雑感2 テレビ局のリモート・酒類制限は?

1 緊急事態宣言とテレビのリモート
 コロナ禍で、リモートの作業が重要視されるようになった。当然テレビでも、そうした話題が出てくる。だが、コロナ禍で、仕方ないからリモートをせざるをえないということに留まっていたら、リモートの最大限活用とはいかない。
 そういう意味で、最大メディアであるテレビこそ、リモートワークを最大限活用すべきであると、前から思っていた。というのは、アメリカのCNNは、ずっと前から、対談の多くがリモートで行われていた。ずっと前からというのは、私が知る限りということだが、おそらく、CNNというニュース専門局の誕生からそうだったと思われる。というのは、本社がアトランタにあり、政治番組が多いわけだが、コメンテーターや政治家のほとんどは、アトランタに住んではいない。したがって、遠くから参加してもらう必要があり、当然のこととして、リモートの出演になっていた。若干音声などの質は、正規のスタジオよりは悪いが、必要と思われる人は、時間をあわせさえすれば、どこにいても出演してもらえるわけで、内容の充実を図る上では、多いにリモートが役立っている。

 ところが、日本のテレビ局は、まずリモートなどは採用せず、ライブの場合には、ほとんどスタジオに来てもらっていた。それが、コロナで、批判をかわすためだろうか、緊急事態宣言が出ているときには、リモート出演が多くなっている。ところが、緊急事態宣言が終了になると、どの局も早速、スタジオ出演になってしまうのだ。
 ワイドショーでも、首都圏で放映されている番組が、みな東京で収録されているわけではない。名古屋や大阪のものもけっこうある。そのなかには、東京からわざわざ新幹線で駆けつけて出演しているレギュラーも少なくない。
 今日から、緊急事態宣言となるので、ワイドショーもリモートになるのだろうな、と思っていたら、案の定そうだった。はっきりいって、がっかりである。単純にこういうことで変えるだけなのだ、と。
 単にコロナ対応だけではなく、番組の質をあげるために、できるだけ的確なコメンテーターに出演してもらうことが必要だろう。しかし、遠くに住んでいる人には、なかなか出演が難しいが、リモートなら、簡単にできる。機材のために、多少音声や画像の質が低下したとしても、大事なことは内容ではないか。それに、コロナ禍の経験で、多くの人がリモートでの対談や授業や会議に慣れている。個人的に機材をもっている人もいるだろう。ごく近い人は、スタジオに来てもらうとしても、遠い人でも、リモートなら出演できるわけだから、そういう点での人材発掘も重要だろう。あちこちのワイドショーなどをみていると、複数の番組に出演している人がいる。もちろん、同じような話をするわけだ。そういうのは、はっきりいって面白くない。もっと多様な人が、遠方にまで目配りすればいるはずであり、そういう人を引き出してこそ、新鮮な番組になるのではないか。
 一時的な緊急事態宣言対応ではなく、番組の質向上のためのリモート採用を進めるべきであり、また、テレビ局がそうしてこそ、企業のテレワーク推進の主張も、真実味をもたせることができるのではないか。
 
2 緊急事態宣言下のお酒問題
 またまた飲食店、とくに酒をだす店の問題がホットになっている。いろいろな意見がある。飲食店が感染を拡大しているというエビデンスはない、いや人が集まることが問題なのだ、酒を飲めば、大声で話すのだから、感染を拡大していると考えるのが妥当だ、休業とか時短の補償が十分ではないのだから、破るのも仕方ない、いや、ちゃんとルールを守っているところがあるのだから、等々等々。
 私自身は、以前から外食で酒を飲む習慣がないので、自分の問題として考えることは難しいのだが、ただ、店の立場としては、従業員もいるし、ルールを守っていれば潰れてしまうということであれば、営業せざるをえないということも十分に理解できる。戦後直後に闇物資の売買を禁じていたときに、それを律儀に守っていた検察官が餓死したということは、以前は有名な話だったが、そういうところに追い込まれる前に、通常は、独自にも対応するだろう。営業以外の方法もあるだろうが。
 ただ、私が疑問に思うのは、コロナが発生してから、一年以上たつのに、店に対して、まったく変らないような方策しかとれないのかということだ。以前は、それでも、不十分ながら補償金が出たと思うが、いまでは出たとしても金額が少なくなっていたり、(かといって、小さな店だと、普段売り上げより大目の補償がなされて、店を閉めて潤っているところもあるそうだが)なかなか出なかったりと、悪化している。
 しかし、そういう以外の方法はあるのではないかと思うのだ。
 例えば、現在のコロナウィルスへの理解として、換気が最も重要な防御だといわれている。初期に目の敵にされたパチンコ業界で、ほとんど感染者をださなかったのは、パチンコ店は、非常に強い規制があるために、換気装置をしっかりと設置し、作動させているからだという。それ以外にも、パチンコをやる人は、大声をだして話すことはあまりないということもあるようだが、やはり、換気が重要だろう。したがって、換気装置を設置するように指導し、そのための助成を十分にすれば、長期的にも安全な店になるのではないかと思うのだ。
 換気がしっかりしている店で、人数をある程度制限し、陰性証明やワクチン接種者を条件とすれば、時間的には、通常と同様に営業できる、というようなことをすれば、感染の危険は格段に減るだろうし、また、今後何度も訪れる可能性がある感染に対する、長期的な対策になるわけである。時短や休業以外の、創意工夫を政治家はもっとすべきだろう。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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