総務省接待問題は、自民党内の権力闘争ではないか

 メディアでは、連日、菅首相の長男による、総務省官僚への接待問題を扱っている。処分もなされたので、利害関係者による接待は、禁止されており、倫理規定に違反しているということで、処分がなされたが、そもそもこの事件の本当の問題については、あまり納得のいく説明がされていない。もちろん、皆無ではないが。
 官僚が禁止されている接待を受けるのは、もちろん、承知の上だろうが、では何故そんな危険なことをしたのか。あるいは、処分されたら、本当に将来に大きなマイナスなのか。
 そもそも、官僚になる人たちの多くは、権力の中枢に自分が位置を占めたいと思っているに違いない。そのなかには、単に権力を振るいたいというひとや、自分の理想とする政策を実現するために、権力の中枢にいることが必要だと考えるひともいるだろう。そのために、有力政治家と近づきになり、とくに昔は姻戚関係になるのが普通だった。現在でいえば、加藤官房長官は、その代表的な存在であろう。姻戚関係までいかなくても、近しい関係になることによって、有力政治家に引き立てられ、事務次官になったり、あるいは、政治家に転身したりする。だから、新人のころはまだしも、ある程度の地位についたころからは、どの政治家につくのか、難しい選択になるようだ。ついた政治家が失脚すれば、自分の地位も危うくなるからだ。

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橋本会長は議員辞職すべきではないか

 橋本聖子氏が東京オリンピック組織委員会会長に就任し、五輪担当大臣の後任が決まったあとも、ごたごたが続いている。それは、当初自民党を離党はしないと明言していたにもかかわらず、今日(2月19日)に突然離党の表明がなされたことである。これは、野党が疑問を呈したからだと言われている。そこで、今度は、議員辞職はしなくてもいいのか、という問題が生じてくるはずである。
 当初、橋本氏は、会長になることを固辞していたと言われている。実際に、メディアのインタビューでも、そうした姿勢を表わしていた。それは、報道によれば、ふたつ理由があったとされる。ひとつは、経済的問題であり、ひとつは過去のセクハラ疑惑である。経済的問題とは、橋本氏は子どもが多数おり、子育ての費用がかなりかかるから、大臣を辞めるだけならまだしも、議員を辞めるとなると、とても会長としての給与ではやっていけないという危惧だったそうだ。確かに子どもが6名(?)もいれば、かなりの経済的負担だろう。しかし、それは、保障するから、というような約束がなされたようだ。真相はわからないが、長くても今年で廃止される組織委員会だから、その後の生活をきちんと保障するということだろう。会長退任のあとは、また何かの大臣にするとか、とにかく、議員を辞める必要はないという保障をしたのだろう。
 ここで、問題が起きるのは、橋本氏は、参議院の比例代表によって、当選していることだ。過去比例で当選して、党を辞めたり、あるいは他党に移籍したりした議員が何人もいる。そして、その度に、**党として当選したのだから、その党籍を離れたら、議員を失う、その党の次の名簿のひとを繰り上げ当選させるのが、民主主義的原則なのではないか、という議論が起きた。そして、さまざまな議論の末、現在国会法109条の2が存在しているのである。長いがそのまま引用しておく。

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オリンピック中止したら日本はだめになるのか 田原・猪瀬対談と森後任

  オリンピックネタをあまり書きすぎているので、あまり書きたくないのだが、次々と重要問題が生じている。昨日JBpressのメルマガに、田原総一郎と猪瀬直樹両氏の対談「五輪中止と不安をただ煽るようじゃ日本も終りだよ」が掲載されると報告されていたのだが、クリックすると「削除されました」というようなメッセージがでて、記事が読めない。そして、何故か今日再度メルマガに出ていて、今日は前半が掲載されていた。ただ、映像では全体がみられるので、みてみたが、内容はあまりに酷いものなので、反論せざるをえないものだ。
 それから、森後任が内定したという報道もなされているが、これも正直驚きの人選だ。本当かどうかは、明日になってみないとわからないが、橋本五輪担当相が後任だという。これも、多いに問題だ。
 そこで、今日もまた、オリンピック話題を書くことにする。
 まず田原・猪瀬対談に関して。
 対談は、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64064?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top
 映像は、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64100
で見ることができるので、興味のある人は、そちらで確認してほしい。ここでは、内容紹介はせず、論点に関してのみ触れることにする。
 
