破綻している最高裁原発事故判決 もしかしたら、原発稼働停止命令なのか

 まだ詳しくはわからないが、テレビで、最高裁が原発事故に対する国の責任を認めなかったという判決が出たことを速報していた。ミヤネやだが、要するに、地震が来ることを予想できたとしたも、対応することは不可能であったという理由だったという。一応その線で理解しておく。
 論点は、
・大きな地震が来ることを予知できたか
・予知できたとして、有効な対策をとることができたか
ということだったそうだ。
 いじめ自殺事件でも、よく論点となるところだ。このいじめで、被害者が自殺することが予見できたか、予見できたとして、自殺意志をもった当人の自殺を思い止まらせることはできたか、というような論点だ。

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先進国最低のジェンダー平等、まず何を変えるか

 先進国における女性の活躍、男女の平等において、日本が最低であることは、長く問題とされてきた。政府も、取り組むという表向きの姿勢をみせているが、実はこのランクは低下傾向にある。いろいろな議論がなされているが、私なりに考えてみたい。
 まず、高齢者となってしまったが、団塊の世代としての、ひとつの実感を確認しておきたい。私が学生の頃は、まだ大学進学率は男女差がけっこうあって、四大にいく女性はまだ少なかった。かつ、私は男子校であり、大学も男子校的なところ(女子学生は1割未満だった)だったためもあってか、リーダーとしての資質や知的能力において、この人はすごいと実感した女性には、あまり遭遇したことがない。そもそも、社会のなかでリーダーとして遇されていない時代だから、当然のことかも知れない。

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ドキュメント「権力と闘うあるロシアTV局の軌跡」ロシアの報道の自由の悲惨さ

 日本は、G7では報道の自由ランクで最下位であり、かなり問題であるし、近年更に低下傾向にある。2022年では71位である。韓国嫌いの日本人が多くなっているが、韓国は、43位で日本よりもずっと報道の自由がある。日本人としては、本当に真剣に考えねばならない。そして、ウクライナに侵略戦争をしかけているロシアは、2022年155位となっている。昨年より低下している。
 そして、このドキュメントは、ウクライナ侵攻の6日後に、ロシア政府によって廃止に追い込まれた独立系テレビ局「ドシチ」の誕生から消滅までの記録である。ロシアにもこんなテレビ局があったのかというほど、徹底した「事実報道」によって際立っており、そして、プーチンに直接にらまれたのも、必然だったともいえる。しかし、逆に、こうした報道を求めているロシア人がいたことも、また否定できないのである。
 
 5月中旬にNHKBSで放映されたイギリス制作のドキュメント番組で、「メディアを支配するものが思考を支配する」という言葉から始まる。

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ウクライナ雑感 バイデンは梯子を外すのか

 バイデンが、記者会見で、プーチンによるウクライナ侵攻を早くから指摘していたにもかかわらず、ウクライナのゼレンスキー大統領は聞く耳をもたなかったという趣旨の発言をしたことが報道されている。
Joe Biden says Volodymyr Zelenskyy ‘didn’t want to hear’ US warnings of Russia’s Ukraine invasion
 戦争が4カ月になるなかで、ウクライナを援助する必要を語っているなかでの発言であった。
 ゼレンスキーは、リーダーシップを発揮しているが、侵攻への準備には問題が残されていた。侵攻開始前の数週間、アメリカの忠告に対して、ゼレンスキーは怒りを表わしていた。そして、戦争の掛け声がウクライナの脆弱な経済を乱すことを気にしていた。戦争の100日間ゼレンスキーは、ロシアを打ち負かす信念を保持している。ウクライナは重火器を提供してほしいと訴えている。

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ウクライナ雑感 ロシア兵は何故あれほど残虐行為ができるのか

 ウクライナ情勢は混沌としてきた。日本の報道の多くが楽観論を振りまいているが、割り引いて受け取るべきだ。もちろん楽観的見方が今後実現していけばよいが、あまり楽観はできない。
 
 ロシアのウクライナでの蛮行を見ると、何故こんなんに酷いことをするのか、あるいはできるのか、ということに、日本人の多くは疑問に思うだろう。ここをロシアの領土にしようと目論んでいると思われる地域でも、遠慮会釈のない砲弾を浴びせて、廃墟にしてしまう。現在激戦が行われていると報道されているセベロドネツクの写真をみると、本当にほとんどすべての建物が防弾を浴びている。ここを領土化して再建することを考えているのであれば、こんなに破壊ができないはずだ、というのは、日本人的な甘さなのだろうか。いろいろと考えていると、いくつかのことが思いつく。

