早速のルール破り 安全安心な対策など絵に描いた餅だ

 昨日、今後オリンピック関係で、どんどんこれまで言っていたことや、ルールが破られることが起きるだろうと書いたら、もう早速第一号がおきた。ウガンダの選手団の扱いが、組織委員会が明言していることとは、まったく違うし、このひとたちから感染が拡大する危険性は、十分にある。まずは、事実を記事で確認しておこう。
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東京五輪・パラリンピックに出場する東アフリカ・ウガンダの選手団9人が19日夕、成田空港に到着。このうちの1人が、空港での新型コロナウイルスのPCR検査で陽性だったことがわかった。内閣官房が明らかにした。来日した海外の五輪選手団で陽性が判明したのは初めて。 【画像】空港に到着したウガンダ選手団  来日したのはボクシングや重量挙げ、水泳の選手とコーチら。内閣官房によると、全員が出国前にアストラゼネカ社製のワクチンを2回接種。出国96時間以内に2回のPCR検査を受け、陰性証明書を持っていたという。
  選手団は19日午後6時すぎ、一般客約80人が降りた後、マスク姿で1列になって到着ゲートに姿を見せた。その後、空港検疫で唾液(だえき)による抗原検査を受けたが、1人は結果が出なかったためPCR検査を受けたところ、陽性だとわかった。残りの選手らは20日未明、事前合宿地の大阪府泉佐野市へ夜行の貸し切りバスで移動を始めた。https://news.yahoo.co.jp/articles/a7e3bde53830d9d55c38835eddd83009e5764aab?tokyo2020(朝日新聞)
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 選手団の事前のPCR検査は、72時間以内だったのではないか。ここがまず第一のルール破りで、当然、検疫では、もっと厳重な措置をとるべきだったはず。

 第二に、この記事で解釈すると、抗原検査で疑わしかった選手が、一人だけPCR検査を受けたということだが、ここは全員する必要があるのではないか。
 第三に、ここの記事には出ていないが、テレビのニュースによれば、他の選手は、濃厚接触者にはあたらないということで、そのまま検査もせずに、バスに乗って大阪に移動したという。飛行機で10時間も一緒に乗ってきたのに、なぜ濃厚接触者ではないのか。他の乗客たちだって、濃厚接触者ではないか。これは、一般乗客も同様で、同じ飛行機に乗り合わせていたなら、当然濃厚接触者なみの検査が必要なはずである。テニスの全豪オープンでは、飛行機にのっていた選手の一人が陽性だったために、同じ飛行機に乗り合わせた選手全員が隔離されたはずである。
 三重のルール破りであり、厳重に管理するなどということが、いかに虚飾にみちた約束であるかが、これでわかる。
 このひとたちから、感染が広がったから、だれがどういう責任をとるのだろうか。そして、この事例が今後同じように適用されるとしたら、感染対策などは無いに等しいことになり、どんどん世界中から、コロナウィルスが入ってくるに違いない。
 このことで、いくつかのことが確認できる。
 まずは、陰性証明というのは、必ずしもあてにならないということだ。オリンピックに出場する選手は、とくに厳格に検査されるはずだ。なぜならば、通常よりもずっと激しく、他の選手と接触して、競技するひとたちだからだ。そして、まだオリンピックが開始されているわけではないが、開始されれば、選手村という狭い空間に押し込められるのだから、陽性者がいれば、当然感染しやすいことになる。それが、このぬるい水際対策だ。
 そして、オリンピック運営に関していえば、安全と安心を確実に実行するなどということは、なかにはまじめに実行しようとしている運営関係者もいるのかも知れないが、もともとかなり困難なことであり、言葉でいっていればよい、という程度の認識が、組織委員会などを支配しているのではないかと、思わざるをえないということだ。
 
 
 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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