皇族は反論できないのか

 秋篠宮が誕生日会見(11月25日撮影、30日放映)として行った内容について、ネットでは様々な議論がなされているが、もっとも大きな批判として、ネット規制を意図しているような発言をしたということがある。ネット上にはたくさんのそうした批判があるから、具体的な引用はしないが、趣旨は、言論規制を秋篠宮が準備しているということだ。この会見は、私も映像および宮内庁ホームページの文章をともに丁寧に見て、かなり不快感をもったが、この言論統制という批判はあたらないと思っている。念のために、宮内庁のホームページに掲載されている全文から当該部分を引用しておこう。ちなみに、この部分から、映像には集約されておらず、ホームページの文章にのみ載っている。質問は、ネットでのバッシングについてで以下の答である。

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選挙における民主主義 供託金の問題を語る高橋洋一氏の奇妙さ

 今回の総選挙では、供託金の話題がいつもより大きく論じられているような気がする。立憲民主党と日本共産党の選挙協力が供託金がからんでいると見なされているからだろうか。そのように見る典型は、高橋洋一氏である。youtubeの氏のチャンネルで、野党選挙協力について解説していたが、内容のおそまつさにびっくりした。選挙協力のメリットは共産党の側に大きく、これは食らいついたら離さないくらいだという。立憲民主党にとっては、接戦に持ち込めたという利益もあるが、共産党と組んだために反感をもたれたというマイナス面もある。だから、今後どうするかは議論になるだろうが、共産党にとっては、絶対的なメリットがあった。それは、本当は全選挙区に立候補をたてると、供託金が没収されていやなんだけど、協力がなければそうせざるをえない。しかし、協力するために候補者を降ろすことができて、供託金没収から免れるので、ものすごい利益なのだ、と説明していた。そういう側面がまったくないとは思わない。

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自民や維新が革新で、社民と共産は保守という見方

 毎日新聞11.28に「維新は革新で共産は保守 有権者の新常識を探る」という記事がでた。遠藤晶久早稲田大学准教授のインタビュー記事である。若者が、自民・安倍首相が革新で、共産が保守という見方をしているという話は、数年前からあった。半分正しく、半分間違っていると思う。もちろん、政治的立場を、保守-革新という切り方だけではなく、右-左、資本主義-社会主義、自助-福祉、権威主義-自由主義等複数の対立軸が可能だ。しかも、簡単ではないことは、こうした対立軸が政党や団体によって、いつも同じように対立しているのではなく、つまり単一ではなく複合的である点だ。
 自民党が全体として保守党であることは疑いないが、しかし、様々な面で革新的であり、ある領域では、現状変更を志向していることも事実である。例えば、選択的夫婦別姓やLGBTs法案を推進しようとするひとたちすらいないわけではない。中曽根内閣から小泉内閣にかけて、公的な企業がたくさん民営化されたが、それは、明らかに「現状の変革」であったから、推進した自民党が改革派で、野党が現状維持派であった。しかし、公共性の高い事業を国有化することは、歴史的にみれば新しいことであり、その意味で民営化は、むしろ革新的反動であり、民営化反対は保守的革新と表現することもできる。

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サンデーモーニングの張本降板

 人気コーナーでもあり、また批判も多かった関口宏司会のサンデーモーニング(TBS日曜番組)のスポーツコーナーコメンテーターの張本氏が今年一杯で降板するという本人からの説明があった。私自身その場面をみていたので、少々驚いたが、最近のネットでの批判と、張本自身の年齢を考慮すれば、来るべきものが来たという感じでもあった。ネットでは、既にたくさんの見解が書き込まれているが、ほとんどはサンデーモーニング自体への批判のほうが強く、張本氏については分かれている感じだ。私自身は、この番組は、前半は別の番組(というか、朝なので見るときはということで)をみているので、だいたいスポーツコーナーあたりからみて、「風をよむ」の後半あたりからはみるのをやめてしまう。

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そんなことで人を殺してしまうのか、で済むだろうか?

 ほとんど理解不可能な殺人事件が立て続けにおきた。ほとんどの人は、そんなことで人を殺してしまうのかという疑問にとらわれたに違いない。
 中学生がとなりのクラス(小さな町なので、小学生時代からの友人だった)の友人を呼び出して、廊下で持参した包丁で刺し殺した事件。そして、妹夫婦の家族と同居していた男が、妹をその夫が迎えにでかけたあと、二階に子どもが二人寝ているのを知りながら放火して全焼させ、子どもを死なせた事件。
 ふたつの事件とも、おそらく小さな、継続的なトラブルはあったのだろうが、大きな喧嘩などもなく、突然の犯行のように思われた。まだ真相は明らかになっていないし、今後明らかになるかどうかもわからないが、特に学校の教師にとっては、大きなショックだったに違いない。

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広告と言論

 朝日新聞の記者が、書きたい記事を広告主に忖度した上司と折り合いがつかず、自ら命を絶ったという事件があった。なんとも痛ましいことだが、たくさんのことを考えさせる事件だ。
 現時点では、週刊文春11月11日号に報道されているくらいで、肝心の新聞社系は沈黙しているようだ。したがって、現在では詳細はわからないが、文春によれば、パナソニックの早期退職希望者に関連して、他の新聞は、前向きな記事を書いたのに、朝日の件の記者だけが、パナソニックの意図に反して、優秀な社員も応募して会社側も困惑したことを載せ、上司が、積極的なことも書けというので、意に沿わない記事を書いて悩んでいた、その気持ちがツイッターに書かれていたというような内容だった。記者の死亡後の朝日の人事の不可解さもあわせて報道している。