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メルケル引退後初のインタビュー 自身を弁護

 朝日デジタルにメルケルが、退任後はじめてインタビューに応じたという記事があったが、あまりに簡略だったので、もう少し詳しい記事を探した。「Angela Merkel opens up on Ukraine, Putin and her legacy」https://www.dw.com/en/angela-merkel-opens-up-on-ukraine-putin-and-her-legacy/a-62052345
 朝日デジタルだと、メルケルは、ロシアのウクライナ侵攻を非難したが、2014年のクリミヤ併合について、もっと厳しい対応がありえたことを認めたこと、ソ連崩壊後も戦争を防ぐための安全保障機構をつくることができなかったが、自分は間違っていなかったから謝る必要はない、ということが簡潔に紹介されているだけだ。
 英文の記事には、「退任後最初のインタビューで、対ロシア政策を弁護し、現在のウクライナの状況に関して、自分が責任を感じることはない」と述べたというリードが付けられている。

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出生数80万人以下の予想 教育には大きな影響

 まだ予想ではあるが、2022年の日本の出生数の予測値がでた。80万を超えているけれども、予測値より実数はたいへい少ないので、80万人を下回る可能性が高いと報道されていた。80万というのは驚きだ。
 私は団塊の世代真っ只中の生まれで、所謂団塊の世代の出生数は平均で278万人ほどになる。80万というと、30%未満ということになる。それだけの少人数で高齢者を支えるのは大変ということは、多少割り引く必要がある。現在でも団塊の世代は人口比で大きな割合を占めているが、今年生まれたひとたちが20歳になるときには、団塊の世代は90歳代の半ばに達しており、かなり死亡して、少なくなっているはずだからだ。それにしても、この少子化は、様々な面で大きな影響を与えるに違いない。

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ウクライナ雑感 慢心は禁物

 つい先頃まで、ウクライナ当局も、またそれを受けて日本のメディアも、ウクライナ情勢は完全に楽観的で、6月攻勢、8月決着というような「楽観論」を振りまいていた。しかし、ロシア軍のウクライナ東部への攻撃を受けて、にわかに悲観論が出ている。
 しかし、こうした言説をみると、「慢心は危険」という言葉を肝に銘じる必要を改めて感じた。
 
 「鬼平犯科帳」に「妖盗葵小僧」という話があり、事実として長谷川平蔵が捕縛した有名な盗賊だ。押し込み先で女を犯すのが手口だった盗賊で、その一節に、葵小僧と引退して同居している元首領とのやりとりがある。あまりに度が過ぎていることをたしなめ、あまりにうまくいっているときには注意が必要だというようなやり取りをしたあと
「なあに鬼の平蔵は、この私を捕らえることが出来まいよ」
「それがお前、慢心というものだ」

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ウクライナ戦争停戦へのキッシンジャー提案

 今月の25日、スイスのダボスで行われた会議で、キッシンジャーが、停戦を促し、ロシアが占領している地域を、ウクライナがロシアに割譲することを提起したことに対して、ゼレンスキーが猛反発したことが話題になっている。ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、日本においても、戦争で人が死ぬのは問題だから、早く停戦すべきだという意見は、いろいろな人からでている。とくにリベラルの人がそうした見解を示すことが多かったようだ。代表的には和田春樹氏などがそうだ。もちろん、リベラルに限らない。
 今度はキッシンジャーが提起したということで、国際的にも大きな話題になっているようだ。しかし、私にはいかにもキッシンジャーらしい発言だと思った。ベトナム和平をまとめた功績でノーベル賞を受賞しているが、あわせて受賞したベトナム側は、受賞を拒否している。ノーベル平和賞に対する疑問が沸き起こったものだ。キッシンジャーはあくまでもアメリカの利害に立って、ベトナムを従わせるべく奮闘したに過ぎないのであって、より大きな敗北に至らないための方策を、当時とったに過ぎない。アメリカ人であり、アメリカ政府の代表としての交渉だから、それは当然ともいえる。

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ロシアは何故宣戦布告しないのか

 ウクライナ情勢は日々動いており、メディアの報道も、少しずつ変化してきたような気がする。ハルキウを奪還したころには、ウクライナがどんどん優勢になって、6月ころには大攻勢をかけ、8月には帰趨が明確になるかのような報道が目立った。しかし、最近はロシアも攻勢をかけており、かならずしも楽観できないという報道もみられる。私は、後者のほうが、現実に則した見方だと思っている。あまり楽観視すべきではない。そして、長引けばロシアが不利になるというのも、逆の側面もあることも、やっと指摘されるようになった。長期化すれば、ロシアの占領地域が既成事実化してしまう恐れがあるのだ。

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