ウクライナ ポーランドへのミサイル事件への疑問

 ポーランドに着弾したミサイル問題は、いまだにしこりを残している。未解決というべきだろう。というのは、ゼレンスキーがまだウクライナの誤射であることを認めていないからだ。ゼレンスキーとしては、なかなか認めがたいというのも理解である。
・現場の兵士たちが、自分たちの誤射ではないと主張しており、指揮官としては、証拠もなしに兵士たちを疑うわけにはいかない。
・NATOとしては調査しているが、ウクライナは調査に参加できず、納得できる情報が示されていない。
 以上のふたつの理由である。ゼレンスキーの立場にたてば、当然の対応といえる。最高指揮官が、命をかけて闘っている兵士たちの主張を、証拠もなしに否定できるわけがない。具体的な証拠なしに、兵士たちの主張を否定すれば、兵士たちの士気は低下してしまう。更に、NATO側は、ウクライナの誤射であると主張しているが、私がみている限り、衛星での追跡などの具体的な軌道を示すような証拠を、公開していない。おそらく、非公開でゼレンスキーに示すこともしていないのではないかと思われる。少なくとも、NATOは、ウクライナの軍指導者やゼレンスキーに証拠をみせ、兵士たちを説得させる、という手順は踏むべきであろう。

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ポーランドにロシアがミサイル 補充と訂正

 当初ロシアのミサイルがポーランドに着弾したという報道に基づいて文章を書いたが、まだ確定ではないが、その後、ロシアのミサイルを迎撃しようとしたウクライナの発射した迎撃ミサイルのようだ、という報道に変化してきた。「ウクライナ迎撃ミサイルが着弾と米大統領、NATOは緊急会合開催」
 アメリカの分析による発表なので、かなり信憑性はあるが、しかし、いくつか疑問は残る。
 別の報道によると、使われたのがロシア製のS300という迎撃ミサイルであるというのだ。ウクライナはロシア製の兵器をたくさん使っているから、そのこと自体は不思議ではないが、もしそうだとしたら、ロシア製武器の精度が低いことが示されている。また、ロシアによるミサイル攻撃が激化しているので、迎撃システムを急遽ウクライナに支援したはずであるが、それが不十分だったということにもなる。欧米の優秀な迎撃システムなら、そのようなミスはなかったに違いない。
 また、もう一つの疑問として、ロシアから発射されたものではないというのだから、可能性としてはベラルーシということになる。すると、ベラルーシは既にロシアにかなり強力の度合いを高めていることになる。しかし、ベラルーシはロシア軍の駐留は認め、また、演習は一緒にやるとしても、直接的な攻撃援助をしていないとされていた。
 まだ確定ではないが、いずれにせよ、最も責められるべきは、誤射したウクライナではなく、不当なミサイル攻撃、それも民間施設への大規模な攻撃したロシアである。だが、もし、ウクライナによる迎撃失敗だったとしたら、ゼレンスキーはそれを素直に認めて、謝罪しなければ、今後の支援に悪影響を及ぼすだろう。

ポーランドにロシアのミサイル

 各紙にロシアのミサイルがポーランドに着弾し、二人が死亡したと報じられている。一番初めにみた記事が、ゼレンスキーの報告だったので、ゼレンスキーがNATOを引き込む発言かと思ったが、いろいろとみていると、たくさんの記事が出ているし、バイデンがポーランド支援を明言したというので、事実なのだろう。ロシアは例によってとぼけているが、状況からみれば、ロシア以外にミサイルをポーランドに打ち込む国はありえない。ウクライナ全土に100発のミサイルを打ち込んだというので、そのうちの一発が、誤ってポーランドに着弾したのだろう。ロシアがポーランドを攻撃することは、現時点では考えられないし、その危険性はわかっているはずだ。
 このことでわかるのは、ロシアは確かに精密誘導できるミサイルが枯渇しているらしいということだ。精密誘導可能なら、ウクライナの国境を超えて、隣国ポーランドに撃ち込むなどということは起きるはずがない。かなりロシアとしては、慌てているのではないだろうか。

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ウクライナ戦争への和平論 東郷・中島氏への疑問

 ウクライナ戦争、つまりロシアによるウクライナ侵略戦争に対して、和平論が再び現れている。東郷和彦氏と中島岳志氏の対談の形をとっている。
「「こんなにうまくプーチンが引っかかるとは」ウクライナ戦争をアメリカが引き起こしたといえる残念な証拠」(プレジデント・オンライン2022.11.9)
 題名でわかるように、この戦争は、バイデンが引き起こした戦争だという認識から出発している。この点については、私自身同様な見解を、当初から書いている。
だからまったく異論がない。しかし、その後、両氏は、日米の対立から太平洋戦争に至った経過と、ウクライナ戦争を同じようなプロセスをたどっているとしている。しかし、それはまったく違う。 

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コロナ医療負担や走行距離課税について

 出発当初は、貧富の差を解消する政策をとるようなポーズをとっていた岸田内閣だが、主なスタッフを財務相出身者で固めた時点で、やがて増税路線を突っ走るようになることが予想された。そして、最近は、その姿勢を隠さず、いくつかの増税政策を打ち出している。まだどうなるのかは分からないが、検討しておきたい。詳細な専門的な検討というのではなく、生活する身としての、常識的な考察である。
 
 まず、財務省の財政審議会がコロナワクチンの公費負担の見直しを議論しているという。日経が伝えている。「コロナワクチン、「全額国費」見直し求める 財制審」(日本経済新聞11月7日)

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安倍元首相狙撃考察15 安倍元首相はどちらから撃たれたのか 朝日新聞の混乱

