「ウクライナ侵攻はありえない」論はどこが外れていたか

 ウクライナ戦線は膠着状態になっている感じがあるが、つい先日、ウクライナ侵攻はありえないと断定していた文章を見つけた。もちろん、そういう予想はいくらでもあったが、書名入りで、詳細な文章として見通しを書いているのは、あまりなかったような気がする。
 「ロシアのウクライナ侵攻はあり得ない、これだけの理由 ウクライナの悲劇と茶番劇」杉浦敏広 2022.1.26 JBpressである。
 この文章を検討してみたいと思ったのは、別に間違ったことを揶揄するためではなく、どこに予想が外れて、間違ったことを書いてしまったのか、その判断のどこが事実と異なって、予想と異なる事態が進展してしまったのかを探るためである。混沌とした事態の先を、正確に予想することなどは、ほとんど不可能なのだから、間違うこと自体は、私はそれほど不名誉なことではないし、また、訂正しながら、正しい認識に近づいていくのだと思う。しかし、やはり、冷静に間違いの所以を検討することが必要だろう。こうして文章を書いている私自身にとっても、他山の石とみなすべき文章だ。
 本人からの、現時点でどう考えているかの投稿はないようだ。

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ゼレンスキー演説への批判の検討

 昨日(3月23日)に、ウクライナ・ゼレンスキー大統領の、日本に対する演説が国会議員会館を通じて、オンラインで行われ、リアルタイムで全国に放映された。私ももちろん最初から終わりまで見たが、予想された強いものではなく、むしろ落ち着いた内容の、とても訴える力の強い演説だったと思う。私には、一番の力点は、ロシアに対する経済政策の継続と、戦後のウクライナ復興に対する援助を期待することだったと理解した。十分、ウクライナ情勢を理解している人にとっては納得できることだろう。もっとも、ロシアに対する経済制裁については、日本はそれほど徹底しているようには思えないので、今後、議論になるところではないだろうか。
 それはさておき、この演説の前後に、ネガティブな見解も出されていたので、それに対する意見を書いておきたい。
 
 まず事前の批判として、鳥越俊太郎氏が、戦争の一方の当事者であるウクライナ大統領にだけ、国会演説の場を提供するのは、公正ではないと批判していたことについて。

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ゼレンスキー大統領演説に、注目したいこと

 本日、ウクライナ大統領ゼレンスキーの、日本向け演説が行われる予定になっている。演説を聞いての感想は明日にして、その前に思うところを簡単に記しておきたい。
 何より注意して聴く必要があるのは、ウクライナの状況を知ることだ。直接日本人に語ることは、これまでなかったわけで、ウクライナの状況は、すべて報道によって知ってきた。しかし、報道には、必ずバイアスがかかっている。
 一番気になるところは、ウクライナは本当に大丈夫なのか、という点だ。キエフに対する前進が止まっていることは、ウクライナ軍が進攻を抑えているからだ、という報道がある。しかし、マリウポリは容赦なく攻撃されている。だが、やがてウクライナ軍が優勢になって、ロシア軍も損害が激しく、士気も低いので、やがて押し返されていくだろうという見通しも語られている。アメリカ筋から、さかんにそうした情報がもたらされている。

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地下鉄サリン事件から27年

 今日は、27年前に地下鉄サリン事件が起きた日だ。1995年は、1月に阪神淡路大震災があり、3月にサリン事件、そしてその後の長いオウム捜査が始まった。windows95が、ネット接続を組み込んだために、それまでは研究機関等の限られた人でなければ、使いにくかったインターネットが、簡単に一般人も使えるようになった年でもある。
 松本サリン事件や坂本弁護士家族の失踪事件で捜査対象となっていたオウムの本部に、強制捜査の予定だったのが、オウムに漏れ、その前に地下鉄サリン事件が起こされたといわれているが、捜査は22日に行われ、ずっとテレビ中継された。サティアンなどと呼ばれた建造物が大勢の機動隊によって調べられ、当時小学生だった3女のアーチャリーが、機動隊に食ってかかっているような写真が新聞にのり、話題になったものだ。
 地下鉄サリン事件の捜査はなかなか進まなかったが、あるとき、心臓外科医としても有名な林郁夫が、別件で逮捕されていて、突然サリン事件の自白をしたようだ。それでサリン事件のほぼ全容がわかり、次々と実行犯が逮捕された。

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BBC受信料問題とNHK

 今年の1月に、イギリスのジョンソン首相が、BBCの受信料の制度改革を提起したことが、各国で議論になっているようだ。日本でもNHKの受信料をめぐっては、大きな問題となっている。各国の公共放送の受信料のあり方については、BBCが原型となっているということで、BBCが制度変更すれば、大きな影響を各国に与えるに違いない。ただし、ジョンソン首相にしても、また、日本の受信料否定論の場合も、ある意味リベラルな放送姿勢に対する保守的な立場からの拒否的姿勢が影響していることに注意する必要がある。BBCにしても、NHKにしても、それほどリベラルであるかについては、疑問があるが、政権の広報機関になりきっていないことは確かだ。根本的には、受信料を払って支える「公共放送」が必要であるかどうかが問題だろうが、その前にまずは各国の状況を踏まえておく必要がある。
 総務省の「公共放送の在り方に関する検討分科会事務局」が作成して「諸外国の公共放送の受信料制度の状況」という文書がある。

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SNSによる情報過多が、デマを拡大しているのか?

