河野大臣が、平井IT担当大臣から送られたという「押印廃止」という「印鑑」の写真をツイッターに掲載したことで、日本最大の印鑑生産地である山梨県の長崎知事と、全日本印章業協会徳井会長、山梨県市川三郷町の久保町長が、自民党に抗議と陳情に訪れたというニュースが、大きく報道されている。押印廃止という政策に反対する意思表示をしたわけではなく、河野大臣のツイッターにみる、あまりの配慮のなさを抗議したことと、ひとつの産業が危機に陥ることに対する対策を求めたということだろう。科学技術が進歩すれば、必ず起きる社会的事態である。
思いつくままにあげれば、コンピューターによる本づくり、新聞づくりに移行したときに、大量の植字工が不要になった。印鑑生産に携わっている人とは、比較にならないくらい大人数の仕事が消えたのである。日本は企業内教育を基本としていたこと、企業内組合であったことで、植字工をコンピューターのオペレーターとして再訓練することによって、平和的に活字からコンピューターによる印刷業に移行することができた。産業別組合が主流で、企業内教育が盛んではなかった欧米では、コンピューターによる印刷への転換が、日本よりもずっと遅れたのである。