石原氏の「上級国民」問題と、東京の感染減少を疑う

 石原伸晃氏が、濃厚接触の疑いからすぐにPCR検査を受け、陽性だったために即入院した。そのことが、少なくない非難をあびている。この点については、私は、あまり非難する気持ちはない。確かに、不公平感が強く出てきても当然だろう。一般国民は症状があっても、PCR検査を受けることがかなり困難になっており、しかたなく、自宅待機を余儀なくされる人が多数存在する。それなのに症状がない段階でPCR検査を受けられ、しかも、陽性とはいえ症状がない段階での入院が可能になっている。おかしいではないか。
 その気持ちはわかる。しかし、それが、石原氏が検査を受けること字体を批判したり、また、病院が入院させたことを批判するのは、方向性が違うと思うのである。むしろ、もっと容易にPCR検査を誰でも受けられるようにすべきであり、また、隔離施設をきちんと用意すべきなのである。隔離施設になる可能性がある施設は、たくさんあると言われている。ホテルばかりではない。公的な各種研修施設はたくさんあるし、(しかも、今はほとんど研修はされていないはずである。研修が必要でもオンラインで可能なのだ。)選手村だって利用可能だろう。そういう施設は、ちゃんと食事をつくる施設もあるのだ。PCR検査は、明らかに今でも公的な何かの力が制限している。そこに問題があるのだ。

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劣化した自民党に最低限求めたいこと

 週刊ポストが、「自民党の人材不足、野党も共倒れで菅政権延命の最悪シナリオも」という記事を掲載している。菅降ろしが画策されているが、結局自民党にも、また野党にも人材がいないので、菅続投という最悪の事態になるという、なんとも皮肉たっぷりの記事だ。しかし、自民党や野党の人材不足の指摘は、いまに始まったことではない。その原因に関する言及もたくさんある。そのわりには、自民党内での人材養成システムが改善されたり、機能している風には思えない。ますます、非生産的な権力闘争によって、ものごとが決まっているように見える。
 そして、菅首相の発する言葉を、国民の多くが、そして、与党内部の人ですから、率直には受け取っていない。だから、菅降ろしが語られているのだろう。
 自民党有力議員の政治力の劣化を示す事実は、数えきれないほどある。

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オリンピック中止を、オリンピックそのものの見直しのきっかけに

 海外メディアが、東京オリンピックの開催への疑問を報道するようになって、日本の政府や与党政治家は、それを否定するのにやっきになっている。しかし、以前は、まったく疑問すら表面では語られることがなかったのだから、これは大きな状況の変化である。正式に中止が決定される方向へのステップが始まったということだろう。
 体操の内村選手が、再び「どうやるかという方向で考えてほしい」という談話を出したところ、ヤフコメを数十読んだ限りでは、それに共感、賛同する意見は皆無である。ひとつもないのだ。内村選手の立場に同情する声はあっても、しかし、国民の多くが、より深刻な事態に陥っているのだということで、否定している。
 IOCの有力委員から、やるなら無観客だ、それなら納得できる、というような意見もだされている。しかし、それを納得する日本人は、今では圧倒的少数だろう。そもそも無観客で実施するというのは、非常に大きく矛盾する考えであり、且つ、無責任な意見である。無観客で実施するというのは、まだコロナの感染が納まっていないという状況認識があるからだ。しかし、オリンピックを無観客だろうが、実施すれば、海外から多くの人たちがやってくる。選手と役員くらいは、検査やワクチンを来日条件にして、かつ厳しい行動制限をするとしても、メディアの人たちは、それが可能だとは思えないし、また、無観客としても、多くの外国人がやってくるに違いない。オリンピックに直接携わる人の入国だけ許可して、それ以外の入国は一切シャットアウトするようなことを、政府が行うはずがないのである。また、行ったとしても、それだけのワクチン接種が、保障されるとはいいきれない。

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二重国籍訴訟判決で否定 だが二重国籍を認めるべきではないか

