア兵が逃げ出したことが大きい。しかし、今回は、前々から大規模反攻をすると、ウクライナも宣伝していたのだから、どんなに士気の低いロシアでも、準備万端を整えているのだから、そうそう簡単に突破できるものではない。むしろ航空機戦力はロシアのほうが勝っているのだから、尚更だ。

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自衛官候補生による銃撃事件 おどろいたこと

 実弾射撃訓練中の新人自衛官候補生が、指導的立場の自衛官3人に発砲し、2人を死に至らしめ、1人に重症を負わせる事件が起きた。自衛隊内部の銃撃事件は40年ぶりだそうだ。もちろん、事件そのものにも驚いたが、もっと驚いたのは、高校卒業後まだ2カ月しかたっておらず、正式の自衛官でもない候補生が、実弾射撃を実際にするのだという事実だ。自動車教習所で、法令も学ばす、運転の心構えなども充分に講義されないうちに、路上教習にでるようなものではないだろうかと思ったものだ。
 高卒1カ月では、本人がどのような人物であるかもわからない段階ではないだろうか。もしかしたら、精神疾患を抱えているかもしれないし、入隊に際して、人物調査はするのだろうから、人格的な問題はないということになっているのかもしれないが、調査だけではわからないことがあるだろうし、実際に、ともにある程度共同生活をしてこそ、わかることがある。そうした一定期間の観察期間のあとで、実弾を扱うようになるのかと思っていた。しかし、今回は4度目の訓練だったというのだから、本当に早い時期から訓練が始まるのたろう。

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ウクライナのダム破壊はだれが 舛添氏の議論

 舛添要一氏が、ウクライナのカホフカダムをウクライナとロシアのどちらが破壊したのか、について、論文を書いている。「【舛添直言】ウクライナのダムを破壊したのは誰か、双方が情報操作で火花」
 結論をいえば、どちらとも断定はできない、わからないというべきだというのだ。そして、そのあと、この戦争は激しい情報戦が行われており、どちらの情報も自軍に有利なように、嘘・でたらめを平気で流すのだということを、断定できないことの補強としてだしている。その例として、ノルドストリームとノルドストリーム2のパイプラインが損傷したことをあげている。この事例では、ほとんどの日本人は、ロシアがやったと信じたが、実はアメリカがやったという説がでてきて、アメリカは公式にはその説に対してコメントしていない。だから、ロシアではなくアメリカと考えられるのだというわけだ。そして、全体のニュアンスとして、そのパイプラインの例によって、ダム破壊もウクライナがやったのではないか、と言いたげなのだが、結論は先述したように、「わからない」である。しかし、「わからない」と主張するために、文章をわざわざ書くのだろうか。私のような勝手なブログではなく、列記とした商業的な場である。
 
 さて、パイプラインの件だが、日本人はほとんどがロシアがやったという説だったというが、私は、結論的には、ロシア説に傾いていたが、若干ではあるが疑問を呈した。

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フェミ科研費訴訟の部分勝訴はしたが

 「フェミニズム研究などに関わる大学教授ら4人がインターネット上で中傷を受けたとして、自民党の杉田水脈衆院議員を相手取った損害賠償訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であり、原告側が一部勝訴した。(毎日新聞2023.5.30)」と報道された。従軍慰安婦に関して、捏造だ、ということと、科研費を不正に使用したという発言に対して、科研費をうけて研究をしていた研究者たちが、提訴したものだが、昨年、大阪地裁での判決があって、その一部修正判決ということであった。地裁判決では、原告の訴えをまったく認めず、完全に原告が敗訴して、控訴していたものだ。そして、報道によれば、控訴判決が修正した部分は、科研費を不正使用したという部分の名誉毀損を認めたことで、その部分に関して損害賠償を認めたものである。逆にいえば、研究内容に関して、非難、批判、誹謗中傷したと原告が考える部分については、「論評」の範囲であるとして、名誉毀損を認めなかった。この点については、原告は不満であり、かつ危険であるとしている。

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激変しつつあるウクライナ情勢

 ウクライナ情勢が、動きつつある。いろいろと変化がでてきた。その多くは、いい徴候だ。
 バフムトで、ウクライナが少しずつロシア軍を後退させつつあるようだ。ここはロシア軍が大量に兵力を動員して、守ろうとしているところだから、簡単にいくとは思えないが、三方から包囲して、ロシア軍を囲い込んでしまおうという作戦が、少しずつ前進しているようだ。ワグネルは、そうした動向を早く察知したために、おそらく逃げたのだろう。そして、一方、現政権に反抗しようとしている雰囲気がでている。ワグネルが退却しているところに、地雷があったということで、ロシア兵を捕らえたと報道されている。ロシアのもっとも精鋭であるワグネルが、ロシア兵を捕らえるというのは、もちろん、重大な変化がおきていることを示している。
 
