ウクライナ雑感 ウクライナにもミスはある

 最近の報道によると、ウクライナ軍がロシア軍に反抗の勢いを増しており、8月にもロシア軍は敗北するのではないかという予想をたてている。しかし、それは楽観的に過ぎるのではないか。そして、ウクライナ側のミスについての報道もほとんど見られない。私たち日本人がウクライナ状況を考察するのは、精神的な応援ということもあるが、やはり、ここから教訓を冷静に見きわめるためである。
 最近のウクライナのミスと思われるのは、21歳の若いロシア兵捕虜を戦争犯罪という罰で裁判にかけたことだ。何故、いま、ウクライナでこうした裁判をやる必要があるのか。ロシアの戦争犯罪を許さないという意思表示だとしても、戦争犯罪を裁くのは、ウクライナではなく、国際機関であることが望ましい。また、ウクライナが裁くとしても、戦争が完全に終了して、講和条約のなかで、裁判を相手に認めさせてから行うことがベストであろう。それまでは、捕虜はあくまでも捕虜として、国際法規に則った扱いをすべきである。

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アゾフ大隊は本当に捕虜交換されるのか

 とうとうマリウポリの造船所に立て篭もっていたウクライナ兵、アゾフ大隊が造船所を出て、ロシアの捕虜となった。そして、ウクライナに捉えられているロシア人捕虜と、捕虜交換の合意ができているとされている。
 しかし、私は、それが本当に実現するかどうかは、かなり不確定だと思っている。もちろん、双方の約束だから、実現させるべきものであるが、早くもロシア側の要人のなかから、アゾフ大隊は、ナチスで戦争犯罪者だから、捕虜として扱うべきではないという意見が出されているという。私は、裁判にかけられるかどうかは、両方あるとしても、最終的には、ほぼ全員が処刑される危険性があると思っている。処刑せずに、ロシア軍に組み入れて、強制的にウクライナと戦闘をさせるという危惧も語られている。もっとも、あれだけ疲れ切っている兵隊を、前線に送っても役には立たないと思うのだが、「人間の楯」にはなるだろう。

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ウクライナ侵略の大きな目的

 プーチンは、ウクライナがNATOに加盟するのは、ロシアにとっての安全上の脅威であるために阻止しなければならないとか、ウクライナはナチスによって支配され、住民が抑圧されているので解放する必要があるなどという理由をつけて、ウクライナに侵攻したということになっている。しかし、最近の動きを見ていると、それはあくまでも表向きの理由で、別の理由があるのではないかと思わざるをえなくなってきた。それは端的に、「領土拡張」ではないかということだ。
 ロシアは、大国のなかでも、領土拡張政策が歴史的にも極めて強い国家だ。世界一の領土をもっているのに、これ以上ほしいのかと疑問も出てくるが、ロシアの領土のかなりの部分は開発されないままの土地だ。開発することも難しいのだろう。そして、よくいわれるのが、不凍港を必要とするということだった。それは確かにそうだろうし、現在でもその野望はもっている。ただし、それだけではなく、そもそも領土を拡大したいという国家的要請は、主に農業生産物を求めているからだ。第二次産業や第三次産業、まして、現在の最先端技術のためには、別に大きな領土は必要ない。

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楽天モバイルの料金プラン変更問題

 昨年楽天モバイルは、通常では考えられないような料金プランを実施した。データが1Gまでは無料という内容だ。私は、楽天を使っておらず、他社であったし、またそれを変更する意思はなかったが、旅行に出かけるために、旅行中のネット利用のために、この楽天のプランを使ったwifiを申し込んだ。ところが、1年経過した今、楽天は無料部分をやめ、1G未満でも980円(税抜き)を徴収すると変更した。だまし討ちのようなものだ。普段は家庭内に光ファイバーによるwifiがあるので、外出のときだけ利用する。だから、やめてもたいしたことはないのだが、外出時にも自由に仕えるというのは、やはりほしいので、解約するかどうか迷っている。外で使えるwifiとしては、それでも他社より圧倒的に安いことは間違いないから。

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フィンランドとスウェーデンはNATOに加盟できるのか

 ウクライナへのロシアの侵略のひとつの帰結ともいうべき事態が、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟への動きである。まさしく「藪蛇」という言葉が当てはまることだ。今年のヨーロッパの状況からみれば、ごく自然な流れだと思うが、しかし、日本のメディアがスムーズに進展するかのような報道をしているが、そうなのだろうか、と疑って見ることも必要だろう。既に、ふたつの障害が表れている。

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ウィンブルドン大会でのロシア・ベラルーシ選手の排除は

 ウィンブルドンが、今年の大会にロシアとベラルーシの選手が参加することを拒否する決定をした。これに対して、男女のプロテニス協会がそれぞれ批判をして、対抗措置を公表している。一般のひとたちも、またテニス選手の間でも、意見は大きく割れている。非常に難しい問題なので、考えがなかなかまとまらなかった。
 