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小室夫妻の結婚と保守論壇

 「文藝春秋」12月号に、「秋篠宮家秘録 この三年間に何が起きていたか」(特別取材班)と「象徴天皇制の聖と俗」(保阪正康)という文章が掲載されている。さすがに日刊ゲンダイのような駄文と違って、問題に切り込もうという姿勢が感じられる。両方ともネットでも読めるが、前者は一部省略があり、省かれた部分は悠仁親王の通学したお茶の水女子大付属関連であり、興味深い内容だった。
 ネットで読めるので、内容はそちらでチェックしてもらうとして、疑問な点を中心に書いておきたい。
 まず「秘録」のほうだ。
 ここでは真子内親王が非常に大人で、一端決意したことは断固としてやり抜く強い意志をもっており、籠の中の鳥状態である皇室から抜け出すために、10年も前から佳子内親王と相談しながら、計画をしていたという話が出てくる。近くで接していると「通常よりも10歳くらい精神年齢が上」と感じるのかも知れないが、結婚後の記者会見で見せた状態からは、多くの人が、年齢の割に幼いと感じたのではないだろうか。私もそう感じたし、またネットの書き込みでそういう感想が非常に多かった。意志の強さは確かにそうなのだろうが、より客観的にみれば、意志の強さというよりは、独善的で幼稚な思考の印象が強い。

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立憲民主党党首選 共闘が最大の争点なのか

 いよいよ候補者が揃い、党首選に突入した立憲民主党。報道されている限りでは、最大の争点は、共産党との協力関係の継続か否かなのだそうだ。しかし、それはおかしくないだろうか。まずは、党が実現したい政策が、党員の間で完全に共有されているなら別だが、既存の政治グループが寄せ集まってできている立憲民主党のなかで、そのような政策の一致があるとは思えない。確かに、立憲民主党のホームページを見ると、政策一覧が出ているが、つっこんでいけば、かなり争点がありそうなものもある。
 例えば、所得再分配を促進するような政策が書かれているが、その際、税制とどう関連させるのかは、あまり書かれていない。増税はなしに、分配の仕組みを変えるだけなのか、あるいは所得税により協力な累進課税をするのか、法人税等を引き上げるのか、あるいは逆に、消費税などのような、ある意味悪平等な税を廃止、ないし税率をさげていくのか、更に、再分配をどのような分野で、どのように行うかについても、かなりの多様性があるはずである。その方法によって、かなり賛否は分かれるに違いない。

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流山市は子育てに理想的な街? 過ぎたるは

 昨日の日本テレビの「スッキリ」で、流山市が扱われていた。子育てに理想的な町だということらしい。流山に住んでいる身として、あまり愉快な内容ではなかったので、以前にも似たようなことがあり、書いたことがあるのだが、再度書かざるをえない。
 流山市が子育て世代の若いひとたちを、呼び寄せようと様々な施策をとっていることは間違いない。そして、この人口減少社会において、珍しいほどに人口が増加していることも事実だ。増加分は若い世代であることも。
 しかし、どんなことも「過ぎたるは及ばざるが如し」なのである。番組では、保育園の待機児童がゼロだ(これにも疑問はあるのだが)として、いくつかの保育園を紹介し、更に、駅まで子どもをつれてくると、そこから各自の保育園に送っていってくれ、更に夕方は迎えに行って、親がくるまで預かってくれる施設まで紹介していた。確かに、親の都合からすると便利だが、問題はないのだろうか。驚いたのは、その利用料が驚くほど安いことだ。ちなみに、流山は様々な市の施設の利用料金が安い。となりの松戸市などと比較すると、驚くほどだ。無料で利用できる施設なども少なくないのだ。しかし、そこにはちゃんと働いて管理している人がいるわけだから、無料や格安で利用できるということは、他のひとたちが負担していることを意味している。保育園送迎施設が、ただみたいな料金で利用できることは、保育園を利用していないひとたちが、それを支えているわけだ。もちろん、子どもたちがいることは社会にとって好ましいことだし、子育てを応援することは大切なことだろう。しかし、バランスというものがあるのではないだろうか。弊害もいくつかあるといわざるをえない。

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文書交通費 領収書不要こそが問題 デジタル化せよ

 維新の会の指摘で、たった一日なのに一月分の文書交通費が支給されることが、問題になっている。これまでも問題になっていたそうだし、吉村大阪府知事が国会議員を辞めるときにも、実は同じようなことがあったらしいことが報道されているが、国会の議論は大きく一括月額方式ではなく、日割り方式に変えるという方向になっているようだ。今回のようなことは、たまにしか起きないわけだし、一日だけという事例はかなり珍しいだろう。もちろん、日割りのほうが合理的であることは間違いないが、もっと大きな問題は、使い道が事実上自由だということにあるのではないか。一切領収書が必要なく、生活費の足しにしている議員もいるそうだ。そもそも、政治的に使われることが、かなりいいかげんに処理される仕組みであることは、政党交付金などについても、度々問題になる。
 この際、根本的に公費の使い道の改革をすべきではないか。

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