静岡県知事選で現職の川勝氏が当選した。当然のことだと思う。最大の争点は、リニア新幹線に対する姿勢で、川勝氏は、環境を守ることを優先し、環境を守られない限りは許可しない姿勢でやってきた。それに対して、岩井氏は、「工事は地域住民の合意、協力なしに進めない。地域住民の話を聞き、科学的根拠に基づいて議論する」といっていた。ここまで進展した段階で、自分の主張をださず、住民の合意とか科学的根拠などといっているのは、要するに、実際に問題になっている環境破壊について、積極的な対応をしないといっているに等しい。
おそらく、リニア新幹線をどうするか、というのは、21世紀の日本をどのように形成していくのかという問題とつながっているように思うのである。
私は、リニア新幹線は、20世紀的な発想に基づく過去の遺物的存在であり、過去の発想で未来を開けるという錯覚に基づいた建設物であると思っている。東海道新幹線が東京オリンピックを契機として建設されたことは、よく知られているが、その延長上なのだ。とにかく、速い速度の交通網を構築して、ひとの移動を速め、物流を盛んにするという発想だろう。そして、その建築に関わる技術を乗って、技術革新を進めるというものだ。