静岡知事選川勝氏の勝利 リニア新幹線は20世紀の発想だ

 静岡県知事選で現職の川勝氏が当選した。当然のことだと思う。最大の争点は、リニア新幹線に対する姿勢で、川勝氏は、環境を守ることを優先し、環境を守られない限りは許可しない姿勢でやってきた。それに対して、岩井氏は、「工事は地域住民の合意、協力なしに進めない。地域住民の話を聞き、科学的根拠に基づいて議論する」といっていた。ここまで進展した段階で、自分の主張をださず、住民の合意とか科学的根拠などといっているのは、要するに、実際に問題になっている環境破壊について、積極的な対応をしないといっているに等しい。
 おそらく、リニア新幹線をどうするか、というのは、21世紀の日本をどのように形成していくのかという問題とつながっているように思うのである。
 私は、リニア新幹線は、20世紀的な発想に基づく過去の遺物的存在であり、過去の発想で未来を開けるという錯覚に基づいた建設物であると思っている。東海道新幹線が東京オリンピックを契機として建設されたことは、よく知られているが、その延長上なのだ。とにかく、速い速度の交通網を構築して、ひとの移動を速め、物流を盛んにするという発想だろう。そして、その建築に関わる技術を乗って、技術革新を進めるというものだ。

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早速のルール破り 安全安心な対策など絵に描いた餅だ

 昨日、今後オリンピック関係で、どんどんこれまで言っていたことや、ルールが破られることが起きるだろうと書いたら、もう早速第一号がおきた。ウガンダの選手団の扱いが、組織委員会が明言していることとは、まったく違うし、このひとたちから感染が拡大する危険性は、十分にある。まずは、事実を記事で確認しておこう。
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東京五輪・パラリンピックに出場する東アフリカ・ウガンダの選手団9人が19日夕、成田空港に到着。このうちの1人が、空港での新型コロナウイルスのPCR検査で陽性だったことがわかった。内閣官房が明らかにした。来日した海外の五輪選手団で陽性が判明したのは初めて。 【画像】空港に到着したウガンダ選手団  来日したのはボクシングや重量挙げ、水泳の選手とコーチら。内閣官房によると、全員が出国前にアストラゼネカ社製のワクチンを2回接種。出国96時間以内に2回のPCR検査を受け、陰性証明書を持っていたという。
  選手団は19日午後6時すぎ、一般客約80人が降りた後、マスク姿で1列になって到着ゲートに姿を見せた。その後、空港検疫で唾液(だえき)による抗原検査を受けたが、1人は結果が出なかったためPCR検査を受けたところ、陽性だとわかった。残りの選手らは20日未明、事前合宿地の大阪府泉佐野市へ夜行の貸し切りバスで移動を始めた。https://news.yahoo.co.jp/articles/a7e3bde53830d9d55c38835eddd83009e5764aab?tokyo2020(朝日新聞)
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 選手団の事前のPCR検査は、72時間以内だったのではないか。ここがまず第一のルール破りで、当然、検疫では、もっと厳重な措置をとるべきだったはず。

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嘘つきは泥棒の始まりというが 嘘にまみれた五輪で今後いいそうなこと

 「100万円プレミア五輪チケットがセレブ向けに『大売出し』の怪」という記事が目についた。NEWSポストセブン(2021.6.18)の記事である。豪華お食事付きのチケットは、既にかなり売られているらしいが、キャンセルできなくてこまっているという内容から始まり、新たにそうしたチケットが売られているというのだ。今売られているものの値段はわからないが、かつて売られていたこの手のチケットの最高額は、635万円だそうだ。チケット販売の窓口に確認したところ、売り出していることは間違いないとのこと。
 感染症の専門家たちが、やることに反対し、しかし、どうしてもやるなら無観客でといっていたことを考えれば、こうした豪華食事、パーティ的もてなし付きのチケットを、今現在実際に売り出しているというのは、まったく驚きだ。私は、そのうち、海外の客もやはり、例外的に認めようといいだすのではないかとさえ疑っている。

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ワクチン雑感2 職場接種はプライバシーか

 ワクチンの職場での接種の準備が進んでいる。そうして、計画段階から危惧されていたことが、実際に起きてしまった。大阪のある市で、余ったワクチンを職員に接種することにして、希望を募った。そして接種希望者と非希望者の名簿が、管理職に流れたということだ。https://news.livedoor.com/article/detail/20378539/
 これはプライバシーの侵害であり、とくに、希望しない者に対する差別が起きないか、問題だというコメントがメディアでは主流だ。
 しかし、そんなに単純な問題だろうか。
 自治体として接種に使用していたワクチンが余り、それを職員に接種することにした。そして、希望をとって、希望者に接種することになったわけである。その接種した、しないは、プライバシーかという問題だ。プライバシーというのは、私生活に関することで、当人が秘匿したいことである。

