丸山真男の文章を読んでいくと、丸山は、現実の日本社会をどうしていったらいいのか、それをどのように考えていたのかが、ほとんど触れていないことがわかる。しかも、それは自覚的であったといえる。「ある自由主義者への手紙」(著作集4 p314)で、以下のように書いている。
「これまで僕は、広い意味での政治学を勉強していながら、当面の政治や社会の問題についての多少ともまとまった考えを殆んど新聞や雑誌に書かなかった。なぜかということはここでは述べないが、ともかく、それには僕なりの理屈があったし、いまでも原則としてはその理屈を間違っていないと思っている。」