オリンピック開催による矛盾

 どんな社会状況であろうと、どんなに反対が強かろうと、そして、どんなに海外からの疑問が提起されようと、オリンピックは開催するという強行路線を貫徹しようという政府の姿勢が、明らかになってきた。聖火リレー開始前までは、多少とも状況による冷静な判断ということもありうるかと考えていたが、今は、まったく開催以外のことには、目を向けないようになっている。開催しない、あるいは無観客となると、入るべき収入がなくなる、あるいは、スポンサーの圧力に抗し得ないなどの事情があるのだろうか。しかし、このコロナ禍における開催ともなれば、いくらなんでも、国民の猛反対に応える措置も必要となると判断せざるをえない。いろいろな施策が打ち出されている。しかし、それらは、ことごとく、欺瞞的なものになっている。
 安全・安心のために、選手たちは、陰性の証明が必要であり、また、バブル方式という、完全に管理された範囲でのみ行動を認めるという。しかし、これは二重三重の欺瞞がある。 “オリンピック開催による矛盾” の続きを読む

性同一性障害へのトレイ訴訟判決のもうひとつの側面

 報道では、「トイレ制限訴訟」として報道されていたが、実は、この訴訟は、もうひとつの訴因がある。不思議なことに、新聞報道ではそちらの面がどう判断されたのか、ほとんど報道されていないので、実はわからない。わからないが、争いの内容は分かっているので、今回は、もうひとつの側面を考えてみることにする。
 そこに入る前に、この判決について、youtubeの一月万冊がとりあげていて、トイレ制限を認めるなどは、けしからんという話から入っていたが、相棒の安富氏が主に話しだすと、むしろ、もうひとつの側面が中心になって議論されていった。双方をとくに区別して議論していなかったが、トイレ制限と人事は、まったく異なる性質をもっていると思うのである。
 もうひとつの側面とは、経産省が、正式な性転換をしないと、人事異動を認めないとしたことである。そこで、正式な性転換とはなにかという話になる。

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性同一性障害者へのトイレ制限訴訟の判決

 一昨日LGBTに関する文章を書いたら、昨日、性同一性障害をめぐる訴訟の東京高裁判決が出て、しかも、地裁判決に対する逆転判断となっているために、大きな話題になっている。おりしも、自民党が、LGBT理解増進法案を了承したという報道もあり、再度考えてみることにした。
 判決は、経産省勤務の女性(元男性)が、女性用トイレの使用をめぐって、経産省側がトラブルの不安があるので、異なる階のトイレをと主張したのに対して、それを不服として提訴したものであり、地裁ではトイレ制限は違法であるとして、原告を勝訴させ、昨日の高裁判決は、違法ではないとしたものである。この判決については、既に大量のヤフコメがついており、多数は、高裁判決を支持している。
 私は一昨日のブログで、LGBTに関する法としては、差別禁止を規定することが必要で、むしろ理解増進を「法」で決めることには疑問を呈しておいた。このトイレ問題は、差別禁止原則の下で、これが差別にあたるのか、あるいは、合理的な区別を求めたのかという判断をすればよいのだと思う。

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LGBT法案が成立不透明になったが

 今日の報道では、超党派の議員立法で進められているLGBT法案の成立か難しくなってきたという記事を複数のメディアが掲載している。数年来の懸案で、4月の段階では、自民党も基本的に了承したが、政党間の調整の過程で、野党から、「差別禁止」の項目をいれるように要求があり、自民党がそれに難色を示して、まとまらなくなりつつあるという状況のようだ。自民党での中心的役割をになっている稲田氏の対応に対する不満も、党内にはあるというが、基本的には自民党保守層の抵抗が原因だろう。
 この問題については、私も正直わからないところが大きいのだが、いくら検索しても、法案の原文が見つからないので、ますます判断がしにくい。ただ、現在の法案の題名が、「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」となっており、あくまでも「理解増進」の法案だった。そこに、差別禁止が入ってきたために、問題が拗れたというわけだ。

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オリンピック中止の経済損失という記事

 朝日新聞が「五輪中止、経済損失は1.8兆円 野村総研が試算」という記事を掲載している。これによると、中止されたときの損失は、1兆8108億円、無観客開催では1468億円とする試算を木内登英氏がまとめたと紹介している。しかし、よく読むと、最後のほうに、緊急事態宣言で失われるほうが大きいと断っている。
 なんとなく、妙な気がしたので、そのレポートを読んでみた。全文かどうかはわからないが、ウェブ上に「東京オリンピック・パラリンピック中止の経済損失1兆8千億円、無観客開催では損失1470億円」という題で、掲載されている。https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/0525
 新聞で報道されている内容と、当然同じだが、具体的な計算方法が書いてあるので、わかりやすい。
 ただし、この報告には、基本的に違和感がある。経済的な計算上はそうなのかも知れないが、一国民としてオリンピックを考えると、このような計算そのものに疑問を感じざるをえないのだ。

