維新の会の指摘で、たった一日なのに一月分の文書交通費が支給されることが、問題になっている。これまでも問題になっていたそうだし、吉村大阪府知事が国会議員を辞めるときにも、実は同じようなことがあったらしいことが報道されているが、国会の議論は大きく一括月額方式ではなく、日割り方式に変えるという方向になっているようだ。今回のようなことは、たまにしか起きないわけだし、一日だけという事例はかなり珍しいだろう。もちろん、日割りのほうが合理的であることは間違いないが、もっと大きな問題は、使い道が事実上自由だということにあるのではないか。一切領収書が必要なく、生活費の足しにしている議員もいるそうだ。そもそも、政治的に使われることが、かなりいいかげんに処理される仕組みであることは、政党交付金などについても、度々問題になる。
この際、根本的に公費の使い道の改革をすべきではないか。
何よりも問題なのは、何に使ったのかが不明瞭だという点にある。税金である以上、何に使ったが明確でなければならないのは、あらゆることに妥当するはずである。官房機密費は、一切領収書がいらない、などということは、本当におかしなことだ。確かに、当面は使い道を明らかにできないこともあるかも知れないが、何年か経過した時点で公表されるべきである。永久に公表しなくていいというような公金の使用が、民主主義に反することは自明だ。
しかし、いちいち領収書を受け取り、保存管理することが大変だといういいわけはありうる。そのことを考慮して、私は以下のような方式に移行していくべきだと思うのである。
国会議員個人、そして、党組織としての支出を管理する担当者に、それぞれクレジットカードを配布し、任期が切れたら回収する。国会議員と党組織は、割り当てられた予算から支出する場合には、かならずそのクレジットカードを使用しなければならない。つまり現金支給はしない。クレジットカードの使用明細は、当該議員、党財政担当者、税支出を管理する官庁の部署がアクセスすることができるようにして、正式報告書の作成は、官庁の部署が行い、財政報告として公表する。クレジットカードに付与されるポイントは、国庫収入とする。
このようにしたらどうだろうか。どのような利点があるか。
・最大の利点は、政治活動に使用される公費が透明になる
・使用者がいちいち領収書の請求保存などをする手間がなくなる
・紙媒体を使用しないので、環境にもよく、財政当局にとっても、作業が楽である
・かなりのポイントが発生するので、国庫にとっても有利
税金を支払う国民の立場からみれば、欠点は見当たらない。欠点と意識される部分があるとすれば、自由に使いたい議員の不満だけだろう。しかし、そんな不満こそが問題であって、税金を使用する以上、透明性こそが最も重要な条件なのである。現在、政府は行政のデジタル化に取り組んでいるが、この点こそ、デジタル化に相応しい領域であると思う。