 まずオリンピックを何故招致したのかという点についての、私の立場からみればごまかしの論理、猪瀬氏にとって都合の悪い点は無視する論を述べ立てている。

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ますます混沌のオリンピック またメディアの世論操作か

 最近オリンピック開催を望む世論が増加しているそうだ。以前は20%未満だったのが、現在では、30%になっているという。もっとも朝日新聞という、オリンピックスポンサー企業の世論調査だから、どこまで信用できるかわからないのだが。ただ、スポンサー企業である大新聞が、世論誘導を図っていることは、間違いないだろう。感染者数の減少も、一部は本当だが、検査数削減の影響もある。これまでやっていた濃厚接触者の調査を、高齢者以外はやらないなくてもよいということにしているのだから、当然検査数は減少する。濃厚接触者は、感染可能性が、一般市民よりは、高いわけだから、その調査をやめれば、当然感染数は減少する。ただ、その影響を過大評価するのも間違いだと思うが。 
 もうひとつの操作と疑われるのは、ワクチンだ。確かにワクチンが急速に普及すれば、それなりの希望があるのかも知れないが、ワクチンが日本にはいってきて、国民の多くが接種できるようになるのは、かなり遅れそうだ。それを政府はひたすら隠している。韓国の文政権が、仮契約しかしていなくて、国民に宣伝していたワクチン確保が実は、間違っていたと騒がれていたが、日本でも同様のことが起きている。違うのは、日本人は、騒がないということだ。明らかに厚労省の重大ミスであるにもかかわらず。やっと第一陣のワクチンがはいってきたが、2回目はいつになるかわからず、また、量も未定だそうだ。医療関係者の接種が終わることだけでも、ずいぶん時間がかかりそうなのに、2月中旬に始まるということを強調している。

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森発言は世代の特質ではない 森会長誕生の問題

 オリンピック組織委員会森会長が、ついに辞任することになった。一端、後任は84歳の川淵氏であると決まったかに思われたが、責任をとって辞任する森氏が指名したという問題と、密室の決め方ということ、そして、その点について官邸やIOCからの異論が出て、現時点では、選考委員会が人選を進めているという段階である。誰になるかは、まったくわからない。実は、この表題の文章は、川淵氏が決まりかけた時点で書き始めたために、その人選および決め方に疑問を書きつらねていたのだが、別のテーマで書いている間に、その部分が無駄になってしまった。それにしても、人材不足だ。何人かの候補者が、メディアによって提起されているが、国民的コンセンサスをえられそうな人が皆無である。全くの能力不足としか思われない人たちか、あるいは批判される要素をもっている人ばかりなのだ。どうしてこんなことになってしまったのだろう。
 それはさておき、いくつか書いておきたいことがある。
 まず第一に、森発言を古い世代の特質だという議論が少なくないが、これは、大きな間違いである。私も高齢者であり、かつ昭和の人間だが、森発言が含む考えとは、全く違うといえる。それは既に書いたから繰り返さない。また、逆に、若い世代は、森発言とは異なるともいえない。youtubeで、森発言を擁護する番組は、少なくない。そして、そこには若い人がけっこういるのだ。戦前世代の特質だという見解もあるが、戦後になって、変わった人は多い。女性蔑視発言として、強く批判された杉田水脈氏などは、政治家としては若いほうだし、しかも女性である。森氏が、古い世代の男性だから、あのような考えなのだ、というのは、あたらない。あくまで、そういう考えの人だというべきだ。そして、オリンピックを推進しているひとたちには、同じような考えの人がたくさんいるということだ。

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皇族の結婚 毎日新聞が識者の見解を掲載しているが

 真子内親王と小室圭氏の結婚問題は、昨年、秋篠宮が親として結婚を認める発言をして、更に、真子内親王が、結婚は生きるために必要なことだというような趣旨の文章を発表することによって、進むかと思われたが、宮内庁の長官が、小室氏に説明責任を求める発言をして、またまた停滞感が漂っているように見える。久しぶりだと思うが、毎日新聞が識者なるひとたちの見解を並べて掲載した。
 山猫総合研究所代表取締役の三浦瑠麗氏
 大阪大学客員教授の津田大介氏
 政治史研究者の君塚直隆氏の3人である。
 少しずつ論点が異なっており、三浦氏が、基本的に本人の自由で、外野がとやかくいうようなことではないというのが趣旨だ。小室氏が、金銭や名誉欲で結婚しようとしているという、「男性が女性を養って当然」というような価値観からの批判だと、それに対して違和感を呈している。皇族との結婚によって、プライバシーがある程度さらされることはやむをえないが、基本的には、他人の結婚には干渉すべきではないと述べている。