 他の大会では、これほど明確に排除をしていないから、「国籍による差別である」「スポーツを政治利用している」という批判が、とくにテニス選手から寄せられている。
 しかし、スポーツの政治利用という批判は、あまりあたらない。むしろロシアが、スポーツを政治利用していることの方が顕著であり、ロシアの国家的なスポーツの政治利用を防ぐという意味は、十分に認められると思う。「国籍による差別だ」というのは、確かにその通りだろう。おそらく、ウィンブルドン主催者としては、そうした非難は十分に考慮した上での結論だと思われる。

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プーチンの演説 戦争という選択しかなかったのか1

 プーチンの注目された演説は、大きな失望を与えたようだ。少なくとも西側には。もともと、ロシア国内向けと考えれば、当然なのかも知れないが、西側の期待を裏切ったというのは、皮肉だが。
 プーチンの演説の要点は、アメリカとNATOが、ロシアの要求を受け入れず、安全を脅かしたので、先手を打たざるをえなかったのだ、ということにつきる。ロシアは悪くない、悪いのはアメリカとNATOだというわけだ。更に、軍事作戦の目的は、ロシアを脅かしているナチスから、同胞を解放することであるというのが、積極的な目的だそうだ。
 それは、日本が太平洋戦争に突入していった論理とまったく同じである。アメリカが、日本にハル・ノートを突きつけ、さらに石油の禁輸などの経済制裁を強化したので、日本は、アメリカに戦争せざるをえなかったのだ。そして、それに対して、ABCD包囲網などを敷いてきた。そういう論理がひとつと、日本の戦争目的は、アジアを帝国主義植民地支配から解放することだったという論理があった。これは、プーチンのいう、ナチスの支配から解放するというのと重なる。

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ヒトはいつから人間になるのか 中絶議論との関連で

 昨日、「いつから人間になるのか」というテーマを別に考察すると書いたので、早速考えてみたい。
 もちろん、この問いの前に、そもそも人間とは何かという重大なテーマがあるわけだが、少なくとも、私には、ひとつの答はだすことができない。というより、なんらかの専門領域をもっている者にとっては、その領域ごとに、人間の定義が異なるように思われる。そして、領域による定義が定まれば、おのずと、いつから人間なのかを規定できる。そこで、どうしても専門外に触れることがないが、その点から整理してみよう。
 
 人間の定義は、多くが哲学分野でなされる。代表的なものとして、山岡政紀氏は、以下のような例をあげている。

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アメリカで中絶否定を最高裁が判断か

 アメリカで争われている中絶の是非に関して、連邦最高裁での判決の草稿が漏れたことで、大きな騒動になっている。アメリカでは、プロ-ライフ・プロ-チョイスという言葉があるように、中絶を認めるか認めないかは、大統領選挙の大きな争点のひとつになるほど、重大なテーマになっている。
 アメリカでは1973年に、中絶を合法とする最高裁判決がでていたが、それ以来も中絶反対派は、中絶を実施している医師を殺害するなど、かなり過激な反対運動もしてきた。しかし、先進国で、中絶が大きな社会・政治問題になる国は、ほとんどない。障害者基本条約が国連で締結されたときに、イギリスで大きな問題になったくらいではないだろうか。イギリスでは、胎児に障害がある場合には、出産直前までの中絶を認める法があったが、さすがに、障害者差別ではないかという議論が起こったわけだ。しかし、おそらくその法は廃止されていない。
 アメリカでの議論が、中絶賛成は女性の権利を基礎に考えているのに対して、反対派はほぼ宗教的根拠によるものなので、議論そのものがかみ合わないものになっていて、結局、まったく異なる価値のどちらをとるかという争いになる。そして、人間観の領域の争いなので、対話によって見解が近づいていくということが考えられない。

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すっかり変質した筑付?

 筑波大学付属高校(筑付)で、SNSが禁止されたと、ネット上で書かれている。悠仁親王関連の情報が、SNSを通じて拡散しないようにということらしい。実際に、それでもあえてツイッターに書かれた文章が、削除されたという。現在ではネット上での情報だけのようなので、真偽のほどはわからないとしても、その内週刊誌が取り上げるようになるに違いない。本当だとしたら、そこまでやるかと驚かざるをえない。また、筑付生や親がだまっているとも思えない。理由は、当然、悠仁親王に対する否定的な情報が、国民に拡散しないようにと、紀子妃が圧力をかけたということになっている。親王に関しては、作文コンクールの件は、弁護のしようがないことだろう。当人だけではなく、宮内庁、両親、そしてコンクール主催者すべてが、社会的な規範、道徳を蹂躙したことを意味している。また、予想されたことではあるが、授業内容がまったく理解できなくて、頭を机に伏せた姿勢をとっていた親王に、教師が注意をすると、汚い言葉で教師にくってかかったという情報も出ている。

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