いよいよ候補者が揃い、党首選に突入した立憲民主党。報道されている限りでは、最大の争点は、共産党との協力関係の継続か否かなのだそうだ。しかし、それはおかしくないだろうか。まずは、党が実現したい政策が、党員の間で完全に共有されているなら別だが、既存の政治グループが寄せ集まってできている立憲民主党のなかで、そのような政策の一致があるとは思えない。確かに、立憲民主党のホームページを見ると、政策一覧が出ているが、つっこんでいけば、かなり争点がありそうなものもある。
例えば、所得再分配を促進するような政策が書かれているが、その際、税制とどう関連させるのかは、あまり書かれていない。増税はなしに、分配の仕組みを変えるだけなのか、あるいは所得税により協力な累進課税をするのか、法人税等を引き上げるのか、あるいは逆に、消費税などのような、ある意味悪平等な税を廃止、ないし税率をさげていくのか、更に、再分配をどのような分野で、どのように行うかについても、かなりの多様性があるはずである。その方法によって、かなり賛否は分かれるに違いない。
そういうことの議論を、もっと国民にみえるようなやり方で、掘り下げていく必要があるのではないか。そういう中で、当面問題になっている他の野党との共闘の有り様も明確になってくるはずである。
また、民主党政権が失敗した外交や基地政策をどうするのかは、党内的にもコンセンサスが形成されているとは思えない。安倍政権・菅政権下では、野党だったから、外交や防衛の政策そのものへの積極的な提示はなかったはずであるが、この点の議論をして、国民の信頼をえなければ、再度の政権挑戦はもちろん不可能であろう。
政権を担うには、あらゆる領域で政策を詰めていく必要があるわけだから、自分が党首になれば、影の内閣を組織して、政権交代に備えるという約束をしてほしいものだ。
前回、共産党との共闘について書いたが、補足をしておきたい。
小選挙区で共闘の成果があったが、比例では大きく減少したことが、共闘への否定的評価をする人がいるようだ。しかし、そもそも立憲民主党の政党支持率からすれば、比例での低い得票率は、当たり前のことだったのではないだろうか。前回の選挙より減らしたということは、前回よりも政党支持率が低下していたから当然のことといえる。共産党も含めて、コロナ対策については、かなり野党の取り組みも疑問が大きいものだった。一番大きなものは、ワクチン接種が遅れたことのひとつの理由が、野党が、厳格な治験を主張して、それだけワクチン接種の開始が遅れたと言われている。まったく治験をせずに接種を開始するというのならば、絶対に避けるべきだが、外国ではかなりの治験が行われ、結果が出ていることについて、「日本人でやらなければだめだ」というのは、いまどきあまりに近視眼的なのではないだろうか。人種的な相違が若干はあるとしても、日本人への接種では、日本における日本人の治験が絶対不可欠などというのは、国際協力での治験に対する消極的姿勢として、批判されるべきだ。自民党政権のコロナ対策もかなり酷かったが、それに対して、国民の圧倒的支持を受ける対案をだしていたようには、野党に期待する私にも見えにくかったことは間違いない。そういう意味で、野党の政党支持率が低下していたことが、比例での両党の後退に現れたと考えざるをえない。とすれば、やはり、党としての政策の見直しこそが、必要なのではないか。
共産党との根本的な違いといわれる・安保条約・天皇制・自衛隊について、突き詰めて両党は話し合いをしたのだろうか。共産党が、単独で政権をとるならいざ知らず、そのようなことは、共産党自身もずっと先のこととして考えているに違いない。閣外協力というのも妙な話だが、その時点で、その実行を迫るといっているのだろうか。実際に、現行の制度で改めなければならない点があることは、国民の多くが認識しているに違いない。そういうレベルでは、私には、立憲民主党と共産党、社民党の間に、根本的な違いがあるようには思えない。公明党と自民党の憲法改正に対する姿勢のほうが、よほど大きいのではないだろうか。
産経新聞や連合はさかんに共産党との共闘を否定しているが、それは、やはり、共闘されたらこまるからだろう。