オリンピックの商業主義は、ロス大会とそれ以後はまったく違う

 田村淳さんの、聖火ランナー辞退を述べたyoutube映像をみた。実にきちんとした説明で、説得力がある。森会長の「たんぼのなかを走ればいい」という発言を受けて、まわりに人を集める必要がないのなら、タレントが聖火リレーをやる必要がないというのは、正論であると同時に、森会長の発言に対する痛烈な批判であり、たぶん、グーのねもでないだろう。実際に、組織委員会のメンバーが「おっしゃっていることはごもっともな話で、こちらも何ひとつ反論しようがないのが非常に歯がゆいところなのですが・・・」と述べているそうだ。(臼北信行「これはヤバイ「森失言」で五輪ボランティア消滅危機--ロンブー田村淳さん聖火ランナー辞退、ますます高まる反対世論」)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63956
 そして、昨日(2月3日)は、女性蔑視発言だ。いわずもがなの発言だと思うが、何故こんな愚かなことを言ってしまうのだろう。本当に不思議である。しかも、この会議はオンラインで行われていて、多くのメディアに公開されていたという。ということは、そのまま録画可能だということだ。この話を最初聞いたときに、さすがの森会長も、いろいろと言われるし、オリンピック開催の可能性がほとんどなくなってきたので、嫌気がさし、投げ出すきっかけに暴言を吐いたのかと思ったほどだ。しかし、今日(2月4日)の釈明会見を見ると、そうではなく、本心を吐露しただけのようだ。釈明会見だから、発言を撤回して謝罪していたが、だれかが書いたメモを、いやいや読んでいる感じで、自分の本意ではないというのが、あからさまに出ていた。

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東京は巨大なスーパースプレッダーと言われてしまった

 「東京五輪は巨大なスーパースプレッダーの可能性 豪州メディアが日本のコロナ対策を批判」という記事が、シドニー・モーニング・ヘラルドに出たとして、中スポがそれを紹介している。前、バッハの発言を誤訳した朝日の記事に基づいたブログを書いてしまったので、今回は、念のために、その記事を原文を読んでみた。
Tokyo Olympics plan is tempting disaster (https://www.smh.com.au/national/tokyo-olympics-plan-is-tempting-disaster-20210125-p56wim.html)という記事で、誰でも読める。私が読んだ限りでは、今回の要約的紹介は、間違っていないと思う。要点は、日本のコロナ対策は、先進国のなかでも最低の部類で、コロナ対策、特にワクチン接種が十分に実施されると考えるのは、非現実的である、日本は検査もあまりしていないし、緊急事態の対策もお願いレベルだ。最高でも、団体競技はせず、観客がおらず、聖火は無人の通りをレリーする、それでも、途中で、審判やボランティアがいなくなり、競技が中止され、レストランは閉じてしまう可能性がある、ということだ。

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新型コロナウィルスとインフルエンザ ファクターXは存在しないのではないか

 いまだに、新型コロナウィルスとインフルエンザは、同程度の病気なのか、それとも異なるのか、医療専門家のあいだですら見解が分かれている。死亡数については、インフルエンザは毎年約3000名、新型コロナウィルスはこの一年で、今日現在5452名である。単純に、死亡率を見ると、インフルエンザは0.3%、新型コロナウィルスは1.45%になり、はるかに、新型コロナウィルスのほうが恐ろしい病気だということになる。しかし、この数字は、かなり実数とはかけ離れていると思われるのである。というのは、ここが、われわれ一般市民にとっては、大きな相違なのだが、インフルエンザは、かかったと思ったら、気軽に開業医にいって、検査してもらい、そして、薬を受けることができる。よほど症状が悪化しないかぎり、その薬を飲んで、自宅で療養する。しかし、新型コロナウィルスは、症状がでて、おかしいと疑っても、開業医にいって検査してもらうことはできない。まず、開業医のほうでも、ゾーニングなどが行われていないところでは、診察そのものを断られるかも知れない。そして、保健所に電話して、煩雑なプロセスを経てやっと検査を行われる。しかし、陽性になると、今度は逆に、インフルエンザではありえない、濃厚接触者なる人が割り出され、検査を受けるように、保健所から求められる。インフルエンザが疑われても、医者にいかず、自宅でじっと休息するだけの人も多いだろうが、おそらく、薬があるから、多くの人は、医者にいくだろうし、陽性であれば薬がだされるので、感染者(=発症者)の数値が、現実に近いものが得られるはずである。しかし、新型コロナウィルスの場合は、気軽に検査できないし、やってもらえない状況がずっと続いているから、実際の感染者数(発症者数とは異なる)と、統計的に表れた数値とは、かなり異なることが考えられる。

