厚労省職員処分への違和感

 飲食店に時短要請が出ているのに、23名もの人数で送別会を深夜までやっていたということで、職員が処分されるそうだ。
 加藤官房長官は、「国民のみなさんに大人数の会食を控えるよう呼びかけをした中で、コロナ対策を担う同省でこうした事案が行われたことは大変遺憾だ」と述べたそうだ。(朝日新聞2021.3.30)
 三浦瑠麗氏のように、同情を表現している人もいるが、(中スポ2021.3.31)多くは、非難している。もちろん、同情する気持ちはないし、呆れるという感じだが、ここにきて、処分という展開になっている。自民党世耕参院幹事長は、「政府においては国民目線で納得のいく厳正な処分をしていただくよう強くお願いする」と述べ、二階幹事長も「しっかり反省して対処してもらいたい」と述べた。(毎日新聞2021.3.30) そして、どうやら課長が更迭されるという動きになっている。そして、ほとんどのメディアでは処分当然という声が高い。

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醜悪な聖火リレー

 聖火リレーがどういうものかは、まじかに見たことはないので、これまで意識していなかったが、前回の東京オリンピックのときには、ただ、聖火ランナーがけっこうなスピードで走っていた感じが残っている。もちろん、当時はまだ商業主義ではなく、あくまで公的な資金で行われていたので、まわりを宣伝用の車が囲んで走るようなこともなかったと思う。
 これまで諸外国でどうなっているのか、わからないが、日本の今回のオリンピックの聖火リレーが、これほど商業主義に毒されているとは、開始までまったく思わなかった。テレビは見ないのでわからないが、インターネットのライブ映像が走者ごとに掲載されている。それをみると、とにかく、聖火ランナーと伴走者たちがゆっくりと、沿道に手を振りながら走っている映像ばかりである。しかし、まったく別の映像がインターネットにアップされている。東京新聞の原田記者によるものだが、コカコーラなどの巨大な街宣車のような車が、大きな音をたてながら、何台も連ねて走っているのだ。そして、その一連の車の行列が通りすぎたあとに、聖火ランナーが走ってくるのだ。一月万冊の清水氏が数えたところでは、車の数は25台程度あった。おそらく、ニュースなどの報道でも、この車の騒音まき散らしながらの行列には、触れていないのだろう。この車列の映像を見たかどうかで、聖火リレーのイメージがかなり違うのではないだろうか。

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ドキュメント「チャリノブイリ 衝撃の真実 口を開く証言者たち」

 NHKのBSで放映されたドキュメント「チェリノブイリ 衝撃の真実-口を開く証言者たち」をみた。放映はずっと前だが、録画してあったのを最近みてみた。最初に驚いたのは、制作がイスラエルということだ。当時、原発の町と言われたプリピャチに住んでいた女性や、事故処理にあたったひとたちの証言を中心に構成されている。そして、実際に、原発建屋の屋上で、汚染された残骸を処理している映像も出てくる。こんなところを撮影していたのと、それをイスラエルの制作者たちが入手していることがすごい。日本は、どうなのだろう。
 チェリノブイリの事故も、当初は世界に、そして市民たちに隠されていた。火事が起きたということで、消防車が多数向かい、消火活動にあたったそうだ。そうした最初期の時点では、現場で事故処理にあたっていたひとたちにも、事実を知らされていなかったのだろう。そして、管理者たちも、事実を把握していなかったと思われる。しかし、数日後、町の住民は全員退避させられる。そのためにバスを用意し、退避にかかった時間はわずか6時間であったという。永久に帰宅できないというような事情は説明されず、ほんのピクニックにいくようなつもりで、わずかな物だけをもってバスに乗ったそうだ。しかし、現時点でも一人の帰還者もいない。(ただ、この映像ではふれていないが、退避を拒否したひともいた。)

