この演奏会も忘れられないものだ。といっても、実は詳細はよく覚えていない。かなり前の演奏会だったと思うが、好きなオペラであるトロバトーレだったので聴きたいと思ったこともあるが、どうしてもと思った理由は、アズチェーナにフィオレンツァ・コッソットがでること、そしてさらに指揮者がエレーデだということだった。
コッソットのアズチェーナは、おそらく戦後としては唯一無二というものだったと思うし、正規録音としても、セラフィン指揮のドイツ・グラモフォン版と、カラヤン指揮の映像版がだされている。とくに、セラフィン指揮によるコッソットのアズチェーナは、これ以上考えられないというような歌唱だ。唯一欠陥があるとすれば、老婆であるはずなのに、多少声が若々しいということだろうか。