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IOCバッハ会長の呆れた言葉 (訂正版)

 森委員長とバッハ会長の電話会談が行われ、開催することが一致したという。しかし、30分の予定が1時間かかったということで、やはり、中止の可能性について話がでたのではないかという憶測を呼んでいる。
 私が驚いたのは、バッハ会長の発言のなかに、「日本人に忍耐を求める」という言葉があったことだ。国民が忍耐をしなければらないうような大会であることを、会長、つまりトップが要請しているということだ。一連の最近の流れをみれば、IOCがどうしても開催したいのは、結局テレビ放映権料を得たいということではないかとしか、考えられない。そう思っているひとは、たくさんいるようだ。他方、日本政府や東京都がやりたいのは、インバウンドによる経済効果を求めているからだろう。しかし、現在の状況では、無観客でやるという雰囲気作りが行われている。無観客ということは、コロナが終息していないことを意味するわけだから、外国人を禁止するのが妥当だろう。そうすると、日本政府や関係者か期待する経済効果は、ほとんど望めないことにる。NHKの企業対象のアンケートによると、6割が開催すべきであるとして、理由は経済効果である。経済効果をあげるためには、外国人の来日を許容する、あるいは奨励するしかない。それは、コロナが終息していないという前提なのだから、感染が再爆発する可能性が高い。

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石原氏の「上級国民」問題と、東京の感染減少を疑う

 石原伸晃氏が、濃厚接触の疑いからすぐにPCR検査を受け、陽性だったために即入院した。そのことが、少なくない非難をあびている。この点については、私は、あまり非難する気持ちはない。確かに、不公平感が強く出てきても当然だろう。一般国民は症状があっても、PCR検査を受けることがかなり困難になっており、しかたなく、自宅待機を余儀なくされる人が多数存在する。それなのに症状がない段階でPCR検査を受けられ、しかも、陽性とはいえ症状がない段階での入院が可能になっている。おかしいではないか。
 その気持ちはわかる。しかし、それが、石原氏が検査を受けること字体を批判したり、また、病院が入院させたことを批判するのは、方向性が違うと思うのである。むしろ、もっと容易にPCR検査を誰でも受けられるようにすべきであり、また、隔離施設をきちんと用意すべきなのである。隔離施設になる可能性がある施設は、たくさんあると言われている。ホテルばかりではない。公的な各種研修施設はたくさんあるし、(しかも、今はほとんど研修はされていないはずである。研修が必要でもオンラインで可能なのだ。)選手村だって利用可能だろう。そういう施設は、ちゃんと食事をつくる施設もあるのだ。PCR検査は、明らかに今でも公的な何かの力が制限している。そこに問題があるのだ。

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劣化した自民党に最低限求めたいこと

 週刊ポストが、「自民党の人材不足、野党も共倒れで菅政権延命の最悪シナリオも」という記事を掲載している。菅降ろしが画策されているが、結局自民党にも、また野党にも人材がいないので、菅続投という最悪の事態になるという、なんとも皮肉たっぷりの記事だ。しかし、自民党や野党の人材不足の指摘は、いまに始まったことではない。その原因に関する言及もたくさんある。そのわりには、自民党内での人材養成システムが改善されたり、機能している風には思えない。ますます、非生産的な権力闘争によって、ものごとが決まっているように見える。
 そして、菅首相の発する言葉を、国民の多くが、そして、与党内部の人ですから、率直には受け取っていない。だから、菅降ろしが語られているのだろう。
 自民党有力議員の政治力の劣化を示す事実は、数えきれないほどある。

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オリンピック中止を、オリンピックそのものの見直しのきっかけに

 海外メディアが、東京オリンピックの開催への疑問を報道するようになって、日本の政府や与党政治家は、それを否定するのにやっきになっている。しかし、以前は、まったく疑問すら表面では語られることがなかったのだから、これは大きな状況の変化である。正式に中止が決定される方向へのステップが始まったということだろう。
 体操の内村選手が、再び「どうやるかという方向で考えてほしい」という談話を出したところ、ヤフコメを数十読んだ限りでは、それに共感、賛同する意見は皆無である。ひとつもないのだ。内村選手の立場に同情する声はあっても、しかし、国民の多くが、より深刻な事態に陥っているのだということで、否定している。
 IOCの有力委員から、やるなら無観客だ、それなら納得できる、というような意見もだされている。しかし、それを納得する日本人は、今では圧倒的少数だろう。そもそも無観客で実施するというのは、非常に大きく矛盾する考えであり、且つ、無責任な意見である。無観客で実施するというのは、まだコロナの感染が納まっていないという状況認識があるからだ。しかし、オリンピックを無観客だろうが、実施すれば、海外から多くの人たちがやってくる。選手と役員くらいは、検査やワクチンを来日条件にして、かつ厳しい行動制限をするとしても、メディアの人たちは、それが可能だとは思えないし、また、無観客としても、多くの外国人がやってくるに違いない。オリンピックに直接携わる人の入国だけ許可して、それ以外の入国は一切シャットアウトするようなことを、政府が行うはずがないのである。また、行ったとしても、それだけのワクチン接種が、保障されるとはいいきれない。