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海外の観客をいれないオリンピックに、存在理由があるのか

 ついに、というか、やっというか、オリンピックの海外観客の受けいれをしないことが正式に決まった。といっても、海外からの観客が皆無になることを決定したわけではない。そこは、新聞報道が相変わらず隠しているところだが、VIPやスポンサーの関係者の招待は、IOCが頑として譲らない部分として残っている。しかも、確実な情報ではないが、その費用は日本持ちだという。交渉事項かも知れないが。そして、選手だけではなく、役員、コーチ、更に報道陣がいる。選手を選手村に閉じ込めるとしても、役員、コーチ、報道陣はそうはいかないから、行動規制はかけられない。まして、VIPなどは、かなり自由に行動するだろう。無観客になった場合、VIPはどうなるのだろうという疑問もある。まだまだしんどい交渉が続くのだろう。
 さて、この間、オリンピックに関して大きな話題がふたつあった。佐々木問題と海外観客である。これは、極めて大きな問題であるが、では、スポンサーでもある大手新聞は、これを社説でどのように扱ったのだろうか。それを見てみよう
 日経と読売は、佐々木問題も、海外観客についても、まったく社説で扱っていない。しかし、オリンピックに関して、読売と同一歩調と見られる産経は、両方を扱っている。しかも、あくまでもオリンピック開催に前向きで、「災い転じて福となす」ほどの熱だ。

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佐々木問題の間違った受け取り 文春記事の柱は渡辺直美ではなく、MIKIKO排除にある

 佐々木氏擁護の文章がけっこう出始めているが、的外れだと感じる。というのは、文春の記事は、オリンピッグなどというキャッチフレーズで、渡辺直美氏を侮辱するようなアイデアをだしたということは、ある意味、おまけのような部分であって、記事を読めば、もっとも力をいれて書いているのは、演出の責任者が、4人も交代していて、しかも、ほとんど協力関係がないような状況、それでも、一応まとまった成果をあげつつあり、IOCからの高い評価をえていたMIKIKO氏を排除して、自分の思い通りの案を作っていこうとした、しかも、そのなかで女性を排除したという佐々木氏のやり方を批判した記事だった。おそらく、リークした人物がいるのだろうが、それは、佐々木氏を追い落とそうという意図だったろう。それは間違いない。そして、その主な理由は、佐々木氏のリーダーシップでは、世界に誇れる演出は不可能なのに、独善的に突っ走っているという危機感だったのではないかと、私は想像している。もちろん、その正否はわからない。佐々木氏がどのようなプランを進行させていたのか、また、IOCに評価されていたというMIKIKO氏のプランがどういうものなのか、まったく部外者にはわからないわけだから、判断のしようがない。そして、文春リークというやり方がフェアであるかは、大いに疑問の余地がある。

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面白くもないドタバタ劇はうんざり 佐々木宏問題

 オリンピックの仕事を担っている人たちがすべて、このような人であるとは思わないが、次から次へと出てくる、このナンセンスなできごとは何なのか。
 森氏といい、この佐々木宏氏といい、オリンピックに関わっている人には、いわゆるオリンピック精神に合致した精神をもっている人は、いないのではないかと思えてくるほどだ。それだけ、オリンピックとは、虚像なのか。あるいは、あまりに利権に走ってしまった日本のオリンピック関係者の異様な姿なのか。森氏と佐々木氏の共通点は、女性蔑視、女性差別意識という点だ。しかし、考えてみると、初回オリンピックは、女性の参加を認めていなかったことでわかるように、近代オリンピック創設者のクーベルタンは、実は女性差別主義者だったともいえるのだ。何しろ、フランス兵が弱くなったから、体力増強を図る目的があったという位だから。
 そういう点とは別に、今回こうしたリークが「今」なされたのは、なぜだろうかということに、興味がいだかざるをえない。なにしろ、一年前のことなのだ。lineのやり取りをしたメンバーから出たか、あるいは、そのメンバーが誰かに話し、それを聞いた人がリークした可能性があるが、現時点でだしたということは、オリンピック開催に対するネガティブキャンペーンをする意図を示したということだろう。また、式を演出するチームに、まとまりがないことも憶測させる。 

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飲食店の深夜営業は当たり前なのか

 コロナ禍の緊急事態宣言が解除の動きになっていくが、解除になると一番変わるのは、飲食店の営業時間だろう。すぐに自由になるかどうかは、現時点でわからないが、やがて以前の状況に戻ることは間違いない。しかし、飲食店が深夜までやっていること、そして、酒が中心の店は、もっと遅くまでやっていることが、本当にいいことなのだろうか。またスーパーなども遅くまで開店しているが、これだって考えなおす必要があるのではないか。
 もちろん、どうしても深夜に働く必要がある職種もあるから、全面的に閉店になることがいいとは思わないが、仕事が終わると、一杯やって、深夜に帰宅するというのが、労働者としての健全な生活とは思えないのである。