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「仮定のことには答えられない」空虚な言葉の横行

 「安全・安心のオリンピック」という言葉は、虚しい響きをもって、これまで語られてきたもののひとつだ。最初は「復興五輪」だった。そして、「コロナに打ち勝った証としてのオリンピック」、そして、「絆を示すオリンピック」。これらは、すべて虚言であったし、いわれたときから、虚言だといわれてきた。
 もうひとつ、オリンピック推進者たちの、許しがたい言葉に、「仮定のことには答えられない」というのがある。これは、何度も繰りかえされているのだが、最近は、コーツ氏が、「緊急事態宣言下でもオリンピックを開催するのか」と問われて、まったく疑いもなく、「そうだ」と答えたのに対して、同じ質問を外国の記者が、武藤組織委員会の事務局長に向けたところ、「仮定のことには、答えられない」と質問への回答を拒否している。できることなら、ではコーツ氏の言葉については、どう思っているのか、としつこく追求してほしかった。

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オリンピック 運動会と子どものオリンピック観戦

 運動会を開催するかどうかが、議論になっている。当初、コロナ禍であるので、運動会は中止するように行政指導があった。しかし、子どもたちから、オリンピックをやるのに、どうして運動会はできないのか、という不満の声が出てきたと報道され、それに対して、萩生田文科相が、安全対策をしてやるように、という逆の指導をだしてきた。それに対して、今度は、命よりオリンピックが大事なのかという文科相批判がでてきている。つまり、運動会を工夫してやるように、という指導が、明らかに、オリンピックはいいのに、運動会はだめだという不満に対して、オリンピックも運動会もできるようというアピールとしてだされたからだ。
 問題は複合的だ。オリンピック開催と運動会という、規模が全く違うが、性質は同じである行事、しかも、オリンピックは大きな政治課題になってしまったために、オリンピック開催と絡める人と、独立して考えているひとたち、様々な立場がある。

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緊急事態宣言下でもオリンピック開催とか

 IOCのコーツ氏が、たとえ緊急事態宣言がでていても、オリンピックは開催すると表明した。テレビでも大きなニュースとして扱っていたが、ここまで日本人が馬鹿にされているのかと思うと、情けない気持ちになる。以下そのことを伝えるニュースである。
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huffpost
国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長は5月21日、3日間にわたる調整委員会後に開いた記者会見で、大会期間中に東京が緊急事態宣言下だったとしても開催する考えを示した。【ハフポスト日本版・Rio Hamada】 質疑応答で、大会期間中に東京で緊急事態宣言が発令されている状況になった場合でも、大会を開催するのかという質問が飛んだ。 コーツ調整委員長は「緊急事態宣言下で、複数の競技のテスト大会が成功した。アスリートや日本の人々の安全や安心を守るために設定した全ての計画は、最悪の事態を想定したもの」と説明。 その上で「質問への答えは、完全にイエスです」と答えた。
政府分科会のメンバーからは「やってはいけない」の声もあったが…

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私権制限は憲法改正が必要という見解は誤り

 日本では、欧米のような徹底した対策は、とれない、それは憲法のせいだ、という議論が、ネット上には多数みられる。おそらく、憲法改正したい政治家たちの思惑にのせられているのだろうけど、少し考えれば、おかしいことがわかるはずだ。そして、憲法の専門家であるひと達ではなく、むしろ素人のコメンテーターやSNSでの書き込みが顕著である。
 例えば、次のような意見がヤフコメに載っていた。1000以上もあるコメントのひとつで、わざわざアドレスは載せないが、このような見解は、いくらでもある。
 
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ロックダウンなど個人の権利制限は日本は出来ません。憲法違反になりますから。
立憲民主や反政府的立場の学者は拡大解釈によって憲法下でも権利制限の立法が可能だととんでもない危険な思想をひけらけしていますが、明らかに憲法違反となる法を作る危険性を軽視してはいけません。「日本の憲法は緊急事態が起こり得ない」ようになっています。緊急事態とは戦争を含みますので、憲法で緊急事態の概念を否定しているのです。

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ワクチン接種の予約・指定方法について

 やっとコロナワクチンの本格的な接種の予約が始まった。一部には、先行接種ではない、本番の接種が高齢者に対しては始まっている。しかし、予想されたことだが、予約の混乱があちこちで発生しているようだ。高齢者は、大規模な集団接種が可能な最初の集団だから、混乱も大きいのかも知れないが、一般が対象になったときには、もっと人数が多いのだから、予約方法が改善されない限りは、より大きな混乱が生じる可能性がある。慣れによって改善される部分もあるだろうが。
 そもそも、こうした大量接種の順番を決めるには、どんな方法があるのか。
 大きく分けると各人の予約制と、行政による指定制がある。
 予約には、窓口予約、電話予約、ネット予約がある。郵便予約も方法としてはありうるが、コロナワクチンでは適当ではないので、郵便予約はおそらくまったく採用されていない。
 指定制は、番地など、なんらかの基準を設定して指定するのだろうが、行政がすべてを指定する方法と、グループ化したものを、順番を抽選で決める方法などが、今回実際に行った自治体がある。

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