 二重国籍問題を争点とした訴訟の判決が、今日(1月21日)東京地裁から言い渡された。gooニュースは「二重国籍を認めない国籍法は「合憲」 東京地裁が初判断」と報道している。
 普通の日本人は、国籍などは、普段考えることはないだろう。生まれたときから、当然のごとく日本国籍を取得し、日本人としての権利・義務を享受する。しかし、日本にいる外国人、外国にいる日本人、特に、外国で永住権を獲得したり、あるいは外国で仕事をしている、あるいは外国人と結婚している人にとっては、国籍は切実なこととして、様々な側面で意識せざるをえないことになる。特に、日本では、在日という、ほぼ日本人と同じ教育を受け、文化を共有し、生活している、大量の外国籍の人々がいる。日本の植民地政策から、敗戦を経て、敗戦処理としての間違ったやり方によって、残った人たちである。だから、日本にとって、国籍問題は、かなり複雑な問題をもっているのである。

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ワクチンをどうするか、考えねばならない時期になってきた

 いよいよ、ワクチン接種が現実的なスケジュールになってきた。当初一般の人には6月からだとされていたように思うが、政権の焦りか、あるいは熱心さのためか、5月くらいからとなっている。
 アメリカでは既に後半に接種が始まっているが、いろいろと混乱があるようだ。接種できるということで、会場に出かけたけど、行列が長すぎて諦めたというような人が続出しているいう話を聞いた。そして、実際の計画よりも、接種の進行はかなり遅れているようだ。
 ただ、日本でも始まるとなると、一般人としては優先される高齢者に、私も属するので、そのときにはどうしようかと話している。現在のところ、ほぼ完全なステイホーム状態なので、感染する可能性は極めて低いのだが、いつまでもこうした生活を継続できるかわからないし、また、継続したくもない。やはり、社会のなかでの活動をする必要も感じている。そうなると、やはり、ワクチンが必要なのかも知れない。しかし、本当に安全なのか、それも不安だ。
 そこで、一体どういう計画で、ワクチン接種の計画が進んでいるのか、多少とも調べてみた。厚労省健康局健康課予防接種課が昨年12月に行った「新型コロナウィルスワクチンの接種体制確保について 自治体説明会1」という文章がある。https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000708055.pdf
 この文書を読むと、実に詳細な部分まで、苦労して計画を立てようとしていることがわかる。もっとも、実際にどの程度スムーズに進んでいるのかはわからないし、本当にこうしたことか可能なのかもわからない。興味のある人は、実際にこの文書を読んでもらうとして、私が自分の関心がある部分を拾って考えてみる。

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オリンピックは再延期ではなく、中止すべき

 1月16日に、ニューヨーク・タイムズがオリンピック中止の可能性があることを報道してから、そのことを日本の主要新聞が報道するという、いかにも妙な現象が起きている。なぜ、日本の新聞自身が、オリンピック中止の可能性を報道しないのか。ネットなどでは、主要メディアがオリンピックのスポンサーになっているし、そのとりまとめが電通であるから、電通に反することはできない、というような分析をしているところが多々ある。確かに、主要新聞は、明確にオリンピック中止を示唆する記事を掲げていない。しかし、よく見ると、オリンピックの開催に懐疑的な記事は、いくつかある。
 毎日新聞では、
2020.5.6 本当に東京五輪は開催できるのか 関係者がだんまり決め込む中でふくらむ経費
2020.9.23 IOCバッハ会長が東京五輪開催へ動き出した思惑 立ちはだかる「冬」とかさむ費用
2020.10.8 感染リスク、開催費膨張… 東京五輪開催へ綱渡り 「機運醸成」進まぬ理由
2020.12.4 森会長「互いに理解して」 東京オリンピック追加負担早期合意、3者の思惑は
2020.12.21 オリンピック予算、大幅膨張必至 コロナや延期…なお全体像不明

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トランプのツイッター永久停止

 
 アメリカの騒動は、日本でも大きな議論を巻き起こしている。そのひとつが、トランプ大統領のアカウントを、ツイッター社が永久停止したことに、否定的な議論が起きていることだ。そのひとつとして、DIAMOND online 2021.1.15の岸博幸氏「コロナとトランプ政権で明らかになったマスメディアとSNSの偏向」がある。
 岸氏は、ツイッターなどの大手SNSは、内容について責任をとる必要がなく、訴訟から解放されているが故に、今回の措置は不当であると主張している。

