最近のコロナ感染数が増えているにもかかわらず、高齢者が減っているのが、ワクチンの効果が現れているという解説がほとんどを占めている。したがって、ワクチン接種が進めば、コロナ問題は解決するというのだ。しかし、それは本当だろうか。
東京都の統計を見てみる。
ラフな数値しか出ていないのだが、まず感染数の割合は、(60代以上。65歳以上の統計は見当たらない。)
3月 26%
4月 14%
5月 14%
6月 10%
7月 7%
それに対して、ワクチン接種終了の65歳以上の推移は(グラフからみる推定値)
4月 0
5月 3%
6月 30%
7月 63%
もちろん、ワクチンの効果がないということはありえないが、ワクチン接種がまだほとんどなされていない4月に、高齢者の感染の割合は下がっており、その後も低い数値を保っている。6月には、接種が進んだにもかかわらず、低下率はそれほどではない。7月も同様だ。したがって、高齢者の数値が下がった理由は、他にもあるということだ。私は高齢者だから、リアルに感じるのだが、6月7月は、雨天と猛暑が多いから、外に出たくないのだ。外にでなければ、感染リスクは格段に低下する。しかも、高齢者は感染すると危険だということが、この1年間散々言われてきた。元気に出歩いている高齢者もいるだろうが、大半はやはり、外出を控えるようになっているし、天気の悪さがそれに拍車をかけている。そういう側面がかなりあるように思うのである。
私自身、ワクチンを6月中に2度接種できたが、それでも、外出は控えめだし、マスクもしている。手洗いなども怠っていない。高齢者は、退職者が多いはずだから、外出を控えることは難しくないのだ。それに対して、現役のひとたちは、仕事や学校の関係で、外出せざるをえないのだから、割合として、感染が拡大することは、その行動様式だけでも説明できる。もちろん、ワクチンは、それに効果を加えているに違いないが、ワクチンを接種したからといって、感染が完全に防げるものではないことが、はっきりしてきたのだから、ワクチン一点突破主義的な政策や報道はやめるべきだ。
そして、ワクチンよりも、もっと重要なのは治療薬だ。そこにメディアはもっと焦点をあてて報道すべきだろう。本当に、コロナ禍が終息するのは、ワクチンが普及し、処方箋による薬局での治療薬入手が可能になったときである。