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森発言に驚いたこと

 オリンピック組織委員会会長の森氏の発言の波紋が、まだ続いている。いろいろなことが報道されて、掘り起こされているが、驚くことが少なくない。例えば、発言があった翌日、森氏は発言撤回とお詫びの会見を開いたが、その前に、辞任の意志をある程度固めていた森氏に、そういう報道があったことを受けて、武藤副会長が、懸命に慰留して、それで森氏は辞任の意志を撤回したのだと、毎日新聞が報道していた。もっとも、それは、森氏が毎日新聞の記者に語ったことであって、他には報道されていない。しかも、まわりにいた人は、涙を流していたというのだから、かなり時代がかった内容で、そんなことが本当にあったのかどうかは、不明だ。それより、私が驚いたのは、武藤氏が「組織委員会の5000人はどうなるのか?」と、森会長に迫ったというのだ。私の認識不足といえば、それまでだが、オリンピック組織委員会って、5000人もいるのかと、今更だが、びっくりした。委員会メンバーの給与が高すぎるというので、ずいぶん問題になっているが、給与の高さだけではなく、支払われる数もずいぶん多いことになる。本当にそんな大勢の委員が必要なのだろうか。出向が多いともいうから、出向元が給与を負担しているという場合もあるだろうが、とにかく、人数にびっくりした。日本の労働者の生産性の低さは、しばしば問題になるが、おそらく、オリンピック委員会の生産性も、それほど高くないに違いない。

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動物福祉に対する率直な疑問2

 今日は、昨日整理だけしておいて、説明をしなかった部分について書きたい。昨日、人間と動物の関係を、乱暴だが、以下のように分類した。
 
1 野生の動物。狩猟や漁業で、人間が食料として捕獲する動物と、人間との関係は基本的にないが、餌がなくなって、野生動物が、人間の住む地域に出てきたり、人間が植物採集やハイキングなどで、動物の領域に入り込んで出会うことがある。
2 鑑賞やペットして、人間が飼っている。
3 人が動物を活用している。実験用と食用、興行用がある。
 
 近年日本では、野生で生息している動物が、人間の居住空間に出てきて、農産物を荒らすとか、あるいは住宅地域に出てきて、食料をあさっているなどの「被害」が増加している。もちろん、その原因はあきらかで、動物が生きている空間で食料が乏しくなった結果と、とくにサルなどは、人間の空間にいけば、より美味な食べ物があることを学習していることもあるだろう。動物も、それなりに知恵をつけて、人間が住んでいる地域にでかけても、危害を加えられることはないと分かっているのかも知れない。

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動物福祉に関する率直な疑問

 吉川元農相の収賄罪に関連して、日本の採卵鶏の飼育が、国際基準から大きくかけ離れていることを批判する文章があり、あわせて「動物福祉」を推進する必要が説かれている。「「動物福祉」問われる日本の姿勢 浮き彫りになった世界とのギャップ」(全国新聞ネット2021.2.7)である。しかし、私は、どうもこの手の議論には、全面的に賛成ということには、抵抗がある。日本でも、法的に野生の動物を保護する規定があり、むやみに野生動物を捕獲したり、殺傷することは許されない。また、動物実験などでも、それなりに配慮がなされているように思われる。それでも、不足だという見解も多いことは知っているのだが、これは、あまり科学的エビデンスに基づくというよりは、価値観的立場の問題だと思うので、自分なりの考えを整理してみたいと思った。

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森発言のもっと大きな問題

 森オリンピック組織委会長の「女性理事が増えると会議が長くなる」云々の発言が、更に話題として拡散して、批判に曝されている。毎日新聞によると、森会長の20代~30代の女性中心の署名活動には、瞬く間に10万を超える署名が集まったという。森会長の挨拶のときの評議委員会で、笑いがおき、誰も抗議するものがいなかったことも、批判されている。私がネット上でみている限り、森発言を支持する投稿はない。ここも妙なところだ。何故なら、政府関係者やオリンピック開催支持派のひとたちは、森氏を強く支持しているわけで、辞任には賛成しないといっても(例えば橋本オリンピック担当大臣)、内容にはほとんどの人が反対している。
 しかし、森氏の発言は、思わず出た失言ではなく、普段から思っていることをそのまま率直に言ってしまっただけのことで、いわば確信をもった内容だろう。だからこそ、笑いが起きた。つまり、同意するひとたちが、評議員ではほとんどだった。それなのに、森氏は正しいことを言っている、と擁護もしないのだ。「誰も擁護してくれいなのか、ばかばかしい、俺はこんなに一生懸命やっているのに」といって、森会長が辞任してくれるといいのだが。辞めようとしたが、強く慰留された、とご本人は言っているようだが。

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