 読売新聞に「情報過剰は新たな脅威… [虚実のはざま]第6部私の提言1」(2022.3.16)という記事が出ている。著者は、西田亮介(東京工業大学准教授)だ。https://www.yomiuri.co.jp/national/20220316-OYT1T50091/
 典型的な見解、つまり、あまりに過剰な情報が溢れるようになり、個人の注意力や認識力は限られている。国家で規制せよという意見は間違いで、メタやグーグルなどのプラットフォームでチェックすべきだ、というものだ。これは事実として進行していることで、特段目新しいことはないが、大手旧メディアについて、いつも気になることがあり、この文章もその例にもれない。以下の文章だ。
 
 「発信の中心がマスメディアに限られていた頃とは違い、誰でも発信者になれる今、人々は膨大な情報に囲まれている。特定の分野で影響力を持つ「インフルエンサー」が無数に現れ、選択肢が多様化したのは良いことだが、根拠のない話やデマもあふれるようになった。真実かのように巧妙に装い、人を操ろうとする発信者もいる。」

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ウクライナから逃れて、罪の意識に苦しむ男性たち

 courrier.jpに「ウクライナから脱出して徴兵を逃れた男たちを苦しめる『罪の意識』と『恥じらい』」という記事が出ている。
https://courrier.jp/news/archives/281801/
 非常に切実でかつ微妙な問題だ。ゼレンスキー政府が、闘うことが可能な男性の出国を禁じているために、男性の多くは、ウクライナに残って兵士にならざるをえない状況になっている。もちろん、戦死する可能性は低くない。日本の現在のように、徴兵制もなく、戦争を避けることができている国にいる者には、その切実感は理解できないが、しかし、90歳を超える日本人の男性は、かつてそうした境遇にいた。また、父親が戦士した者もたくさん残っている。日本も赤紙一枚で戦地に送られた。もちろん、そうした義務から外れた職業にいたひと達もいたし、理工系の研究者や高度な技術者たちは、招集されることは稀だった。
 また、ごくわずかながら、徴兵逃れで逃亡した人もいる。実は、私の遠い親戚で、赤紙がきたときに逃亡し、敗戦まで隠れていた人がいたそうだ。戦後数十年経過したときに、その事実を知らされたのだが、そうして逃亡したことに対して、周りが非難するようなことはなかったという。おそらく、本当はそうしたいと思ってもできなかったひと達が大半で、実行した人は勇気があると思っていたのだろうと推測する。

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読書ノート『プーチン 内政的考察』木村汎

 まとまったプーチン情報を得たいと思い、県立図書館にあったこの著書を借りてきた。A5版600ページもある大著で、まだ全部は読んでいないが、前半を読んで考えたことを書いておきたい。
 プーチン4部作の2作目ということで、他の著作も読んでみる必要があると思うが、内政を扱ったこの著作を読むと、筆者がウクライナ侵攻をこの時点(2016年出版)で予想していたのではないかと思われるほどであり、かつ、現在の進行状況が、ここで書かれているプーチン像にぴったり重なってくる。

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ここまで洗脳は可能なのか あるロシア人の発言

 ウクライナ情勢は、驚きの連続だが、そのなかでも特に印象的だったのは、あるウクライナの青年が、ロシアにいる父親に電話をしたときの会話だ。テレビの番組だったので、詳細は覚えていないのだが、ウクライナの青年が、ウクライナの状況を父親に訴え、ぜひ、この状況をまわりの人に伝えてほしいと懇願したところ、父親は、ロシア軍がウクライナにいっているのは、ウクライナのナチ政権の支配から、ウクライナを解放するためで、ロシア軍はなんらウクライナ人に迷惑などかけていない、と言い張り、なんど青年が実際には、違うと説明しても、まったく聞く耳を持たなかったというのだ。また、ウクライナで医師をやっているが、現在は避難者たちの援助をしている女性が、ロシアにいる姉に電話したところ、姉が、ウクライナにいるナチから守るためにロシアは頑張っているのだから、あなたも、ロシア兵に協力しないと大変なことになる、といって、こちらも、いくら説明して、惨状を訴えても聞かなかったので、「地獄に落ちろ」といって電話をきったとBBCで語っていた。

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ウクライナ侵攻への対応に関する疑問

 ロシアの常軌を逸した侵攻については、心底怒りを感じるた。プーチンは、ウクライナの非ナチ化のために侵攻したと言っているそうだが、プーチンがヒトラー化しているというのが、事実に近い。ウクライナに対する無差別攻撃(民間人や民間住宅への攻撃)、ロシア国内における完全な言論統制、政権に対する批判を刑事罰にする法の制定。これらは、ナチズムに該当する。これらについては、今更述べる必要もないだろう。
 それに対する欧米側の対応にも、疑問を感じる点が少なくない。直接関係しないところにいる素人の見解に過ぎないのだが。反省的な意味をこめて、やはり、こちらについて考えたい。

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