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ワクチン雑感 いくつかの疑問

 私自身、先週2回目のワクチンを接種し終えた。まったく副作用はなく、肩の痛みすらなかった。しかし、けっこう副作用に苦しんでいるひとも知っている。全身がだるく、筋肉痛、蕁麻疹など。しかも、接種してから、けっこう日時が経過してから出てきている。まだまだ、わからないことの多いワクチンなのかも知れない。なんといっても、人類はじめての方式によるワクチンなのだから。
 逆に、なんの副作用もないと、本当にこれは効果があるのかと、多少不安になることも事実だ。効果や副作用については、これから明らかになることだろうから、そのくらいにして、接種に関して、考えたことを整理しておきたい。
 今回の接種手続きで、一番疑問に思ったのは、接種券なるものだ。これは、郵便で送られてくる。しかし、なぜこんなものが必要なのか、私には、理解できない。しかも、全国民一人一人に郵便で送るという大層なものだ。なぜ、マイナンバーを使わないのか。接種券の一番重要な機能は、国民一人一人の番号が全部違い、確実に接種したかどうかが記録できるということにあるのだろう。そして、他人が成り済まして接種することも防ぐ。しかし、それはマイナンバーを確認すれば、同じことができるはずである。しかも、わざわざ郵送する必要がない。当日マイナンバーの証明書(カードか通知書面)をもっていけば済む。あとは、予約にかかわる通知だけがなされればいい。これは、新聞、ラジオ、テレビなどを使い、また、町内会による回覧板でも可能である。このほうが、ずっと安上がりであり、かつ迅速に進むのではないだろうか。

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トイレに行った運転手 鉄道の時間の正確さを考える

 新幹線の運転手が、どうしてもトイレを我慢できなくなって、車掌にまかせて3分ほど客車のトイレにいって用を済ませたということがあった。大分話題になり、運転手は処分された。このようなときには、中央の管制センターに連絡して、列車をとめるのがルールなのだそうだ。しかし、新幹線をとめたら、相当な遅れが生じるだけではなく、他の列車にも影響するために、なかなかそこには踏み切れないということのようだ。停車駅が近ければ、そこで運転手を交代するようなこともできるし、停車時間が長ければ、用をたすことも可能かも知れない。しかし、そういう余裕はなかったということだ。
 在来線でも、けっこう深刻な問題だろうが、新幹線の場合には、もっと大変だ。遅れによる損失、あるいはマイナス評価、停車駅の間隔の長さ、ひとつの新幹線が止まれば、数分でも他の新幹線にも影響する可能性、そして、新幹線は運転技術が高度なので、免許をもっていない車掌が、在来線よりも多いという。従って、運転を交代してもらうことができないことが多い。

日本のメディアは、「公正さ」を忘れたのか スポーツマンシップはどこに

 メディアが、オリンピック開催への疑問をかなぐり捨て、開催歓迎へのハンドルをきったという。党首討論で、枝野立憲民主党の党首が、えらくさえない質疑に終始したのも、国民の雰囲気が変化しつつあると感じたからだという解説があった。こういうのを、「日和見主義」というのだ。野党第一党の党首がこんなだから、政権交代の期待も湧き出てこないのだ。
 メディアの変質は、今回がはじめてではない。そもそも、石原知事が東京オリンピック招致の活動を始め、それが猪瀬知事に引き継がれたのだが、石原時代に、招致が実現しなかった最大の理由は、国民の支持が低いからだったのだ。このことは、いくら強調してもしすぎることはない。そして、オリンピック招致への反対は、招致が決まったあとも、決してそれほど低くはならなかったのである。しかし、表面的には、オリンピック招致賛成の世論が大きくなったことは事実だ。少なくとも世論調査の数値としては。しかし、それは、メディアの大規模な世論操作があったからである。とにかく、新聞やテレビで、オリンピック招致の機運をもりあげようという番組がたくさんあり、そうして雰囲気をつくっていったのである。それに、世論調査などは、質問項目の設定の仕方で、かなり意図する結果をだせるものだ。そうやって、メディアが、世論の賛否を逆転させたのだが、それの恩賞なのか、大手メディアがこぞって、オリンピックのスポンサーになったわけである。つまり、オリンピックを支援しつつ儲けようというわけだ。しかし、メディアは、こうした催しのスポンサーには従来ならなかったし、また、スポンサー自体が、同一業種一社という原則だったが、新聞社は5つもスポンサーになっているのだ。メディアが、スポンサーにならないのは、公正で客観的な報道が使命だからである。逆にいえば、スポンサーになっている日本の新聞社は、メディアの使命を放棄しているのである。

