最近ありえないような事件が立て続けに起きているが、この事件は最も痛ましい、また犯人に腹がたつ事件だ。
90歳を超える母を一人で看護していた60代の息子が、在宅医療の担当者を人質にしたあげく、殺害していたという事件だ。被害者は、地域の在宅医療の中心的な人物で、8割の患者を担当していたという。私の義母も在宅医療を最後まで続け、我々夫婦もできることなら入院はしたくないと考えている。しかし、私自身は、在宅医療が必ずしもベストだとは思っておらず、医療以外の要素も含めて、患者や家族が、入院か在宅を選択できるのがよいと思う。在宅で看取るのは、いろいろと制約があるし、在宅医療に携わる医師が多くないという、いろいろと困難な状況があるなかで、今回のような事件が起きると、当然医師側でより在宅医療を躊躇する意識が強くなるに違いない。