 久しぶりに山上の話題が新聞に報道された。朝日新聞の11月8日の記事「安倍氏銃撃の手製銃、刑が重い発射容疑を適用できるか 殺傷能力確認」である。
 見出しでわかるように、発射容疑を適用できるかという問題を扱っている。銃刀法は、所持しているだけでも犯罪だが、銃を発射した場合には、更に罪が重くなる。当たり前のことだ。しかし、きちんと製造された銃を前提にした規定であるために、手製の銃に発射罪を適用できるか、見解が分かれているのだそうだ。もし、本当に山上の手製の銃で安倍元首相を殺害したのならは、発射罪に問えないことのほうがおかしいが、やはり、本当に山上の銃で安倍元首相が殺害されたのかの立証がきちんとなされるべきだろう。
 記事によると、県警は、山上の銃は殺傷能力があることを実験で立証したとする。

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エンジンブレーキ(オートマ)の使い方は同じではない

 昨日2週間弱の旅行から、無事帰宅した。四国を経て九州をまわり、北陸経由の自動車の旅だったので、無事帰ることができてほっとしている。実は、出かける前に不安なことがあった。それは、先日起きたバスの横転事故である。まだ真相はわからないようだが、坂道を長くおりる道路だったので、ブレーキの踏みすぎで、フェード現象が起きたのではないかとされている。私の住んでいる付近は、めだった長坂などはないので、普段気にすることはないが、さすがに九州までの旅では、途中坂が多いので、事前に車を点検にだし、その際エンジンブレーキに関してのチェックをしてもらい、また正確なかけ方を教えてもらった。というのは、何度かエンジンブレーキをかけたつもりなのだが、あまり効かないように感じていたからだ。妻の車は、ハイブリッドなので、エンジンブレーキをかけると、確実かつ強力にかかる。ところがガソリン車である私のは、どうもかかりかたが弱いのだ。車を購入したときに、教えてもらった方法のはずなのだが、あまり効かない。

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ハロウィン事故に思う 誰に責任があるのか

 韓国ソウルの繁華街イテウォンで、群衆雪崩といわれる現象によって、150人以上が亡くなり、日本人女性2人も含まれている。ハロウィンで集まった人々が、狭い路地に双方から多数移動し、動きがとれなくなったひとが圧死したという。似たような事故は、2001年の兵庫県明石市での歩道橋でも起きている。こちらの死亡者は11人だった。
 いずれの事故でも、あとで警備体勢の不備が指摘された。確かに、こうした事故が起きる以上、警備が万全でなかったことは間違いないが、事前に、どの程度の人数が繰り出されるのか、どこにどういう形で集中して、危険な状態になるのか、もし、危険な状況になったときに、どのような対策がありうるのか、等々について考えてみると、万全な対策は、かなり難しいのではないかと思わざるをえない。そして、責任は、決して警備態勢、つまり主に警察だけではなく、他にも負うべきところがあるように思われるのだ。

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何をしたいのかわからないのは、岸田首相だけか

 岸田首相に対する批判は、いろいろとあるが、「首相として何をやりたいのかわからない」というのがある。たとえば、白井聡氏による「背後に隠れているエースの専制、岸田政権を総括する」である。
 題名は「背後に隠れている」となっているが、本文を読むと、隠しもしないで「財務官僚」の専制になっているという趣旨だ。そして、そのなかで、「何をやりたいのか」わからないことが指摘されている。
 自民党の二世・三世議員が、首相をめざすのは、明快な理由がある。「首相でいること」自体が目標であり、その前は、「議員でいることが目的」であった。彼らは、父親の地盤を引き継ぐことが目的であり、そのことによって、何を実現したいかは、問われたことがないのではないだろうか。その典型が安倍元首相だった。安倍首相の「お友達優遇」政治は、お友達こそ、自身の政治的地位保全のために役立つ存在だから優遇する。逆に、自分に刃向かう者は、党内での実力ある政治家であっても、排除する。(現職議員であるが、安倍首相に辛辣の発言をしていた溝手顕正を落とすために、河合案里を立候補させ、更に巨額な資金を河合陣営に注入して、河合克之法務大臣を巻き込む汚職事件が典型)

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死んだ安全保障理事会をどう再生させるのか プーチン退場後のロシア

 ウクライナ戦争の終了の形がどうなるかは、まだ未確定であるが、何を準備しなければならないかは、ある程度明確である。国際組織の創設には、長い準備期間が必要となる。国際連合は、1945年に発足したが、その準備は1941年の太西洋憲章にまで遡る。それは、国際連盟が第一次世界大戦後、特にナチス政権が登場してから、国際問題の処理がほとんどできなくなり、無力化した反省を踏まえて、長い準備過程を経て成立したものである。レーニンは、「第二インターは死んだ」として、コミンテルンを創設したように、実質的に死んだ国際連盟に変わって、連合国が国際連合を創設したのだが、現在でも、国際連合は実働しているとはいえ、中心的な安全保障理事会は死んだも同然であろう。
 常任理事国であるロシアが、国連憲章が禁ずる行為を公然として行い、国際連合加盟国の大多数の見解が非難をするような状況であるのに、ロシアが拒否権を行使するために、国連としての対応が不可能になっている現状は、「安全保障理事会は死んだ」というべきである。安全保障理事会そのものを撤廃する選択もあるが、ロシア一国が、傍若無人に振る舞っているのだから、ロシアを排除することによって、理事会の再生を図るのが、まずはベストの選択だろう。その件について考えてみるが、そのためには、ウクライナ戦争の終結の仕方を考えねばならない。

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