電気料金の値上がりが、テレビなどでもずいぶんと取り上げられている。羽鳥モーニングショーでも、何度か扱われている。そのなかで、それは大変だろうなという事例がたくさん取り上げられていた。しかし、ちょっと待て、という例がないこともない。
個々の家庭では、自衛手段しかないのだから、どうやって電気料金を抑えるかの工夫が必要である。何に違和感をもったかというと、電気代がこんなに高かったという家庭の様子が紹介されていたのだが、子どもたちがまるで夏のような薄着で過ごしていたことだ。あの服装だと、室温をかなり高く設定しているのだろう。暖房の設定温度を1度下げるだけで、かなりの電力の節約になると言われているのだから、そういうことをもっと考慮して、生活したらどうかと思ったわけである。
念のために我が家の電気代を調べてみると、意外に少ないことがわかった。三世代で住んでいた家なので、それなりに大きいし、200ボルトのエアコンを使っているので、もっとかかっていると思ったのだ。しかし、かなり意識的に節電していることが、比較的安い電気料金となったことを確認した。それは部屋の温度調節だ。ちなみに、私が普段過ごしている部屋のエアコンの設定温度は、当初は23度位だったが、徐々に下げていき、今は19度である。それでもしばらくつけていると20度を超えるので、超えたらしばらく切ることにしている。もちろん、エアコンを切っている間は、多少厚着をする。
人間の身体は、非常に適応能力がある。だから、低い温度になれると、けっこう寒くても大丈夫なのだ。しかし、別の羽鳥モーニングショー番組の健康話題では、18度以下で過ごすと、健康に悪いというので、19度に設定しており、健康維持には気をつけている。身体が慣れるとしても、15度で過ごすのは避けるべきらしい。
電気代が10万近くかかったという家庭では、もう少し厚着をして、エアコンの設定温度をかなり下げれば、5万程度までさがるのではないかと思うのだが、どうだろうか。それぞれ事情はあるだろうが。
さて、いくら家庭で努力しても、実際の電力会社の対応が不誠実であれば、それを変えてもらうしかない。
驚いたのは、電力会社が、現在原発を稼働させている地域とそうでない地域では、電気料金が倍くらい違うということだった。それなら、やはり、原発が必要だというように考えてよいのだろうか。私自身は、この点は、やや複雑に考えているのだが、現在の原油高が長く続くとは思わない。ロシアのウクライナ侵略が敗北すれば、状況はかなり変わると予想できる。(第三次世界大戦になるという危惧もあるが、その場合には、更に原油高は激しくなるから、そうならないことを願うばかりだ。)
それにあまりに安易が政治が、原発への不安を増幅させている。福島原発に関する東京電力幹部の訴訟が、また無罪判決がでた。基本は、あのような災害は想定外だったということだろうが、実際に震災による津波被害は想定されていたし、実際に国会での議論もあった。実際に東日本大震災が起きる少し前には、東京電力内部でも対策が論じられるようになっていたとされている。残念ながら間に合わなかったのだが。つまり、想定外だったとはいえないのであり、もしそういう議論について、まったく未知のまま経営を続けていたのだとすれば、そのこと自体が犯罪的としかいいようがない。今後の原発の安全性のためにも、あの経営陣を有罪にすべきだったのである。深刻な事故を起こせば、そして、十分の対応策をとっていなければ、有罪になるのだ、という判例が確立しないと、利益確保に走り、十分な安全対策をとらない経営がなくならないといえるのである。実際に、安全対策は非常な費用がかかり、経営への負担となることは事実だからだ。
前にも書いたが、私は、可能な限りの安全対策をとりさえすれば、原発は多くのひとが考えるほど危険なものではないと思っている。なにより問題なのは、経営利益のために、可能な限りの安全対策を回避することだ。実際に福島原発はその結果なのである。そして、表向きではなく、現実的に可能な限りの安全策を実施させるための方策は、本社を原発敷地内に置き、そこで幹部社員が仕事を日常的にすることである。言葉は悪いが、人質である。実際にそうしている国がある。フィンランドだ。だから、フィンランドでは原発への信頼が高い。また、核廃棄物の処理に、最も真剣に取り組んでいる国のひとつかフィンランドだ。
ただ、やはり、原発は事故が起きれば致命的な被害をもたらす。長期的には脱原発に舵をきるべきだ。太陽光発電は、私はまだまだ大きな可能性がある。しかし、そのために、森林を破壊したり、田畑を転用するべきではない。首都圏の家屋の屋根に設置することも有効だと思うが、東日本大震災のあとに数百キロにわたる大堤防の両側面に満遍なくパネルを設置すれば、かなりの発電量になり、新たに森林などを破壊する必要がまったくない。揚水発電などと組み合わせることで、安定した電力供給が可能になるのではないかと思うのだが、どうなのだろうか。
そういう意味で、原発の安易な再稼働に舵をきった岸田首相は、あまりに安易にすぎる。