菅首相が、党首討論で1964年のオリンピックを懐かしがった話をして、64年オリンピックが、また話題になっているようだ。そして、64年オリンピックが成功したから、その再現を夢みたいという人々がいるようだ。しかし、64年のオリンピックというのは、それほど、素晴らしいものだったのだろうか。もちろん、それをきっかけに、日本が高度成長を実現し、先進国の仲間入りが可能ではないかという自信をもたらしたことは事実だ。しかし、そんなに単純にいいきることはできないのだ。
まず、ふたつの違いを確認しておこう。
何よりも、大きなことは、開催の時期である。64年は10月10日が開会式であった。何故10月だったのか。それは、夏は暑すぎるので、秋にする、そして、過去の統計を調べて、最も快晴が続く時期を選んだのだ。そして、統計の通り、開会式は晴天のなかで行われた。大会中雨が降らなかったと思う。それに対して、今回は、真夏の酷暑のなかだ。真夏は暑いといっても、1960年代より、いまは平均気温が非常に高くなっているし、コンクリート化と冷房の普及で、更に実感の暑さが高くなっている。もし、予定通り、小学生がふたつの駅を歩いて会場に行き、数時間を競技場で過ごし、そして、また二駅を歩くとしたら、死者がでる危険すらある。実際に、数年前1キロの校外学習で歩いて、亡くなった小学生がいるのだ。観客をいれれば、観客のなかから、また、選手からも熱中症患者が多数でるだろう。