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韓国の慰安婦訴訟判決について4

 判決と政治過程について、どう考えるか。
 まず判決内容については、やはり、支持することはできないだろう。長期的にみて、国家免除が制限されていくとしても、現在は、国際慣習法として存在していると、国際司法裁判所は認めており、日本政府に対して、政府が関与したとして、賠償を求めているのだから、政府としての主権行為に対する請求ということになる。それは、人道に反する行為である故に、主権行為であるとしても国家免除から除外されるという判決の論理は、論理的に矛盾している。
 ただし、日本政府としては、現時点での慣習法としての国家免除に甘んじることなく、やはり、国家が個人の権利を侵害したときには、免除が制限されるという方向性を志向する必要があるのではないだろうか。

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韓国の慰安婦訴訟判決について3

 慰安婦訴訟は、もちろん単なる法律論ではなく、その政治過程こそが重要である。
 最近は、あまり触れられることがないが、慰安婦問題が国際社会で大きな問題となったのは、1990年代になってからであって、1970年代までは、実は日本の保守的なひと達は、慰安婦の存在を別に隠していなかったのである。むしろ、自慢げに話すような対談が残っている。慰安婦を問題として扱う人がいなかったわけではなく、少数ながら、告発的な本は存在していた。(千田夏光『従軍慰安婦』1973年)1980年代になると、その後大きなスキャンダルともなる吉田清治の著作や告白(実際には虚偽であることがわかった。)がなされるようになり、社会的に慰安婦が大きく扱われるようになった。
 つまり、ここで大きな流れの変化があったといえる。
 それまでは、日本人の発言の多くは、慰安婦は当時の公娼制度が海外でも行われたことであって、特に問題はないという前提でなされていた。韓国では、慰安婦であったひとたちは、その前歴をひたすら隠す必要を感じていて、声をあげることがなかった。

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トランプのアカウント削除と支持者のファシスト化

 ドイツのメルケル首相が、トランプの行動を非難しながらも、ツイッター社がトランプのアカウントを永久停止したことを批判している。
 
 「ザイベルト氏は、うそや暴力の扇動も「非常に問題だ」としつつも、これらへの対応は国家が法的規制の枠組みを策定することでなされるべきだと言明。アカウントを停止し完全に投稿を見られなくするのは、行き過ぎだと述べた。ただし、虚偽の主張に警告を表示するSNS各社のここ数か月の対応には支持を表明した。
 トランプ氏の支持者による連邦議会議事堂への乱入について、メルケル首相はこれまで「激しい怒りと悲しみ」を覚えたと明らかにしている。」AFPBB News 2021.1.12
 ザイベルト氏はメルケル首相の報道官である。
 しかし、メルケル氏の批判は、あまり説得的ではない。というのは、メルケル氏の論によれば、国家がツイッター社に対して、法的規制の枠組みを策定するということになる。それこそ、国家による私企業に対する言論規制ではないのだろうか。言論のプラットフォームを提供しているだけのツイッターやラインなどと、出版社とは明らかに異なり、ツイッターなどの投稿内容に対する責任はずっと軽い。しかし、まったく責任を負わないというものではない。今回の議事堂襲撃事件で、自ら突入して銃撃された人、襲撃した人に暴行をうけて亡くなった警官は、トランプ大統領と、その言動を拡散することを許したツイッター社を訴える可能性がある。訴訟の結果、ツイッター社の責任が認定される可能性は低いと思うが、ゼロではないに違いない。
 また、いかにプラットフォームを提供しているだけとはいえ、かならず言論に関する守るべきルールを定めている。そして、そのルールに継続的に抵触しているとすれば、アカウントを停止ないし廃止することを決めており、それを受諾した上で利用しているはずである。メルケルの論理でいうと、そのルールを定めることすら否定されてしまう可能性がある。
 ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、トランプ派が、大統領就任式をはじめ、武装襲撃する計画がネットを使って密かに勧められている可能性があるという。そして、そういう呼びかけには、武器を帯同するようにという内容もあるそうだ。6日の議事堂襲撃の映像を見ると、そうした呼びかけが、決して、単なる憶測とは思われないのが、深刻なことだ。

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