同性婚否定で首相補佐官が更迭されたが 岸田首相と同じ考えではないのか

 荒井勝喜首相秘書官が、かなり迅速に、更迭された。昨年更迭された大臣たちと比較すると、そのスピードは驚くほどだった。
 そもそもの起りは、国会の答弁で、岸田首相が、選択的別姓制度と同性婚を認める意思はないかと問われて、選択的別姓については、世論が分かれているから、更なる議論が必要だと述べ、同性婚については、家族の在り方について社会を変えてしまうと、ともに否定的な見解を述べたことである。これが1月26日。「岸田首相「慎重な検討を要する」 ”夫婦別姓”や“同性婚”に… 代表質問2日目」(日テレニュース)
 この答弁に対して、2月3日に、記者10名ほどが、荒井秘書官に、首相答弁について質問をしたところ、オフレコで述べた見解を、毎日新聞が報道した。
 荒井秘書官の発言の詳細はわからないが、次のようなことを述べたとされる。

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高齢者は集団自決を? 成田祐輔氏への疑問

 最近話題の成田祐輔氏が、あちこちで「高齢者の集団自決」が必要だという主張をしているということを、その批判文で知った。特別に話題になったのは今年かららしいが、以前からの主張のようだ。最初に読んだのは、内田樹「『高齢者の集団自決』の提言 日本の国運の衰退の解決にはならない」〈AERA〉
であり、驚いて他の文章も探し、「成田悠輔氏「高齢者は集団自決」発言を“例え話”と笑っていられない理由」窪田順生を読んだ。
 いずれも、ヒトラーとユダヤ人撲滅などとひっかけて批判したものだ。
 では、本人はどう言っているのかと探したところ、abemaTVで語っていることが多いらしいが、youtubeにも出ているので、次のものをみた。
 
 私は、成田氏を著書と羽鳥モーニングショーにでているときしか知らないので、こうした過激な主張は知らなかったので、少々驚いた。

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裁判記録、紙の保存が原則か

 神戸の連続児童殺傷事件の裁判記録が、廃棄されていたという報道を、記憶している人も多いだろう。そのときにもブログに書いたと思うが、「99.9%消える司法文書「保存場所と人の確保を」 青山学院大元教授の塚原英治さん、デジタル化は「閲覧の手段」に」(元青山学院大法科大学院教授の塚原英治弁護士 神戸新聞)という記事がでて、紙の原本を残すのが大事で、そのための場所と職員を確保することが必要だ、という主張をしている。多いに疑問である。
 
 塚原氏は、デジタルではなく、紙で残す理由を2点述べている。
・スキャンした文書では、原本と同一か確認できない。
・デジタル化は簡単ではない。

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森元首相、鈴木宗男氏のあきれたロシア応援発言

 ウクライナ戦線は膠着状態が続いているが、2月3月になると大きな戦闘が行なわれると予想されている。そうしたなか、森元首相が、「ロシアが負けることはない」と述べ、更に鈴木宗男氏が追随する発言を繰りかえしている。森氏の発言の紹介は、「森元首相「ロシアが負けることは考えられない」発言に大ブーイング「立ち位置が不適切」「さすがプーチンのお友達」…官房副長官も “反撃”」
であり、鈴木氏は、「鈴木宗男氏 森喜朗元首相に同調「私も国力から見てロシアが負けることはないと考える」」
である。
 ふたりは、ともに北方領土解決のために努力した事実はあり、プーチンともパイプをもっている。おそらく、今でもそうしたプーチンとの友好的関係を土台に発言しているのだろうが、状況の変化を認識できないのか、もともと、プーチンとの交渉自体か砂上の楼閣だったのか。おそらく、両方だろう。それはともかく、両氏が今回述べたことは、以下のように整理できる。
・ロシアは負けないし、もし負けたとしたら、大変なことになる。
・せっかく日露の改善に努力して積み立ててきたのに、ウクライナにこんなに肩入れしていいのか。(以上森)
・プーチンだけ批判するのは間違いで、ゼレンスキーも国民を苦しめている。
・ウクライナとロシアのどちらが日本にとって重要なのか。(ロシアだという含み)

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読書ノート『シン日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』松竹伸幸(文春新書)2

 今回は、民主主義における基本的人権と組織の権利について考察してみたい。藤田氏が、著作や記者会見で公表する前に、何故党内で意見を述べなかったのかと批判していることは、前回紹介した。実際に松竹氏が、党内で意見を述べていたかどうかについては、よくわからない。松竹氏の本書において、その点は触れられていない。実際には、身近なひとたちに言っていただろうと思うが、少なくとも党本部に対して意見具申はしていなかったという前提で、考えてみたい。
 お断りしておくと、私は共産党の人間ではなく、内部や規約のことは知らない。こうした本や記事に引用されている限りで知っているだけである。だから、現実の党への提言などをするつもりで書いているわけではなく、あくまでも現在の日本における組織のあるべき姿を、考えようとしているだけである。
 
