小室問題が起こす危惧すべき事態

 小室氏は、母親の元婚約者に会い、解決金を支払うことで、懸案の課題を解決したと述べて、明日夫妻でアメリカに飛び立つ予定だそうだ。これで、とりあえず日本での狂騒は、収まるだろうが、今後の推移によって、様々な事件が起きてくるだろう。雑誌『選択』は、小室圭-真子結婚を「政治的事件」と称している。それは、事態が進展しないことを打開するために、真子内親王が、天皇の諮問会議のメンバーを個別に呼び出して、必ず結婚することを宣言したという事実を指している。天皇の諮問会議のメンバーを一内親王が呼び出して、個人的な見解を押しつけるなどということは、制度的にできないから、なぜそんなことが起きたのかも問題であるが、それはここでは問わない。とにかく、皇室にある、また、法令上にも定まっているルールを無視して行動したことが、「政治的」であり、かつ「事件」だということだろう。
 この事件を考察する前に、前提となることを確認しておこう。

・ この結婚は、皇室、天皇制度に関する国民の見解を、相当程度分断することになった。現在進行している皇統が秋篠宮家に移ることを是認する立場。このひとたちは、典型的な男系男子の維持派である。第二に、天皇制の維持を支持するひと達の多数派は、愛子天皇を実現すべきという立場をとる。この立場のなかには、秋篠宮家全体の皇室離脱を望むひと達も少なくない。第三に、既に皇室の存在意義に疑問をもち、天皇は令和で最後にすべきというひと達も多い。
・ これまで何度も指摘したように、日本の天皇の歴史は、ほとんどが「利用される立場」としての権威として存在してきたことを示している。その最悪の結果が、日中・太平洋戦争を引き起し、敗れて、大日本帝国が崩壊したことである。「利用する」のは、その時点での政治的最高権力者であった。
・ 戦後の天皇は、国民の象徴となり、とくに平成の天皇(現上皇)は、国民に「寄り添う姿勢」を示して、「権力者に利用される」存在からの脱却を意図していたようにみえる。しかし、そこには不徹底な面があった。
・ 令和の天皇は、「利用される」存在を、より強く警戒しているようにみえるが、秋篠宮は、結婚時から、そうした傾向に無頓着であり、利用される存在として、今日に至っている。しかし、自身は、利用していると思っているに違いない。現在、秋篠宮家を「利用」しようとしているのは、もちろん男系男子派である。しかし、真子内親王の行動は、今後も含めて、自ら利用する場面を広げ、何かを実現しようとしていると思われる。当然、小室夫妻を「利用する」ひと達は、どんどん出てくるだろう。夫妻が困難にぶつかるほど、その援助という利用が増えてくる。
 
 現在の天皇は、政治的に利用されることに、非常に自覚的に対応していることは、オリンピック開会式への危惧の表明にも現れていた。そして、コロナのために国民と接する機会が極めて制限されているが、洪水地域への見舞いなどに現れているように、被害者に負担をかけないような訪問をするという点でも、配慮をしていることがわかる。
 しかし、秋篠宮家は、周りに負担をかけることに対して、無自覚というよりは、自覚が見当外れで、かえって負担をかけていることが、これまでに多々あった。そして、歴史的天皇のあり方に近く、権力者に利用されることで存在意義を示す姿勢が顕著である。その最大の機会が、悠仁親王の出産である。小泉内閣による皇室典範改正によって、男系男子継承を、長子継承にすることを防ぐために、いくつかの勢力の働きかけによって、出産がなされたことは疑いない。そして、そのことによって、自ら天皇になり、子孫に継承する道を開いた。
 そうした野望を批判するつもりはまったくない。天皇の子どもに生まれれば、自分も天皇になりたいと思うのは、ごく当たり前の感情といえる。しかし、小泉内閣の皇室典範改正は、民主主義社会における当然の転換を意図したものであり、現在に至るまで、内容としては国民の8割の支持を受けている。それを阻止する動きに活用されたということの意味は小さくない。明らかに、秋篠宮家が、利用されやすい体質をもつことを示したからである。 
 このことは、更に秋篠宮が、皇室をかなりどぎついまでの利用をしていることが補強される。川嶋紀子氏と結婚するときに、昭和天皇の喪中であることや、兄との順序のことで、待つように勧められたときに、結婚を認められないなら、皇室を離脱すると主張したことは、よく知られている。もちろん、そのような気はなかったろうし、認められないこともわかっていただろう。男性皇族は、自分の意志で皇族離脱をすることはできないからである。当時天皇継承順位2位の秋篠宮の皇室離脱が認められないことは自明のことだった。つまり、それを見越しての結婚強行を迫ったのであり、明確な皇室の地位利用といえる。利用されることにも、また利用することにも積極的な姿勢をもっていることが、第三者が利用しやすい存在となる根拠である。つまり、利用される存在としての天皇・皇族を、現在最も濃厚に、あるいは唯一引き継いでいる皇族が秋篠宮ということになる。男系男子派が、現在でも秋篠宮に心酔しているのは、こうした理由からであろう。
 
 このように考えてくれば、秋篠宮家の雰囲気を十分に吸収して育った小室真子氏が、圭氏が再び弁護士試験に不合格になって、生活が行き詰まったときに差し出される援助を、躊躇することなく受け入れることはごく自然であり、また、そのことによって相手の要求することを、なんとか実現しようと動くことも容易に推察できる。小室佳代氏の問題に、皇族でありながら、かなり深く関与し、圭氏のニューヨーク留学を推進したことは、その実例である。そういう意味では、真子氏は、人を動かし、組織して、自分の願望を実現していく実行力には、卓越したものがあるのかも知れない。尤も、小室圭氏の実力を勘違いしていたように、冷静な判断力があるとも思えないので、やはり、この夫婦をとりまく状況から、皇室への不穏な要求組織が、今後次第に表れていくことが、最も危惧されることである。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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