プーチンは認知症?

 プーチンはこれまで、いろいろな疾患を罹っているとされてきた。パーキンソン病、がんなどである。そして、今度新たに認知症ではないかという記事がでた。「相手の発言中に上の空、話し方も…プーチン大統領、「会談中の異変」を受けて「認知症」説が再燃」
 
 だいたい政治家の健康状態は、トップシークレットといわれていて、通常発表されない。持病が悪化して、検査にいってきた、などとわさわざ撮影させたりしていた安倍元首相は、だから逆に仮病を疑われるわけだ。私も、安倍氏の、少なくとも2度目の退陣は仮病だと確信している。
 今回の記事には、別のニュース(ロシア語)がリンクされていて、そこには、この記事で紹介されている「映像」がみられるようになっている。ロシア語なので内容はさっぱりわからないが、たしかに、記事のように、普段の早口の自身たっぷりのプーチンではない。ゆっくりと話しているし、内容的に勘違いがあるらしい。話し相手の人が子どもが23歳であるといったのに、3歳と繰り返したとか。ただ、そんなことは、いくらでもあることで、20を聞き漏らしただけのことかも知れない。

 
 残念というと語弊があるかも知れないが、残念ながら、この記事でプーチンの認知症説はあまり信用できない。ほんとうに認知症なら、こういうかたちで会議にでてくるはずがないと思う。また、最近プーチンは、失点を回復するためか、敗色濃厚であることを隠すためか、前よりずっと頻繁に多人数のいる場に登場して、映像が流されている。しかし、ウクライナ侵略以後、もっとも信頼する高官と会うときにも、かなり離れて座っていて、けっして近くでは話さない。私のみたかぎり、唯一の例外が国防大臣とさしで話したときだけだ。これは、コロナの感染と暗殺を恐れてのことだと、報道されている。そういう点からみれば、マリウポリを訪問して市民たちと話したことがあったし、似たような状況での歓談映像がいくつかある。コロナ感染にしても、暗殺にしても、どちらも極めて危険な状況だ。とくに、マリウポリ訪問のときには、プーチンに対する極めて厳しい叫びがあがったとされている。こうした大勢の市民のなかにはいる場面にいるプーチンは、どう考えても影武者としか考えられない。
 
 では、この会議の映像のプーチンも影武者なのか。
 考えられる可能性はいくつかある。
 ひとつは本物で病気でもないという可能性。たしかに、話し方がゆっくりで、自信なげだ。記事によると勘違いなどもあったという。だから、普段のプーチンを見慣れている人には、不自然に感じる。しかし、うつろな感じだったというのも、最近の状況(なにしろ反乱があったことは事実で、それはいくらなんでも、プーチンの耳にとどいていないことはありえない)を考えれば、別のことを考えたりすることもあるだろうし、新しいビジネス開発を支援する団体での会ということで、あまり知らないことだから、反応が鈍いことも不自然ではない。そもそも、こうして室内での映像だから、入場管理をすれば、暗殺の可能性も低いから、本物がでてきたという可能性だ。普通に聞いているかぎりでは、プーチンらしい声だった。これだけでは認知症とも思えないから、わざわざ影武者がでる場面でもないということだ。
 
 しかし、本物だが、認知症であり、自分もまわりもまだそれを知らないでいるという可能性だ。もちろん、高齢なので、物忘れなどは頻繁にあるだろうし、認知症の検査など、プライドの高いプーチンは拒否している可能性が高い。アメリカ大統領だったレーガンは、大統領をやめたあとには、はっきりとした認知症だったが、実は現役だったころの映像で、すでに認知症だったことがわかる場面がある。まわりはおかしいと思っても、はっきりとさせなかった可能性があるのではないだろうか。プーチンも同じだ。
 もちろん、本人が病気であるかどうかにかかわりなく、もともと影武者で対応する予定であったし、事実そうしたのだという可能性もある。この程度の会議であれば、訓練をうけた影武者なら対応できるだろう。
 
 いずれにせよ、プーチンの健康状態はわからない。病気説はほとんどが西側からの観測記事であり、それは、希望的観測である。そして、ロシア側からは健康説しかでてこない。もちろん、それをそのまま信じる必要はないのだが。
 それよりも、私にとっては、プーチンが病気で引退というのは、非常にまずい事態であると思っているので、希望的観測としての病気説にはのらないことにしている。病気で引退とか、死去で、プーチンが指導者でなくなると、惜しむ声が強くなる。そして、プーチンはよかったなどという気持ちも、ロシア人のなかに醸成される可能性が高い。
 プーチンの退陣は、ネガティブな評価が表になるかたちでなされる必要がある。もっとも望ましいのは、クーデタなどが起こって、国外に亡命する。しかし、その亡命をうまくCIAなどが捜査して、オランダにつれていってしまう。そして国際刑事裁判所として逮捕してしまうのである。そのまま、裁判にもっていくことは当然のことだろう。そこで、ロシアが行った反人道的な犯罪をことごとく暴く。このことがもっとも望まれることだ。そして、それを世界にはもちろん、ロシア人にたいして知らせていくことである。いまだに、ウクライナ侵略を支持しているロシア人が多いとされているのだから、彼等の教育が必要なのである。そのためには、プーチンを裁判にかけることが必要である。
 
 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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