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「コロナに負けた証としてのオリンピック」をするのか

 森会長が橋本聖子会長に交代して、新たな動きが始まったように見える。しかし、問題解消という方向に動いているとは、あまり見えない。
 橋本新会長が最初にやっていることは、女性理事を文科省に言われている40%まで引き上げるということだ。それ自体はいいことのように思えるが、なんと、割合を40%にするために、ただ女性を増やしているだけだ。こんなこと許されるのだろうか。理事には多額の報酬か支払われるはずである。理事だから、おそらく最も高いか2番目くらいだろう。任期がいつまでかはわからないが、5カ月程度だとしても、軽く億を越える人件費の増加となる。女性理事が増えたからといって、これまでの作業が各段に飛躍・向上するとも思えない。理事は実働部隊ではなく、方針決定にかかわるひとたちだから、人数が増えれば、それだけ議論が錯綜する。もちろん、これから準備をするという段階なら、それは必要なことだが、今は、そういう時期だろうか。一体橋本会長は、この増員に何を実質的に期待しているのだろうか。あるいは必要としているのだろうか。数字合わせ以外に何かあるのか。
 昨日(3.3)オリンピック5者協議が開かれたが、海外の観客は受けいれない方向に、だいたいの合意かできつつあるような報道がされている。まだ、無観客の確認まではいっていないようだが、とにかく、観客は大幅に制限するということなのだろう。

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総務省接待問題 山田真貴子とは何者か

 菅首相長男による総務省官僚接待問題は、当初予想されたよりは、ずっと長引き、深刻な度合いを強めている。現在は、内閣広報官の山田真貴子氏の問題に焦点が移っているように見える。山田氏の場合は、長男との関係よりは、直接的に菅首相との関係という点において問題が深いように思われる。別に汚職とかそういうレベルではないが。
 私が、名前はともかく、山田氏の存在に強く印象づけられたのは、首相の記者会見を仕切っている姿だった。首相の当初の説明が終わって、記者からの質問になったときに、山田氏がすべて、記者の所属名と名前を言った上で、質問者を指定したのである。そんなやり方を、私は初めてみた。普通は、「最初に所属と名前をいってから質問をしてください」というものだ。だから、強烈な印象だったのである。「このひとは、会見に出ている記者の所属と名前を全部知っているのか」という驚きだ。もちろん、全員の名前を知っているのか、あるいは、知っている人と知らない人がいるのか、それはわからない。全員知っているとすれば、内閣広報官が、記者会見に臨む記者たちを全員掌握しているということになる。すごい、というよりは恐ろしいという感じだ。もちろん、記者クラブは決まった部屋をもっていて、そこに詰めている記者は、決まっているわけだから、知っていてもおかしくはないが、普段から話したり、あるいは飲み会をもったりしていなければ、全員の名前は、記者会見でとっさに指名するほどに記憶しないのではないだろうか。全員は知っていないとすれば、記者会見で指名してもらえるのは、名前を覚えてもらっている記者だけだということになる。それはそれで言論統制だ。とにかく、短い質問時間しかなかったが、山田氏が指名した記者は、全員所属と名前を、山田氏が言っていた。そして、「時間です」と言って、さっさと終りにしてしまう、その冷淡というか、冷静なやり方にも驚いたものだ。

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オリンピック準備のずぶずぶと世論操作の強化

 日本人は組織力があり、大きな大会の開催は得意だと、みずから誇っているようなところがあるが、現在のオリンピック開催への準備は、あまりに酷い。外国からも、それをあからさまに指摘されている始末である。バイデンアメリカ大統領やファウチ新型コロナウィルス対策責任者は、科学的な判断が必要だと表明して、暗に、現在の日本の準備が、科学的なものになっていないことを批判している。
 またオーストラリアの感染専門家は、4点の問題を指摘している。
 ①日本で流行の第3波が続き多数の陽性患者が出ている②検査比率が主要国中では著しく低い③感染防止対策の多くが国民の自主性に任されている④ワクチン接種が始まっていない(「公衆衛生の論理無視」豪の疫学専門家、東京五輪に懸念 森氏発言も批判 毎日新聞2021.2.26)
 海外の専門家には、東京オリンピックの感染対策は、まったく不合格なのである。具体的にみてみよう。

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