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二重国籍訴訟判決で否定 だが二重国籍を認めるべきではないか

 二重国籍問題を争点とした訴訟の判決が、今日(1月21日)東京地裁から言い渡された。gooニュースは「二重国籍を認めない国籍法は「合憲」 東京地裁が初判断」と報道している。
 普通の日本人は、国籍などは、普段考えることはないだろう。生まれたときから、当然のごとく日本国籍を取得し、日本人としての権利・義務を享受する。しかし、日本にいる外国人、外国にいる日本人、特に、外国で永住権を獲得したり、あるいは外国で仕事をしている、あるいは外国人と結婚している人にとっては、国籍は切実なこととして、様々な側面で意識せざるをえないことになる。特に、日本では、在日という、ほぼ日本人と同じ教育を受け、文化を共有し、生活している、大量の外国籍の人々がいる。日本の植民地政策から、敗戦を経て、敗戦処理としての間違ったやり方によって、残った人たちである。だから、日本にとって、国籍問題は、かなり複雑な問題をもっているのである。

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ワクチンをどうするか、考えねばならない時期になってきた

 いよいよ、ワクチン接種が現実的なスケジュールになってきた。当初一般の人には6月からだとされていたように思うが、政権の焦りか、あるいは熱心さのためか、5月くらいからとなっている。
 アメリカでは既に後半に接種が始まっているが、いろいろと混乱があるようだ。接種できるということで、会場に出かけたけど、行列が長すぎて諦めたというような人が続出しているいう話を聞いた。そして、実際の計画よりも、接種の進行はかなり遅れているようだ。
 ただ、日本でも始まるとなると、一般人としては優先される高齢者に、私も属するので、そのときにはどうしようかと話している。現在のところ、ほぼ完全なステイホーム状態なので、感染する可能性は極めて低いのだが、いつまでもこうした生活を継続できるかわからないし、また、継続したくもない。やはり、社会のなかでの活動をする必要も感じている。そうなると、やはり、ワクチンが必要なのかも知れない。しかし、本当に安全なのか、それも不安だ。
 そこで、一体どういう計画で、ワクチン接種の計画が進んでいるのか、多少とも調べてみた。厚労省健康局健康課予防接種課が昨年12月に行った「新型コロナウィルスワクチンの接種体制確保について 自治体説明会1」という文章がある。https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000708055.pdf
 この文書を読むと、実に詳細な部分まで、苦労して計画を立てようとしていることがわかる。もっとも、実際にどの程度スムーズに進んでいるのかはわからないし、本当にこうしたことか可能なのかもわからない。興味のある人は、実際にこの文書を読んでもらうとして、私が自分の関心がある部分を拾って考えてみる。

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オリンピックは再延期ではなく、中止すべき

 1月16日に、ニューヨーク・タイムズがオリンピック中止の可能性があることを報道してから、そのことを日本の主要新聞が報道するという、いかにも妙な現象が起きている。なぜ、日本の新聞自身が、オリンピック中止の可能性を報道しないのか。ネットなどでは、主要メディアがオリンピックのスポンサーになっているし、そのとりまとめが電通であるから、電通に反することはできない、というような分析をしているところが多々ある。確かに、主要新聞は、明確にオリンピック中止を示唆する記事を掲げていない。しかし、よく見ると、オリンピックの開催に懐疑的な記事は、いくつかある。
 毎日新聞では、
2020.5.6 本当に東京五輪は開催できるのか 関係者がだんまり決め込む中でふくらむ経費
2020.9.23 IOCバッハ会長が東京五輪開催へ動き出した思惑 立ちはだかる「冬」とかさむ費用
2020.10.8 感染リスク、開催費膨張… 東京五輪開催へ綱渡り 「機運醸成」進まぬ理由
2020.12.4 森会長「互いに理解して」 東京オリンピック追加負担早期合意、3者の思惑は
2020.12.21 オリンピック予算、大幅膨張必至 コロナや延期…なお全体像不明

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