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国民の命を守っているのか、オリンピック。パブリック・ビューイングは中止せよ

 菅首相は、オリンピック開催について質問されると、なんとかの一つ覚えのように、「国民の安全と安心」といっているし、また、首相の役割は国民の命を守ることが第一だとも言っている。しかし、昨今、国民の命など、どうでもいいと思っているのではないかと考えざるをえない事態が次々に起こっている。
 そのひとつが、JOC経理部長の自殺だ。こうしたことは、ニュース番組だけではなく、ワイドショーなどでも大々的に扱われるものだが、この件は、あまり扱われていない。おそらく、メディアに対する、報道しないように働きかけがあるのではないかと推測する。更に、東スポの記事によると、「これには山下会長だけでなく多くの関係者が疑問を感じ、中には「あの報道は絶対に許されない」と激怒する職員もいた。また、最も印象的だったのは男性の死を悼んで涙していた女性職員だった。オフィスを去る際、目を真っ赤に腫らし、本紙の取材を完全にシャットアウトした。」https://news.yahoo.co.jp/articles/65c8d07e94da1bfaab0911dd11e519cb5472e486などと、ニュース報道に対して、JOCは怒りを向けているようだ。激怒している対象は、実名をだしたということらしいが、自殺事例で実名を報道することは、珍しくない。確かに実名を報道する意味があるかどうかは、私も疑問だが、ただし、JOCの経理部長であることは、しっかりと報道する必要がある。だから、JOCの怒りは、本当のところ、身分が明らかにされたことなのではないか。youtubeで、JOCのホームページで何も触れられていないと語られていたので、実際に確認してみたが、確かに、私のみた限りなんら触れていなかった。経理部長といえば、重要な役職であり、そのひとが、オリンピック開催の直前ともいうべき時期に自殺するとなれば、社会的な影響は大きいし、組織としても、調査をして、見解を公表すべきものだろう。それが社会的責任というものだ。そして、普通は、哀悼の意を表し、冥福を祈る文章を掲げるものではないだろうか。しかし、JOCがやっていることは、それとはまったく逆である。組織を支える重要な人材が亡くなっているのに、抹殺である。これは、命を大切にしている組織のやり方とは思えない。

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子どもによる運転事故を考える

 盛岡市の国道4号で、9歳の子どもが車を運転して、赤信号で止まっていた軽乗用車に衝突して、相手に怪我をさせる事故が起きた。同様の事故は、けっこう起きているらしい。ヤフコメには、こんな場合でも被害者の責任が1割認定されるのかというのがあったが、さすがにそれはないだろう。車と車の衝突事故では、どんなに一方が悪くても、悪くない方の責任も、保険上は1割認定されるようだが、それは走行している車同士の事故で、一方が完全に止まっている場合には、ぶつかったほうの責任が10割である。赤信号で止まっていたのだから、被害側の責任が認定されることはないと思われる。
 それは抹消的なことで、重要な点は、9歳の子どもか運転するということだろう。ヤフコメのもっと重要な情報としては、会社の駐車場で、おじいさんが孫(10歳未満)に運転指導していたという目撃段だろう。大人がそういうことをしているとしたら、事故を起こさなくても、かなり犯罪行為に等しいといわざるをえない。
 私自身は、子どものころ車が家庭にはなかったし、東京に住んでいたので、車の運転にはまったく興味がなかった。しかし、車社会の現在、車がないと生活できない地域も多いから、子どもでも運転に関心をもつ者は少なくないだろう。助手席に乗っていれば、だいたい運転のこつはわかる。オートマであれば、難しい機械の操作などはなく、要するに、アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作だけだ。ゴーカートに乗ったことがあれば、さして違いない。

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オリンピックの学校観戦と尾身氏の反乱

 オリンピックでの観戦の規模について、ますます大きな困難が露になってきた。特に、学校単位での観戦の予定が次第に明確になってくるにしたがって、現場への負担が大きくなっていくことが予想されている。
 もちろん、通常の開催が可能であれば、子どもたちの観戦は大いに意味があるかも知れない。それでも、時期的な問題は重くのしかかるのだが。何度か書いているように、前回の東京オリンピックのとき、私は高校生で、学校全体でサッカー観戦にいくことができた。しかし、それは10月のことで、気候も非常によかった。しかし、今回は7月、8月という酷暑が予想される時期だ。コロナがなくても、熱中症の危険がある。事実、数年前、千葉の小学生が、校外学習の際に熱中症で死亡している。そうしたことが、起きない保障は何もないのである。更に今回は、コロナの不安がある。

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