憲法には、もうひとつ重要な条文がある。
〔納税の義務〕
第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
この「国民」は、かならずしも日本国籍をもつ個人ということではなく、所得を日本でえれば外国人にも適用されるし、また、法人も同様である。しかし、常に問題になるのが、宗教法人の宗教活動に対する非課税措置である。何度も書いているように、宗教は「私事」であるのに、宗教法人への非課税は、矛盾している。非課税にする場合「公益」事業であることが前提であるが、「私事」の活動が「公益」であるはずがないのだ。つまり、宗教法人を非課税にすることは、憲法の禁ずる国家が特典をあたえていることであり、本来収めるべき税金を国家が宗教法人にあたえていることになる。宗教団体が税を免除されてきたのは、古来から古い制度的慣行であるが、それは、近代的な人権概念とは相いれない。つまり、本来撤廃されるべきであるのに、残滓として存続しているだけのことなのだ。