 ウクライナに協力するロシアの義勇兵たちが、ウクライナから国境をこえて、ロシアに侵入し、第一回目はすぐに引き上げたが、二回目は、留まっているようだ。そして、まだ小さな地域とはいえ、占領したといわれている。プーチンは、こうした動きを国民に悟られなたくないので、沈黙を守っていて、有効な反撃態勢をとらないでいるようだ。それはモスクワ近郊へのドローン攻撃についても、似たような反応をしている。

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長野の殺人事件 刑法39条との関連で

 長野県で起きた殺人事件は、警察官2人をふくむ4人も殺害したという、稀に見る事件であった。これまでの判例から判断すれば、死刑になる可能性が極めて高い。しかし、犯人の成育歴をみると、なんらかの精神疾患を患っていた可能性を感じる。とすると、刑法39条の「精神疾患心神喪失者の行為は、罰しない。 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」に関する議論が再燃する可能性が高い。日本の司法では、責任能力がないことが認定されて、殺人犯が罰せられない結果になることは、極めて稀であるが、それでも、精神疾患の患者が大きな犯罪をした場合、この規定の適応をめぐって、たくさんの議論がなされてきた。刑法は、法律学のなかで最も理論的側面が強いといわれているが、逆に、理論的であるが故に、素人でも見解をもつことができる、あるいはもたねばならない。私自身、法律学の専門家ではないが、これを機に、この問題を考えておきたい。
 
 犯罪とは、自由意思をもった人間が、意図して、犯罪とされる行為を実行することとされる。逆にいえば、「自由意思」をもっていない、あるいはもてない状況で、あるいは意図的に行ったわけではなく、不可避の行為だった、というときには、犯罪と認定されないわけである。だから、犯罪とされる行為を行ったとしても、自由意思や意図がなければ、罰せられないことになり、それが刑法39条になっている。
 
 しかし、犯罪を何故罰するのか、という根拠で考えると、この犯罪構成論とは、少々矛盾するところがでてくる。

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ルカシェンコは無事か?

 朝日デジタルによると、ルカシェンコがモクスワでプーチンを会談し、その最中に異変が起きたのか、病院に運ばれたという。かなり体調が悪かったことは間違いないから、モスクワまで出向いたのが驚きだ。核兵器搬入の最後のつめに呼ばれたのだろうが、会談から直接に病院搬送というのは、何もなかったとはだれも考えないだろう。
 だれもが考えるが、一緒に食事中に毒をもられたということだろう。ウクライナ侵攻に批判的だったベラルーシの高官が、昨年なくなっているが、ロシアに消されたという噂は耐えない。ルカシェンコも同様に、プーチンの怒りをかって、という可能性はありえないことではない。
 あるいは、最後の抵抗を試みていたところ、プーチンが激怒し、そのショックで、本当に体調が激変して、救急車で運ばれたということも、ないわけではない。かなり体調が悪そうな状態で、少なくとも喜んでいったとは思えないモスクワ訪問で、プーチンに難題を吹きかけられたのだから、どちらの可能性もないではない。

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長野の事件で考える

いる報道でも、なんとかならなかったのだろうかと思われる点がある。
 ネットでの意見でも、引きこもり状態があったとか、あるいはコミュニケーションに苦手で、ときどき威嚇的な行動をとるということが、近所のひとたちから語られており、それに対して、銃の所持の許可がおりたのはおかしいのではないか、というのが多数あった。銃所持の許可は、かなり厳しい審査があるということだが、20代後半の時点で、特に職業的、あるいは害獣の処分が必要な状況でないにもかかわらず、銃の所持が認められたのは、確かに疑問をもたれるところだ。日本では、アメリカのように銃犯罪、したがって、殺人事件も少ないのは、銃規制が徹底しているからだといわれているが、こうした事件が起きると、やはり、銃規制の強化が叫ばれることになるだろう。猪や鹿など、農産物に被害をもたらす野生動物については、猟を認められているから、そうしたひとたちには、許可する必要があるが、やはり趣味での銃所持は、強い規制があってしかるべきだと思う。

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