対照的なワイドショー モーニングショーとミヤネ屋

 昨日(7月18日)のワイドショーで、対照的なふたつをみた。ひとつは、羽鳥のモーニングショー、もうひとつは、情報ライブミヤネ屋である。そして、モーニングショーがネットでも、その後大きな話題になっていたようだ。
 モーニングショーでは、有田芳生氏が出演し、統一教会と自民党、政界のつながりを遠慮会釈なしに、暴露していた。玉川氏なども、あっけにとられ、羽鳥氏は、とまどっている風だった。そのくらい、テレビ局で語られる話としては、衝撃的だった。もっとも、youtubeなどでは、普通に語られていることではあるのだが。その最もコメンテーターにとっても衝撃的な話というのは、有田氏が警察関係者30人程が出席している場に講演を頼まれていった。目つきの鋭いひとたちばかりで緊張したそうだ。そして、警察として、統一教会を捜査する準備を進めていたというのだが、一向にその動きがない。10年くらいたって、警察の上層の人に聞く機会があったが、警察としてはやる気だったが、結局政治的な圧力でやれなくなったという話だった。

 他にも、統一教会の名前のイメージが悪くなったので、名称変更を申請していたが、文化庁が実態に変化なし、ということで許可しなかったところ、安倍内閣になって、変更が認められて、「平和」と「家庭」という名前の入った現在の名称に変更を認められたというのである。認可された宗教法人だから、当然名称変更などは、そう簡単に認めないのだが、こうした政治家の積極的関与には、たいてい安倍晋三の名前が出てくるのだ。
 モーニングショーについては、被害者たちの話をしていて、後半に政治家との関連を扱うことになっていた日があったのだが、紀藤弁護士がかなり話してしまったので、時間が足りなくなって、後日政治家との関連は扱うということだった。しかし、圧力でやらないのではないかと、実は危惧していた。それが、ここまでやったので、さすがモーニングショーだと思ったものだ。切り込むべきことに切り込んだ、テレビとしては珍しい番組だった。
 
 ところが、午後になって、情報ライブ ミヤネ屋を聞いていると、まったくトーンが違う。とにかく、暴力で言論を圧殺するのは間違いである、と何度も語っている。山上批判だ。しかし、そもそも、何故こんな事件が起きたのか、それについては、メディアにも一端の責任があるとは考えないのか。オウムの影響もあったろうが、とにかく、一度90年代初期に、盛んに統一教会のことをとりあげていた大手メディアも、その後まったくとりあげなくなった。しかし、被害はあいかわらず続いていたのであり、そのことは注意していれば、すぐにわかることであった。被害者救済をしている弁護士グループは、ずっと活動をしていたし、いまでもしているのだから、そこに取材にいけば、実態がほとんど変化していないこと、酷い被害を受けている者が多数いることは、すぐにわかることなのだ。
 実は、私の知る人の親戚に、統一教会の極めて熱心な信者がおり、さかんに壺を売りつけるなどの活動をしていて、まわりが迷惑していることが、ずっと情報として入ってきていた。家族も大変な思いをしているという。幸いかなりの資産家なので、経済的破綻などはしなかったそうだが、本人はともかく、まわりは皆被害者といえる。こういう状況だから、統一教会の活動が下火になったなどいうことは、まったくないのだ。
 そうした状況をまったく無視している情報ライブ ミヤネ屋の出演者たちは、自分たちが言論人としての役割を果たしてこなかったにもかかわらず、そのことを棚にあげて、言論を暴力で圧殺してはならない、などというお題目を唱えているだけの無責任な姿勢だけしか感じなかった。もし、こうした大手メディアが、統一教会の酷い活動をとりあげて、社会的批判によって、活動を制限していれば、山上は犯行をすることはなかったに違いないのである。メディアの不作為が山上の犯行を引き起こしたから、メディアにも責任がある、とまではいわないが、少なくとも、山上をそんなに批判することができるのか、そんな資格があるのか、とはいわざるをえない。そして、結局、統一教会をのさばらせている政治家たちの批判を、継続的に行うことが、メディアにとっても現在の使命のはずである。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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