 前回引用した規約3条の「民主的な議論をつくし」と「意見がちがうことによって、組織的な排除をおこなってはならない」のふたつをどのように、この事例で考えるか。

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読書ノート『シン日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』松竹伸幸(文春新書)1

 ここ数日、共産党員の松竹伸幸氏が、『シン・日本共産党宣言』という著書を出版し、それにあわせて記者会見をしたことが話題になっている。その動きを知ったのは、実は昨日なのだが、記者会見は19日であり、この本の奥付の出版日は20日である。記者会見では、党首公選を主張し、実現したら自分も立候補すると表明したようだ。各種新聞に出ている。そして、21日に、共産党の赤旗が、「規約と綱領からの逸脱は明らか――松竹伸幸氏の一連の言動について」と題する赤旗編集局次長藤田健氏の反論を掲載した。
 そして、23日に、志井委員長の記者会見があって、藤田見解につきていると述べたという経緯である。
 党内事情はまったく知らないので、裏事情はわからないし、また興味はないが、以前から関心をもっていた党首公選制については、やはり、考察しておきたいと思って、本書を早速購入し、読んでみた。

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平安女学院でまた訴訟沙汰が

 京都の平安女学院で騒動が起きているという記事がいくつかあった。ひとつは、訴訟が起きていることを報じている。「理事長批判で解任「パワハラ放置は学校滅びる」 平安女学院中学・高校の教員4人提訴」(京都新聞1.19)
 平安女学院関連の訴訟というと、10数年前におきた滋賀県守山キャンパス撤退問題での訴訟をかなり調べたことがあるので、またか、という感じであった。理事長が同じ人なので、繋がっているともいえる。
 守山キャンパス問題とは、2000年に、平安女学院大学が、滋賀県守山キャンパスを開校、しかし、思ったように学生が集まらず、2005年に守山を撤退、高槻キャンパスに統合、在籍していた学生も移すという、少々乱暴な移転計画だったために、守山キャンパスで学ぶことができるという条件で入学したのだから、卒業するまで維持してほしいという要求の訴訟だった。しかし、学生側が敗訴している。(提訴したのは一人だけ)

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高齢者の運転免許試験について

 昨年も、高齢者ドライバーによる死亡事故がいくつか起きて、メディアによって大きく報道された。実際には、若者によるそうした事故のほうが多いそうだが、報道は高齢者事故に焦点をあてることになっているので、目立つようになっている。
 高齢者による大きな事故というと、池袋の事例がすぐに引き合いにだされるが、あの事故は、かなり特異な事例で、高齢者運転のより普通の問題を考えるのにはふさわしくない。なぜならば、池袋という交通量と歩行者の多いところ、しかも、たくさんの公共交通機関があり、もともと個人が車を運転することは比較的少ない地域で、90歳の超高齢者が運転していたという事例である。しかも、家族は免許証返納を強く勧め、本人もある程度その気になっていた。そして、エリート意識が大丈夫という気持ちを起こしていたことも十分考えられる。

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河野太郎氏の二重国籍案

 河野太郎氏が、日本も二重国籍を認めるべきだと発言して、保守層からの非難が高まっているそうだ。解説記事は、「「二重国籍」騒動、河野太郎氏がブログで真意「議論する余地がある」」であり、
河野氏自身のブログでの釈明のような文章は以下である。
 河野氏の趣旨は、要するに二重国籍を認めている国があるのに、日本が認めないと不利になる人が出てくる、だから認めるべきであるが、国会議員など、国の要職に就く者には認めるべきではない、というものである。
 国籍問題は、国際関係が複雑に絡み合っていて、極めてやっかいな問題であるし、河野氏に対して「国賊」などという言葉が浴びせられることをみても、感情的な反発が起きやすい問題でもある。河野提案が実現すれば、国籍問題が解決するわけでは決してない。

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戦争に人をだすこと 湾岸戦争とウクライナ戦争

 今から30年前になるが、湾岸戦争は、日本の外交方針を大きく変えた。イラクがクウェートを侵攻して、国連が決議によってイラクの侵略を退けたのが湾岸戦争だ。日本は、戦争地域に人を派遣することは憲法上できないということで、経済的な、つまり金銭による支援をした。 
 戦後クウェートは、アメリカの新聞に大々的に、援助してくれた国に感謝の意を表したが、その一覧表に、日本がなかったことで、日本政府は大ショックを受けた。そして、やはり、人をださないと感謝されないのだ、ということで、以後、日本は紛争地域に、戦闘行為はしないが、自衛隊を派遣するようになった。多くは、PKOだったが、小泉政権は、イラク戦争に自衛隊を派遣をしている。最も、自衛隊がやっていたことは、主に土木作業だったようだが。つまり、日本の外交方針が根本的に変化したのである。

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